Interview & Report

JESSE

JESSE ジェシー

RIZE

ロックバンドRIZEのボーカリスト、MCおよびギタリスト。本名はジェシー・マクファーデン(Jesse McFaddin)。1980年8月11日生まれ。東京都品川区戸越銀座出身でアメリカ国籍。RIZEとして8枚のアルバムをリリースし、サマーソニック、ライブエイド、ライブアースなど、数々の国内大型ロックフェスに出演。さらに台湾、韓国、中国などアジア各国でのツアーやフェスにも出演、北米でのツアー実績もあり。RIZEにおける数々の活躍に加え、GICODE,、THE BONEZといったヒップホップ、エレクトロなど、ロックだけに縛られない幅広いジャンルでの展開実績を誇る。また、自身がプロデュースするファッションブランド SLIP & Co.など、その才能は多岐に渡るマルティプル・クリエイターでありパフォーマー。

現在、開催中のMercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2013 S/Sのメイン会場のひとつである渋谷ヒカリエに、10月19日から21日の3日間、フランス発のカジュアルブランド「マリテ+フランソワ・ジルボー」(以下、ジルボー)のポップアップショップが登場する。同ブランドは、深刻な環境汚染を各界のクリエイターと共に訴える「NO WATER NO CHEMICAL」を展開しているが、そのメインビジュアルのモデルとして起用されているのが、今回インタビューに登場するRIZEのギター/ボーカリスト、JESSEだ。自身のショップやブランドを展開し、ジルボーとのコラボレーションによるミュージックビデオもリリースするなど、多角的にエンターテイメントを発信している注目のアーティストに話を伺った。

マリテ+フランソワ・ジルボーの「NO WATER NO CHEMICAL」に関わるようになった経緯を教えて下さい。

最初はモデルとしてのオファーをもらったのがきっかけでした。もともとオレはアメリカン・スタイルが大好きなんですけど、ジルボーもワイドなジーパンとかを作っていて、ステッチやベルトループの使い方がオシャレで、何本も持っていたんです。それで、実際にジルボーのスタッフに会ってみると、良い意味で変な人ばっかりで、自分と合うなと(笑)。オレをモデルとして選ぶセンスも面白いと感じたし、良い関係がナチュラルに作れていますね。先日も、ジルボーとコラボレートしたミュージックビデオをモート・シナベルに撮ってもらって、それがもうすぐできるのでとても楽しみ。お互いに提案をしながら、新しいものを作っていくという最高のリレーションシップをこれからも続けていけるといいですね。

MARITHÉ+FRANÇOIS GIRBAUD / GLOBAL CAMPAIGN

ジルボーのエコに対する考え方にも共感できるところは多かったのですか?

もちろん。ジーパンを作るためにこれだけ多くの人が苦しんでいるということは、オレも含めて、たぶん皆知らなかったんじゃないかな。例えば、今回初めて映像で見たんですけど、サンドブラストという手法でデニムの加工をしている人たちは本当に大変な思いをしているんですね。オレもアメリカンスクールに通っていた時に、アートクラスで工芸をやっていて、同じ手法で鉄とかに絵を描いたことがあるんだけど、小さいものでもかなり大変だった。それにも関わらず、自分たちはサンドブラストを使ったジーパンを、何も考えずに履いているわけですから。

JESSEさんのような方を通して、そうした事実がより多くの人たちに伝わっていくことは、とても意義のあることだと思います。

ひとつ忘れちゃいけないのは、ジルボーがすべてのジーパンをエコのためだけに作っているんじゃないということ。ひとつのやり方に固まらず、色んなパターンを出していくというのはブランドとしても必要だし、人間は100%変わることはできないけど、歩み寄る気持ちというのは大切。例えば、エレキギターを使っているオレらのようなミュージシャンは、ある意味一生エコができない。でも、たとえば太陽発電や風力発電を使って演奏してみようと考えてみることと、何も考えないことは全然違いますよね。それと同じことで、ただひたすらジーパンを作るのか、どうせ作るなら違う方法も考えてみるかという違いだけなんだけど、最初の一歩を踏み出す彼らの勇気にこれからも賛同していきたいと思っています。

JESSEさんがファッションに目覚めたのはいつ頃だったのですか?

ずっとアメリカンスクールに通っていたんですけど、小学生の頃、ビューグルボーイっていうブランドが流行っていたんですよ。当時はMCハマーが人気で、ボンタンみたいなワイドなパンツで、右側がピンク、左側は青みたいな、かなりクラッシュした服に影響されて、そういうパンツを履いていたり、ピアスや金のネックレスをしていたり、とにかくド派手な小学生だった(笑)。地元の戸越銀座を歩いていて、街とのギャップがあまりにすごくて、「戸越のガイジン」っていうあだ名がついていましたね(笑)。

音楽とファッションがリンクするようになってきたのはいつ頃ですか?

中学くらいの頃にヒップホップと出会ってからですね。ただ、ヒップホップって毎日靴をキレイにしたり、Tシャツやディッキーズにアイロンをかけたりと、結構カチっとしてなきゃいけなかった。でも、当時スケートボードをやっていたから、すぐ洋服が汚れちゃうんですよ。だから、だんだんヒップホップのスタイルが合わなくなってきたんですけど、その頃にグランジと出会って。グランジには、カッコ良かったらダメ、髪の毛をとかしたらダメ、洋服を洗ったらダメというようなマインドがあって、「そういうのもアリなんだ、最高じゃん」って(笑)。今では色んな洋服を着るようになりましたけど、自分がやっていることと洋服がリンクするというのは、オレがファッションにハマった時からずっと変わっていないことですね。

ファッションの面で影響を受けたアーティストはいますか?

色々いますけど、例えば、2003年にRIZEが全米ツアーを一緒に回ったコットンマウス・キングスというグループですね。彼らは、物販という概念をネクストレベルに持っていった人たちなんですよ。とにかく見せ方がすごくカッコ良くて、ギターケースを改造した4段くらいのショーケースを作ったり、ベルベットのシートを敷いたりしていて、まるでライブ会場にひとつのお店ができるような感じ。来ているお客さんたちも自分で洋服のリメイクをしてたりして、この人たちのスタイルは、なんてカッコ良いんだろうと。物販で自分たちのお客さんのスタイルを作っていくやり方は、一歩間違えたら独裁的になってしまうけど、こういう形はいいなと思いましたね。

JESSEさんは、ショップ「Takenaka Sound Shop」をプロデュースしたり、ご自身のブランド「SLIP&Co.」のデザインなどをしていますが、こちらはどういうきっかけだったのですか?

アメリカに行った時に、面白いと感じたものを集めたセレクトショップのようなものを始めたのが最初なんです。そしたら、オレのデザインした服を着たいという声がお客さんから出てきて、無地のTシャツにステンシルでグラフィックを入れたものを売り始めるようになったんです。それが売れたお金で、「Tシャツくん」という手軽なシルクスクリーンプリントの機械を買って、さらにもう少ししっかりしたプリント機を買ってという具合で、徐々に広がっていきました。だから、音楽で稼いだお金でブランドを始めたわけでは全然なくて、それこそ1枚1,000円のTシャツからブランドを作っていったので、そこには自信を持っています。

洋服をデザインする時に意識していることを教えて下さい。

これから流行るものって、昨日までは流行っていなかったものじゃないですか。だから、デザインをする時は、自分の好みや手癖とは反対のところから考えていきますね。例えば、オレが普段ピンクを着ない人だったとして、その好き嫌いに合わせて作っていても同じものしかできない。だから、逆にあえてピンクを使ってみるんです。他にも、「Vネックなんか絶対着るな」って後輩とかに言っていたくせに、ある時、自分でデザインしてみたりとかね(笑)。矛盾していると思われるかもしれないけど、そうすることでまったく違うデザインが作れる。自分の固定概念を壊すフェチなんですよ(笑)。

日本とアメリカ両方のファッションに触れてきたJESSEさんですが、日本のファッションについてはどんなことを感じていますか?

アメリカに住んでいる時に思ったのは、向こうの人たちが日本の雑誌やカルチャーを見て、真似していることが多いということ。(レディ・)ガガとかビヨンセ、JAY-Zなんかもそうだし、エヴィスジーンズなんかも流行りましたよね。一方で、日本はアメリカの真似をしていて、「その間には何があるんだ?」と思ったりもするけど(笑)。今年、MAGIC(ラスベガスで開催される展示会)からのオファーがあって、自分たちのブランドも出展したんですよ。うちのブランドはすべてメイド・イン・ジャパンにこだわっていて、震災後だったこともあって、共感してくれる人たちがたくさんいた。改めて、メイド・イン・ジャパンにはこだわっていきたいと思いましたね。もしくは、プロデュースド・バイ・ジャパンでもいいんですけど、どちらにしろ日本というものを色んな国に持って行って、そこから広がっていくといいなと。

最後に、11月11日リリース予定の自身初となるソロアルバムについても聞かせてください。

今回は、応募してくれた一般の人たちの中からひとりをうちのスタジオに呼んで、一緒にアルバムのプロデュースをしました。彼は岡山から来た子なんだけど、単に経験値がないだけで、オレよりも才能を持っている部分もたくさんあるし、デビュー作ならではの荒々しさも持っている。自分自身もRIZEのデビュー・アルバムを作った時の感覚に戻れているところがあるし、「Stand up!」というアルバムのタイトル通り、自分が立ち上がりまくっているアルバムですね。音楽にしても、洋服にしても、コンセプトがあった方がプロモーションしやすいという面があると思うんですけど、本当に何かをやりたいという思いってそこではないじゃないですか。意味を持たせていくことも必要なんだけど、逆に「意味がないことの意味」というのもすごく大事で。そういう意味で、今回は肩肘張らずに作れているのがとても気持ち良いし、すごくヤバイものになってますよ!

INFORMATION

MARITHÉ+FRANÇOIS GIRBAUD+ JESSE
SPECIAL MUSIC VIDEO

フランス発のファッションブランド「MARITHÉ+FRANÇOIS GIRBAUD(マリテ+フランソワ・ジルボー)」は、深刻な環境問題を各界のクリエイターと共に訴えるプロジェクト「NO WATER NO CHEMICAL」を展開。そのメインビジュアルに起用されているRIZEのギター/ボーカリストJESSEとMARITHÉ+FRANÇOIS GIRBAUDのコラボレーションによるSPECIAL MUSIC VIDEOがついに完成。11月11日にリリースされるJESSE初のソロアルバムにも収録される。

JESSE「ACCESS VIOLATION」

directed by MOTE SINABEL
www.motesinabel.com

JESSE 1st SOLO ALBUM “Stand Up!”

RIZEデビュー”11″周年の昨年20″11″年”11″月”11″日に、8月”11″日生れのJESSEと共に音楽のみに留まらないマルチなエンタテインメントコンテンツを、ファン・ユーザーと共に作り上げ世界発信するファン全面参加“マッシュアップ”型マルチ・エンタテインメントプロジェクト『Stand Up! fund』。プロジェクトスタート1周年となる本年2012年”11″月”11日”活動の集大成としての“アルバム”として、CD、レコードの両形態にて”1,111″枚完全生産限定盤としてリリースが決定。 音楽・ファッション・映像・コミュニケーション他盛り沢山なマルチエンタテインメントパッケージとしてリリース。

ご購入サイト : http://www.tenbakawear.com/?pid=48540570

お問い合わせ : mail@triberize.net

INTERVIEW by Yuki Harada

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