Interview & Report

Hadar Lorenzo

Hadar Lorenzo ハダール・ロレンツォ

H.Lorenzo オーナー

SHOP INFORMATION
H. Lorenzo WOMEN
8660 West Sunset Boulevard, West Hollywood, CA 90069
+1 (310) 659-1434
H. Lorenzo MEN
8646 West Sunset Boulevard, West Hollywood, CA 90069
+1 (310) 652-7039
H. Lorenzo North Robertson
474 North Robertson Boulevard, West Hollywood, CA 90048
+1 (310) 652-0064

[ Shop ] H. Lorenzo ONLINE www.hlorenzo.com / +1 (310) 659-0058

L.A.のセレブリティたちから絶大な人気を誇るセレクトショップ「H.Lorenzo」。常に時代の先端を行くセレクトでシーンを牽引し、世界中から注目を集めている同店は、日本のブランドが数多く置かれていることでも知られている。世界中を飛び回り、日本にも毎年のように訪れているオーナーのハダール・ロレンツォが、今年はJETROの招聘により、ファッション・ウィーク期間中に来日した。そんな彼に、来日中の過密スケジュールの合間を縫って話を伺った。

日本にはすでに何度も来られているそうですね。

はい。ただ今回は、JETROに招聘してもらっているので、これまでにはなかった発見も多いですね。いつもはほとんど自分が知っている所しか回っていないのですが、今回はJETROを通じて若いブランドなども紹介してもらっています。すでに面白いブランドもいくつか見つけられましたし、たくさんの素晴らしい方たちに支えられて、とても助けられていますよ。

日本のファッションについては、どんな印象をお持ちですか?

長年日本には来ていますが、日本のブランドには毎回特別なものを感じます。日本人のデザイナーは、自分の思いをデザインに変えていくことがとても上手。あらゆるアイテムに彼らの思いが詰まっているのが伝わってくるし、そこが好きなところですね。

日本のブランドに最初に出合ったのはいつ頃ですか?

22年くらい前になると思います。当時のブランドでは、カンサイ ヤマモト、コウシン サトウ、ヨシユキコニシ、テットオムなどが記憶に残っています。もうかなり前のことになるので、細かいところまでは覚えていませんが(笑)。

その頃からずっと日本のブランドはチェックし続けているのですか?

そうですね。ただ、コムデギャルソンやカンサイ ヤマモトなど、パリで展示会をしていたブランドは別にして、ドメスティックな展開をしているところがほとんどでしたね。サイズなどが日本人向けに作られていたこともあり、数年ほど日本に来て発注するのをやめていた時期もあったのですが、最近は若いデザイナーもどんどん出てきているので、ここ10年くらいは毎年来ています。

世界的に見た時に、今、日本のブランドはどのように評価されているのでしょうか?

他の国のブランドと比べても、リスペクトされていると思います。日本人のデザイナーとベルギー人のデザイナーは、クリエイティブの面でしっかりチェックしておくべき存在だと考えられているのではないでしょうか。

日本のブランドのこれからの課題としては、どんなことが挙げられますか?

インターナショナルなマーケットに出ていく上では、やはりまずはサイズの問題があると思います。時間はかかるかもしれませんが、最近は世界に対する意識が高まっているブランドが増えているので、少しずつそうした課題もクリアされていくのではないかと思います。

日本の若者のファッションについて感じていることはありますか?

彼らのスタイルを見ていると、大変インスピレーションが得られます。東京の街中に2時間くらい立っているだけでたくさんのヒントがもらえるし、これだけユニークな場所は、世界中を見渡しても日本だけだと思います。例えば、L.A.の場合だと、トレンドをいかに着こなすかということをまずは考えるので、クリエイティビティという面では日本より低いですね。多くの日本人は制限なく自由にファッションを楽しんでいますが、欧米では本当にファッションを分かっている人たちは、せいぜい全体の数パーセント。そこは大きな違いだと思います。

L.A.のショップのお話も伺いたいのですが、最近のお客さんの反応はいかがですか?

今年はすごくいいですね。リーマン・ショック以降は結構大変でしたが、
特に今年は、前年などと比べても断然良い反応があります。

どのようなお客さんが多いのですか?

映画や音楽などショウビズ界のセレブリティが多く来ています。また、ショップの周辺にはホテルも多く、人通りも多い場所なので、観光客もよく目にしますね。日本人は、ファッション業界の方はよくチェックしに来ていますが、観光客はここ3、4年で少なくなっています。当店は日本のブランドが充実しているので、日本人のお客さんからすると、あまり新鮮ではないのかもしれません(笑)。

H.Lorenzo

H.Lorenzo

日本のブランドに対するお客さんの反応はいかがですか?

もちろんいいですよ。だから入れているわけですから。当店は日本のブランドを多く取り扱っていて、それによって他のショップとの差別化を図ることができていると思います。常にいち早くフレッシュなブランドを見つけるということを心がけていますよ。

そのためにも、様々な国に足を運ばれているんですね。

そうですね。ニュージーランド、オーストラリア、ブラジル、インドなど、どこにでも行きます。その中でも特に好きなのは日本ですが(笑)。新しいデザイナーにインスパイアされたり、刺激を受け続けるというのはとても大事なことですし、様々な国と自分の街をつなぐブリッジのような存在でありたいと常に思っています。

「H.Lorenzo」を訪れるお客さんには感度が高い人たちが多いと思いますが、
彼らは今どんなことを求めているのでしょうか?

ユニークさ、そして品質の高さです。他では手に入らない限定アイテムなどもセレブリティに人気ですね。

数年前には、エコをテーマにしたショップを作り、話題を集めましたが、
エコやエシカル・ファッションの流れについてはどう考えていますか?

ちょうどそのお店を出した頃は、エコへの関心が大変高まっていた時期でしたが、今は落ち着き、皆が普通に考えられるようになったと思います。そういう意味では、ムーブメントが定着したと言えますね。

これから先、注目している動きは何かありますか?

うーん、…Web?ですかね(笑)。当店もECサイトはすでにやっていますが、近い将来、人々はまたリアルなショップの方に少しずつ戻ってくるような気がしています。なぜなら、今はあまりにもたくさんのECサイトがありますが、やっぱり直接洋服の生地に触れたり、匂いをかいだりすることはとても大切なことですし、そろそろ皆がそれを懐かしく思い始めるんじゃないかと思っているからです。

最後に、日本のファッション・ウィークについて感じていることがあれば教えて下さい。

僕は、ヨーロッパなどに行く時もそうなのですが、お昼の時間帯はアポイントが多く入っているので、あまりランウェイショーは見られないんですよ。仕事柄足を運ぶことが多いのはトレードショーや展示会なので、そういう意味ではもっと多くのブランドが参加する展示会があるといいと思います。日本にはこれだけ素晴らしいデザイナーたちがいるにも関わらず、魅力的な展示会というのはまだ少ない。時間をかけてそうしたものを作っていけば、より多くのバイヤーが海外から集まってくるだろうし、日本にはそれができる力があると思っています。

INTERVIEW by Yuki Harada

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