Interview & Report

Tommy Ton

Tommy Ton トミー・トン

ブロガー & フォトグラファー / 「JAK & JIL」主宰

カナダ・トロント出身。販売スタッフやバイヤーなどを経て、「JAK & JIL」を立ち上げる。STYLE.COMとGQ.comに寄稿中。2012年の春、カナダ発のブランド「CLUB MONACO(クラブモナコ)」とコラボレーションし、バッグを発売。

世界各地のストリートやコレクション会場を行き交うファッションピープル達のナチュラルな姿を捉えたスナップ写真で、絶大な人気を誇るファッションブログ「JAK & JIL」。いまや世界的な影響力を持つに至ったこのブログを運営し、数々のファッション系媒体にも寄稿しているトミー・トンが、Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2013 S/S期間中に、JETROの招聘により来日した。トロントを拠点に、世界各地を飛び回るストリートフォトグラファー兼人気ファッションブロガーである彼の目に、東京のファッション、そしてストリートはどのように映ったのだろうか?

来日は今回で何度目になりますか?

3回目になります。今年の5月にも東京に来たのですが、その時もすごくインスパイアされたし、ご飯も美味しいし、とても気に入っています。今回もショーの合間に、渋谷、原宿、恵比寿、新宿などのショップを色々回っていますよ。実は今、僕のワードローブの2、3割は、フェノメノンやファセッタズム、サスクワッチファブリックス、ビズビムなど、日本のブランドの洋服なんです。5月に東京に来てから、日本のメンズファッションにとても興味を持っています。価格と品質が釣り合っている洋服が多いし、ここでお金を使うことは今の日本にとっても良いことだと信じているので、これからは年に2回は来て、そのシーズンの洋服をまとめて買いたいですね(笑)。

Tommy Ton

Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2013 S/S最終日、10/20(土)に行われた街との連携イベント「Tweed Run Tokyo 2012」に登場。ティーパーティ会場に展示されていたメルセデス・ベンツ社製のマウンテンバイクの前で記念撮影。

JETROの招聘で来日が決まった時には、どんな感想を持ちましたか?

今回、ユナイテッドアローズのポギーさん(小木 “Poggy” 基史氏)が僕を強くレコメンドしてくれたそうなのですが、それにとても感謝しています。最初にメールをもらった時は、パリでの撮影が終わって5日くらいしか経っていない時でしたが、行きますと即答しました。

Instagramなどを使って、東京で撮影した写真を頻繁にアップしていますね。

ファッション・ウィークのショーの様子や、今回の来日で僕が購入した洋服の写真などを、ほぼリアルタイムでアップしています。これらが、海外にいる人たちのインスピレーションソースのひとつになればいいなと思っています。ほぼすべて一眼レフで撮影しているので、常にカメラを持ち歩いているのですが、ちょっと重すぎて首が痛いんです(笑)。でも、撮影した写真をすぐにiPadに入れて、Instagramなどにアップできるのは楽しいですね。

来日してからショーも色々見られていると思いますが、どんな感想をお持ちですか?

見ていてとても面白いショーが多いですね。他の国だと、どこかで見たことがあるようなものがほとんどですが、日本のショーの演出は独特で、他では見たことがありません。それは、日本のデザイナーが、ただ洋服を見せるだけではなく、ショーの世界観を表現することに強い意識を持っているからだと思います。あと、ショーに来ている人たちの年齢層が幅広く、色々な人がいますよね。どんなショーでもみんな真面目な顔をして見ていることが印象的でした。例えば、メルセデス・ベンツ コネクションでのエモモナキアのショーなど、明らかに面白い演出をしているのに、なぜみんな真剣な顔で見ていられるんだろうと少し不思議に思いました(笑)。日本人は礼儀正しいですし、人前であまり感情を出さないのでしょうね。

東京のファッション・ウィークに対して、何か要望などがあれば教えてください。

スケジュールが夜に集中しているように感じたので、それがもう少しバラけてくれると僕にとってはうれしいですね。ショー会場の外でスナップ写真を撮ることが多いのですが、夜だとどうしても外が暗くて撮影が難しいんです。ショーの前後にオシャレな人を追いかけていって、声をかけずに撮るというのが僕のスタイルなのですが、夜だとなかなかそれができないんですよね。

そのようなスタイルで撮影をするようになったのはなぜですか?

ブログを始めたばかりの頃は、声をかけて撮影していたんです。でも、シャイな人が多いから断られることもよくあったし、何より僕自身もシャイで、話をするのが苦手ですからね(笑)。あと、声をかけて撮るとみんなポーズをとってしまったりして、それがあまり好きじゃないです。よく考えてみると、サバンナでライオンを撮影する時に、「ちょっと止まって」なんて言わないですよね。それと同じように、なるべく自然な状態でドキュメンタリーのように撮るのが僕のやり方なんです。相手に気付かれずに撮った方が、その人のよりナチュラルな部分が見えてきますしね。

そもそもなぜブログを始めようと思ったのですか?

もともとファッションが好きだったので、コレクション会場にはよく行っていたんですね。でも、インビテーションがないので中に入れず、会場の外の状況を”アナザーランウェイ”のような感じで伝えようと思い、色んな人を撮影していたんです。そこで撮った写真がたまってきたので、自分と同じようにインビテーションがなくショー会場に行けない人たちとそれをシェアしようと思ったのがブログを始めたきっかけです。

以前から写真の勉強はしていたのですか?

学校などで専門的に学んだことはありません。でも、写真を撮る上で大切なことは技術ではなく、視野だと思うんです。たとえカメラの機能を熟知していても、誰もがみな僕のように撮れるわけではないですし…。今だから言いますが、僕は5年前まで、すべてオート機能で撮影していました(笑)。大切なことは、色んなものを幅広く見つめて、様々な要素を取り入れながら撮影するということ。これからもより良いものを撮っていきたいし、それをみんなに見せたいという気持ちでいつも取り組んでいきたいですね。

世界中でストリートスナップをされていますが、日本人のファッションスタイルについてはどう感じていますか?

どこまででも追いかけていって撮影したいと思う人たちが日本にはたくさんいます。日本人は、他の人のファッションが自分のスタイルと違っても差別をすることがない。むしろ違うことが良いことだという認識があるような気がします。ニューヨークやパリ、ロンドンなどに行くと、洋服で人を判断したり、差別したりすることが多いのですが、日本ではどんな格好をしていてもOKだし、それは素晴らしいことだと思います。他の国もすべて、日本のようにファッションの自由を認められるようになれば、世界はもっとハッピーになるはず。人を外見で判断してしまう風潮が、結局、人をシャイにさせてしまっているわけですからね。

ストリートスナップをしていると、その国独自の文化なども見えてきそうで興味深いです。

そうですね。自分たちが普通だと思っているものも、別の文化圏の人からしたら、全く違うものに見えることがあります。そういう意味でも今回の来日では、自分が撮影した写真をソーシャルメディアや「STYLE.COM」のダイアリーなどを通して、ファッションに興味を持っている海外の人たちに届けていきたいなと思っています。

ご自身のブログに加え、ソーシャルメディアや他メディアへの寄稿などもある中で、それぞれをどのように使い分けているのですか?

例えば、Instagramは毎日の冒険を伝えるためのツールとして使っているので、日々僕が買ったものや食べたものなど、パーソナルな写真を中心にアップしていて、「STYLE.COM」では、ショー会場に来ている人たちの写真を中心に載せています。Tumblrはよりミックスした感じだし、自分のブログJAK & JILではナチュラルで動きのあるスナップ写真をアップするなど、用途に応じてメディアを使い分けていますね。

最後に、今後やってみたいプロジェクトなどがあれば教えてください。

僕は以前にデザイナーになりたかったことがあって、クラブ・モナコと一緒にバックパックを作ったこともあるんです。それが完売したこともあり、もっとそういう方向のチャレンジをしてみたらとみんなが言ってくれているので、いつか自分でメンズのオンラインストアをやってみたいと思っています。そのインスピレーションを得るためにもまた東京に戻ってきて、色々リサーチをしながら、イメージをふくらませていきたいですね。

INTERVIEW by Yuki Harada

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