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MAR. 19, 2020

RakutenFWT 2020 A/W特別企画 一問一答アンケート | マスイ ユウ(ファッションジャーナリスト)

マスイ ユウ
ファッションジャーナリスト

Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 A/W参加予定だったブランドへ、応援メッセージをお願いします。

コロナウイルスの影響で東京だけでなく、世界中のデザイナーたちが打撃を受けております。今年、たぶん来年もブランド運営にとって大変な時期になると思いますが、耐えぬいてください。一方で、生産背景から発表の形式、消費にいたるまで、そして最も重要なサステイナビリティ、現在のファッションのシステム自体を再考する良い機会だとも思います。JFWをはじめとしたファッション機関やファッションビジネスに携わる方々(特に大企業)、また消費者の皆様にもサポートをお願いしたいです。

Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 A/W参加予定だったブランドの中で、注目していたブランドがありましたら教えて下さい。

トウキョウ・ファッション・アワードのみなさんの凱旋ショーを楽しみにしておりました。特に「ユウキ・ハシモト」さんはアントワープの卒コレで拝見した事があり、久しぶりのランウェイショーを心待ちに。サステイナブルに力を入れている「リコール」 も、パリの「ショールーム・トウキョウ」で見たコレクションをどのように表現するのか。久しぶりのケイタさん、タイの友人のウィッシュ、そして流しそうめん以上のものがでるのか!?「Neglect Adult Patients」。見たかった!

日本のブランドやファッションの独自性や面白さはどこにあると思いますか?

日本のファッションはカラフルで楽しいのと、クオリティと着やすさを重視したリアルクローズの2つ。正直、サステイナビリティが少し遅れているので、もう少し頑張って欲しい。

あなたにとっての2000年代~2010年代のファッションに関する重大トピックスは?

2000〜10年の一番の変化はインターネットやソーシャルメディアだと思います。自分自身も第一世代のブロガーやインフルエンサーと言われております。スージーバブルは「私たちはデジタルダイナソー(恐竜)」だからと笑いながら言ってました。ブログからはじまりソーシャルメディアとして発展、ファッションのコミュニケーションは変わった。“ストリートスタイル”のようなファッションスナップ文化も生んだ。またインターネットはリテールを全く違う物に変えた。多くの人が家にいながら、そして自身の端末からファッションを経験できるようになった。しかしながら20年が経ち、その弊害もでてきている。ソーシャルメディアのコンテンツの多くは、かつてブログが持っていたような情報もなければ、クリエーティヴィティも失い、コマーシャルなだけのものになりつつある。その瞬間をおさめる為だけのファッション、食、旅、全ての価値が低下。現在のインフルエンサー文化は無駄な消費を作り出しているものだけになりつつあります。オンラインリテーラーも店舗を設けたり、イベントを企画したりと、実体験に力を入れている。全て価値や人と人との触れ合いを考え直す時が来ているのだと思います。

2020年代のファッション業界はどうなると思いますか?

2010年代に我々は“サステイナブル”という言葉を知りました。そして多くのデザイナーが力をいれるようになった。またラグジュアリーグループや大企業も始めるように。多くがPRのツールであったり、他の企業がやっているからなどの理由なのも確かです。フェイクだとか、十分でないと言う人もいますが、よりメインストリームなブランドが掲げた事で、一般消費者にまで浸透するようになった。サステイナビリティ自体のPRとしての効果はあった訳です。でも消費者はバカではない。2020年代に中途半端なサステイナブルは通用しません。大企業は上っ面だけではなく、真のサステイナビリティに取り組むように迫られるでしょう。新しい世代のクリエーター達は、意識せずとも、宣伝せずとも、取り組んでいます。新しいスタンダードになっているのです。

今後のRakutenFWTに期待することは?

パリやロンドン、ヨーロッパのメジャーなファッションウィークはサステイナブルにシフトしようとしている。最も見習うべきはエコ大国デンマークのコペンハーゲンファッションウィークで、明確なターゲットも示しています。東京はアジアのサステイナブルファッションウィークのモデルになれるように頑張って欲しいです。

東京のおすすめやお気に入りのスポットは?

やっぱり友人の浴衣屋の月影屋が好きです。歌舞伎から80年代のヤンキーまで、日本の文化を再考、そこにポップアートのような要素も加える。ユニークな絵柄はご本人が描き、型の彫り、染色、仕立て、職人による手仕事で国産。帯のスワロフスキーも1つぶ1つぶをアトリエに並べています。Tシャツやパーカーなど、最近はカジュアルウェアも。どのピースにもひねりや笑いが含まれている。重田なつきさんご本人のキャラクターも素敵です。

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