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MAR. 10, 2022

長濱ねるのSDGsレポート Vol.2|コレクションを支えるファブリックメーカー・小松マテーレが目指す循環型サスティナビリティ

RakutenFWTの参加ブランドにも多く採用され、国内・海外のトップブランドにも生地を供給する「小松マテーレ株式会社」が取り組むサステナブルなモノづくりを紹介する「素材メーカーが挑戦するサステナブルなモノづくり展」が、RakutenFWT2022AW シーズン期間中に公式会場の渋谷ヒカリエにて開催されました。

実際に小松マテーレ社の素材で創作された「BED.J.W.FORD」のコレクションや、昨年6月に立ち上げたサステナブルブランド「mate-mono(マテモノ)」の製品などを展示。
事前インタビューを行っていただいた長濱ねるさんも実際に展示会に訪問し、レポートをしてくださいました!


過去のレポート記事はこちら↓


日々、さまざまな体験を通じてSDGsを学んでいる長濱ねるさんが、前回に引き続き『Rakuten Fashion Week TOKYO 2022 A/W』のSDGsレポーターに就任。Rakuten Fashion Week TOKYOのコレクションを支えるファブリックメーカーの一つ、小松マテーレの先端素材・加工技術による持続可能なモノづくりについて、東京衣料チームのチーフ・村田遼介氏に取材を行った。

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ファッション・ウィークをプラットフォームに、毎シーズン約50ブランドもの新作コレクションが発表されているRakuten Fashion Week TOKYO。そのコレクションに携わるファブリックメーカー・小松マテーレによる循環型サスティナビリティの取り組みの展示イベントが、渋谷ヒカリエにて行われる。

長濱さん「Rakuten Fashion Week TOKYOに参加されるブランドをはじめ、デザイナーの方々のコレクションを支えていらっしゃると伺いました。まずはデザイナーの方々とどのように関わられているのか教えていただけますか」

村田さん「小松マテーレは石川県能美市に本拠地を置く化学素材メーカーで、国内・海外のトップブランドにも素材を供給している会社です。ファッションやスポーツなどの衣料分野から建築建材関連まで幅広く扱っていて、例えば、今回のFashion Week TOKYOに出展されている BED J.W. FORD(ベッドフォード)さんのコレクションにも当社の素材を使っていただいています。こちらが BED J.W. FORD さんと開発した第一弾の素材です。当社の無水プリント技術に興味を持たれて、ウール調合繊にプリントを施した素材を製作させていただきました。」

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長濱さん「えっ!これはプリントなんですか?すごい!触ってようやくプリントであることがわかりました」

村田さん「ありがとうございます。実は表裏、別の柄を無水プリントしているんですよ」

長濱さん「一枚の素材なのに裏地があるみたいに見えますね。それにとっても軽い!」

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村田さん「こちらは皮のような素材感を出したコートなんですが、引っ張ると色が変わるんですよ。ねるさん、引っ張ってもらってもいいですか?」

長濱さん「えぇ、怖い…(笑)。あ!色が変わった!ヴィンテージのような色合いになりますね」

村田さん「そうなんです。特殊なフィルム加工をしており、引っ張ることで色合いが変化し、ヴィンテージのように着古したテイストになります。熱を加えれば元にも戻せます。」

長濱さん「1枚で色合いを変化させられるなんてすごい技術ですね。質感も本物の皮みたい。こちらはすごいふわふわな素材ですね」

村田さん「『天女の羽衣』という、世界最軽量の素材です。実は、今回のFashion Week TOKYOでは、BED J.W. FORDさんからこの素材をアレンジした新作が出る予定です。」

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長濱さん「素材の質感もさまざまで見ているだけで楽しくなりますが、SDGsへの取り組みは具体的にどんなことが挙げられるのでしょうか」

村田さん「もちろん、様々な加工技術で素材を長く愛用していただける工夫を施しているのですが、加工後の処理も“環境に優しく”を心掛けています。例えば、繊維の染色で使う水を捨てる際に出る産業廃棄物を、セラミックに加工し建材としてリサイクルしていることですね。この取り組みは10年以上前から行っているのですが、排水処理で出てしまう汚泥という産業廃棄物を減らすために、珪藻土を混ぜ熱処理をし、保水性の高いセラミックを開発しました。水をよく吸って保水する特徴があるブロックで、歩道や駐車場、屋上緑化等に使われています。」

長濱さん「なるほど!デザイナーさんは小松マテーレさんと共にこだわりを追求した素材を作ることができ、そのことがサスティナビリティに繋がっていることになるんですね」

村田さん「SDGsへの意識も年々加速し、消費者にもサステナビリティが求められていますが、素材を扱うものとして、デザイナーさんを含めた多くの方々が手がけた洋服を長く愛用してほしいと思っています。その想いを支えるために、素材の耐久性や軽さ、風合いなど消費者の方にずっと愛される素材を作ることが、我々の役目だと思っています」

長濱さん「他にもファッション分野で取り組まれていることはありますか?」

村田さん「例えば、廃棄物となるタマネギの皮から抽出した成分をベースに、様々な植物の天然成分を配合して染めた『Onibegie®』(オニベジ)という素材を作っています。実はこれまで、合成繊維を天然原料で染められなかったのですが、研究を重ねることで実現することができました。タマネギの皮以外にも、オリーブの葉や葡萄の絞り殻、お米のもみ殻などを使用しています。パリ・コレクション2022 S/Sに参加された doublet(ダブレット)さんでは、『Onibegie®』の素材を使い、タマネギの絵が描かれた作品が登場しました。」

長濱さん「環境に配慮した取り組みがデザイナーさんにインスピレーションを与える機会にもなっているんですね。私たち購入する側も服にストーリーがある方が楽しいですし、また来年も大事に着ようって思うことができる。デザイナーの方やモノづくりを支える方々が、長く着てもらえるものを提供したいという想いに、SDGsの本質があるんだなと思いました。とてもステキですね」

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村田さん「デザイナーさんが素材に命を吹き込んでくださるので、コレクションで仕上がった服を拝見すると、とても感動するんですよ。想像を超えたものを作り出すデザイナーさんを尊敬していますし、感謝しています」

長濱さん「他にもオリジナルでサステナブルなアイテムを作っていらっしゃると伺いました」

村田さん「小松マテーレでは芝を養生するシートなども製造しているのですが、そのシートをつくる際にどうしても出てしまう規格外品を活用したバッグや、マスクの生産時に発生する生地の端材をアップサイクルしたアイテムなど、廃棄するものを使って『もったいないから見たことないもの』を作っています。こうしたアップサイクルの商品は2021年6月より mate-mono(マテモノ)というブランドで販売しております」

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長濱さん「どれもとっても可愛いですね。会社として取り組まれていることが本当にすごいと思います」

「素材メーカーが挑戦するサステナブルなモノづくり展」は、3月14日(月)〜3月19日(土)、渋谷ヒカリエ8F CUBE 1・9F アトリウムで実施される。

長濱さん「コレクションを支えるファブリックメーカーさんと共にデザイナーの方々など、たくさんの人の想いが詰まっているんだなと改めて実感しました。Fashion Weekはアートのような世界なので、実際に自分が手にすることができない作品だったりしますが、コレクションを通して、廃棄される野菜の皮などから染色されていることなどを知る機会になりますし、物語を知ることでコレクションへの期待も高まりますね。小松マテーレさんの展示では、オリジナルで制作されている mate-mono の商品も見ることができます。先端素材・加工技術による持続可能なモノづくりをぜひご覧ください」

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「素材メーカーが挑戦するサステナブルなモノづくり展」
会期:2022年3月14日(月)~3月19日(土)入場無料
会場:渋谷ヒカリエ 8F CUBE 1(東京都渋谷区渋谷2-21-1)
営業時間:渋谷ヒカリエに準ずる
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■長濱ねる プロフィール
1998年9月4⽇、長崎県長崎市⽣まれ。TV『セブンルール』・ラジオ『POP OF THE WORLD』(J-WAVE)のMCや『ダ・ヴィンチ』でのエッセイの執筆、またSDGsについて勉強するNHK・SDGsキャンペーン『未来へ17アクション』PR大使を務めるなど、幅広い分野で活躍中。趣味は読書、音楽鑑賞。

小松マテーレ
1943年、石川県で創業。染色や機能性等を付与する加工技術を駆使し、ファッション、スポーツ衣料だけでなく、インテリア、メディカル、建材など、多岐にわたる分野で事業を展開する化学素材メーカー。

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