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MAR. 12, 2021

初参加ブランドアンケート|nisai

nisai ニサイ

nisai

Designer

松田 直己
Naoki Matsuda

Category

Vintage upcycle, unisex, one and only.

ブランドや服作りについて

―ファッションデザイナーを目指したきっかけと、ブランドを立ち上げた経緯を教えてください。

ファッションデザイナーを目指したことはなかったです。服をはじめたのは、好きだった人を振り向かせる為。中学時代、図書館で出会ったパウル・クレーの色彩溢れる画集から影響を受け、芸術家になろうと決めて以降、絵画、立体、音楽、服等、表現全般に広く手を付けながら10代から20代前半を過ごしました。そして23才〜24才の無職時代、最後に出会った「服飾」が、表現したい気持ちとその為の媒体として一番しっくり来た。最後に出会ったつもりが、実は生まれた時から出会ってて、毎日選んで、死ぬまで触れ続ける分野だった。当時、どうしても忘れられない失恋相手を振り向かせる為には「あらゆる人が一生離れることなく毎日選ぶこの表現媒体」の「服飾」は最適だった。日常や生活に即してるから、「好きだった人を振り向かせたい」なんて日常や個人的な執着を変換する方法としての相性の良さも感じた。一生続きそうな執着を「テーマ」として捉えて、服が作れないままブランドですと名乗って、独学で服や小物を作りはじめ、制作と発表を繰り返していたら、少しずつブランドっぽくなって、ファッションデザイナーになってきた感覚があります。

―ブランドのコンセプトや服作りを通して伝えたいことは?また、提案したい男性像・女性像はありますか?

コンセプトを一言で言うと「恋愛がテーマ」。そこには「包まれた時にときめく服」「愛ある服」「自分に自信が持てるようになる服」「自分自身の少年少女性や未熟さを肯定出来るような服」「荒々しいけど可愛らしい服」「特別な一点物の服」「日常や未来が不安でも寄り添っている間は優しさを感じられる服」「なんか変だけどどこかいとおしい服」「体型変化に適応出来るようなフリーサイズ感のある服」といった意味が含まれてます。「服」を「人」に変換すると、どこにでもあるような恋の話に変わる。それを服に変えたい。提案したい人間像は、愛ある人。ときめきを忘れない人。ビバ・不純異装交友。

―クリエーションにおけるインスピレーション源、コンセプトメイキングの方法は?

東京都内には沢山の美術館、博物館、アートギャラリー、美大、重要文化財建築等があります。月一から週一は、どこかに直接足を運んで鑑賞することを大事にしています。あとは、展示会に訪れてくれるお客さんの「自分が想定してなかった着方」や「こういうのもの可愛いんじゃない」もいつも面白い。自分の服の中の拡張性みたいなものを知ります。あとは、本や映画。「ファッションと色彩」「アンファッション」「建築とファッション」「ラ・ラ・ランド」「コレット・モン・アムール」外側の世界、人の意見。これらはインスピレーション。インスピレーションは着想源で、着想源は「原材料」。コンセプトメイキングは「材料をどう調理するか」。だけど本当に重要視してるのはこの2つをつなぐ「保管方法」「仕分け方法」です。保管するには、仕分けするには、まず飲み込まないと、引き込まないといけない。自分の胃に、部屋に、冷蔵庫に。「持ち帰ることを恐れないこと」「希少食材かも知れないけど試しに食べてみること」「でも食べ尽くさないこと」「ちゃんと消化すること」そうやって原材料に向き合って、調理したり、発酵させてみたり、部分を入れ替えてみて、これは美味い、これはすこししつこい、量は前菜くらいがいいを、制作と発表を繰り返して、評判や結果と対峙する。じゃあやめるか、でもやるか、テーマや過去の制作歴と照らし合わせて、決断していく。愛のフルコースはそうやって作られています。

―現在の取り扱い店舗を教えてください。また、ブランドのファンはどのような人たちですか?

販売形態は個人展示、委託販売、ECショップの三種類です。個人展示は1,2ヶ月に一度のペースで、吉祥寺ブックマンションさんの運営するイベントスペースで一点物即売会を行っていて、主要委託取扱先は宇都宮naname、渋谷PARCO ニュースタア。ブランドのファンは、男女同じくらいの比率で、年齢層や体型も幅広い。良い意味でファッション以外への関心が広い方が多いです。手製で作られたものやそこに込められた思いを大事にしてくれる方が多く、自ブランドの服に関わらず、手持ちの服を一着一着大事にされている印象があります。

―ファッションで影響を受けたブランドやデザイナー、スタイル、カルチャーは?また、その理由は?

過去現在の恋人全員と着てた服の全て。

2021 A/Wについて

―Rakuten Fashion Week TOKYO 2021 A/Wへの参加の動機は?

ブランド立ち上げ時の自分自身との約束

―2021 A/Wシーズンのコンセプトやイメージを教えてください。

nisai

―ショーもしくはインスタレーションの構想を教えてください。

ないしょ

今後

―ブランドとしての展望を教えてください。

細部までブランドの世界観を詰め込んだショーを行うこと。
Rakuten fashion week tokyo様と連携して国内外へ発信すること。
それは連鎖的に、認知度の向上につながっていくと認識しています。
認知度が上がると、マッチングする顧客、ビジネスパートナーがより増えます。

現在、古着卸倉庫へ自ら赴いての古着素材仕入れ、
コンセプトメイキング、制作、撮影、点検管理、事務、展示会での販売等
一連の活動に自ら携わっています。

自身の活動とマッチするビジネスパートナーや売上が増えることで、
今まで行っていた「制作以外の仕事」のいくつかを頼れる場所が増えるようになり、
結果的にブランドの核となる「作品制作・提案」の時間により集中して
「何を作るか」「誰にどう届けたいか」といった「クリエイティブディレクション」の分野に
時間と意識を回せるようになっていくかと思います。
今後の展望は
制作の為の余白を作り、制限を解除して、クリエイションの自由さ、チームワークの向上を計っていくこと。

異業種とのコラボレーションや、海外展開の実現。
「好きな人がいる街・拠点」を増やして、
そこと現在地と行き来することで生まれる新しい考え方や表現を、追求すること。

誰かからの愛や支えをエンジンに進んでこれたブランドだから、
今後支えてくれる人や関わってくれる人たちへ、より良いものを還元循環出来るような流れを作ること。

上記の流れで服を作り発表していくことを「恋愛をテーマにした服作りの第二章」と捉えて、
次のページへと進めていくこと。
そして、この物語をいつか終わりまであなたに読んでもらうことが目標です。

TOKYOについて

―あなたにとってTOKYOとはどんな街ですか?

もう全部見尽くしたと思いきや、たった一人の恋人に出会う度に、全てが真新しく見えるような奥深さを持っています。

―東京で好きな街もしくはスポットと、その理由を教えてください。

神保町。中学時代から東京に憧れるきっかけになった、街中に古書店のある街。知識と好奇心の種・宝庫の街。御茶ノ水。駅前の橋から見える景色は東京で1,2位を争う風景。吉祥寺。住んで二年目になってもまだ新しい素敵なスポット・人との出会いが絶えない街。散歩が誘いやすいところも好きです。目黒雅叙園。迎賓館。西荻。夜は南口の飲み屋街でのハシゴ酒が楽しいし焼き鳥屋さんが本当に美味しい。昼は北口を散歩して古本屋や雑貨屋巡りするのが楽しい街。新宿歌舞伎町。ここ一年あまり行かなくなったけど、好きな飲み屋が一番沢山あって、一番通っていた街。朝まで飲み明かしてTOHOシネマ前で飲んでいると朝営業中のホストたちが一緒に路上で飲んでくれる、ディープさと爽やかさが混ざった街。上野、東京最強の立ち飲み屋がある。そこのお店の壁に貼られてる「でもやるんだよ」という言葉は、迷い悩んだ時にいつも少し元気付けてくれる。でもやるんだよ。良い言葉ですよね。

―お気に入りもしくはオススメのショップ(ファッション、インテリア、飲食などジャンル問わず)、施設、スポットなどを教えてください。

井の頭公園

新型コロナウイルスについて

―新型コロナウイルスの発生により、ブランドやデザインで変化したことを教えて下さい。

昨年、ちょうど展示会開催中に、緊急事態宣言が発令されました。展示活動の制限や、日常の変化から、必然的に作りたい服・届けたい服は変わっていきました。コロナ以前に作っていた服は「いつも一緒にいられなくても忘れられない服になれればそれでいい」という、日常とは離れたロマン性を重視。荒々しい作りの服や、エゴ丸出しの服、ダメージ加工の強い服ばかり作っていました。しかし、アフターコロナから「日常」の捉え方が逆転。外に出にくくなって、部屋でゴロゴロしたり、近所を散歩する時でも、気分が上がったり、ドキドキ出来るような服を、という点が前提となりました。「自分の話=エゴ」で「恋愛」を表現することに違和感を感じて、意識が外側に向き始めました。「今、愛ある服とはどんなものだろう」と「縫い目をレースで覆って体に当たる縫い目の負担を抑えよう」だとか「マスクよりも、マスクで覆い隠されてるその唇を肯定する服を」と「100人分のキスマークをリモートで収集してプリントしたTシャツを発表」したり「どこにも死に素材を出さない作り方を追求したい」からと「古着素材を100%使い切るような作り方を模索」したりと、フリーサイズだけど、大きすぎないサイズ感になるように微調整を繰り返したり。「好きな人に向けてどんな服を作るべきか」というテーマと問いはそのままに、回答への向き合い方が、徐々に変わっていきました。展示会はほぼ全て予約入場制を採用。よりよい服を作るにはどうすればいいか、どう提供・提案することが良いかを考える時間が増え、ブランド成長の為の大きな転換期となりました。でも、この課題は、問いは、まだまだ終わってない。先がどうなるかは誰にもわからない。僕自身、明日急につぶれてしまうかも知れない。そんな時代だからこそ、人を支えたり、抱きしめたり、後押しするエネルギーを持つファッションを、それが伝わるようなショーを行うタイミングだと、今回エントリーさせていただいた次第です。一人でも多くの人に届いたら幸いです。

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