Interview & Report

bird(オーナー)

bird(オーナー) ジェニファー・マンキンス

MBFWT 2015 S/S 海外ゲストインタビュー vol.1

 

[ URL ] bird http://shopbird.com/

Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2015 S/S開催中に、ニューヨークのセレクトショップ「bird(バード)」のジェニファー・マンキンス氏が来日した。地元ニューヨークのブランドに加え、ヨーロッパや日本など世界各地から旬のデザイナーたちのアイテムを数多く取り入れ、ブルックリンに3店舗を構える人気ショップにまで成長させたジェニファー氏に、東京のファッションや地元ブルックリンのカルチャーなどについて語っていただいた。

 

来日は何回目ですか。

4回目です。前回は2年半前でしたが、その時はプライベートで訪れました。今回のように、各デザイナーがコレクションを発表するファッション・ウィークの時期に来日できるのは貴重な経験ですし、招聘していただいたJETROさんには感謝しています。すでに欧米に進出している日本のデザイナーはたくさんいますが、私たちが展開しているショップでは、新しいデザイナーやブランドを積極的に扱っていることもあり、実際に日本に来て、若い才能を探し出すことは非常に大切だと考えています。

 

これまでのジェニファーさんのご経歴と、birdを立ち上げるまでの経緯を教えて下さい。

私がファッションの仕事をするようになったのは15年ほど前のことで、テキサス州からニューヨークに移り住み、バーニーズのアシスタントバイヤーとして仕事を始めました。その後、「STEVEN ALAN(スティーブンアラン)」のバイヤーを経て、自分のショップをブルックリンにオープンしました。はじめの頃は、ニューヨークを拠点とするブランドの商品を中心に扱っていましたが、徐々に海外にも目を向けるようになりました。ちょうどその頃は、ブルックリンという街が大きく成長している時期でもあり、私たちも2店舗目をオープンすることができました。さらにその数年後には、メンズウエアやアクセサリーも扱う大きな店舗をウィリアムズバーグにオープンし、現在では約150ブランドを扱うセレクトショップとして展開しています。

 

来店されるお客さんは、どのような方が多いですか。

ファッションに強い興味を持ち、創造的でディテールにこだわりのある洋服を好まれるお客様です。ファッションというのは、その人が表現したいことを形にしてくれるものだと考えているので、一過性の流行に左右されるのではなく、お客様それぞれが自分を表現できるような洋服をセレクトするということを大切にしています。私はこれまでに非常に多くの洋服を見てきましたが、私自身の目を惹くもの、新しいと感じるものであれば、お客様にも新鮮に映るはずだと信じてバイイングを行っています。また、その洋服にデザイナーの思いや技は込められているのか、ディテールにこだわりが見られるかということも非常に重要な判断基準です。例えば、Tシャツ一枚とってみても、素材からカッティング、仕上げまで非常にこだわってつくられているものを発見することがあり、そういう出合いにはとても感動させられますね。

 

Birdを展開されているブルックリンは、ニューヨークの中でもマンハッタンとは異なる文化を持っていると思いますが、この街の魅力をどんなところに感じていますか。

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ブルックリンのSmith Streetにあるbird 店内(http://shopbird.com/より)

ブルックリンは、自然がとても豊かな場所で、マンハッタンに比べると空間を自由に使えることもあり、デザイナーやアーティスト、ミュージシャンなどクリエイティブな人たちが多く、独自のコミュニティがつくられています。また、コミュニティの中で互いに助け合っていく風潮があり、チャレンジ精神を持つ人たちに寛容な風土もあります。それぞれが自分のスタイルを確立している人たちなので、ファッションに対する関心も高く、新しいデザイナーもどんどんブルックリンに移り住んでいます。そして、これは世界的に見ても大きな流れになっていると思いますが、特にブルックリンでは個人経営のものづくりの技術を大切にする風潮が強いと思います。

日本でも伝統的な技術やクラフトマンシップを見直す動きが強まっていますが、一方で後継者不足など課題も多いのが現状です。アメリカではどのような状況でしょうか。

アメリカは、日本に比べるとほとんど歴史がないと言っても過言ではありません。ただ、機械化が進み、自分たちの手でものをつくる機会が失われてしまっている現状に危機感を覚えた人たちが、製造業が盛んなアメリカ西部に移り住み、伝統的な文化や技術を守っていこうとしています。また、これは日本の話になりますが、birdで扱っている「tamaki niime」というブランドのデザイナーさん(玉木新雌氏)は、織物が盛んな小さな町に移り住み、職人さんに弟子入りし、その技術を伝承しながら新しいデザインを生み出していて、すばらしい仕事をされていると感じます。

 

日本のブランドについては、どんな印象をお持ちですか。

世界的にも有名な「ヨウジヤマモト」や「コム デ ギャルソン」に代表されるように、コンセプトを非常に大切にしているブランドが多いと感じます。日本には、新しい創造性を形にしていくことが許される環境があると思いますし、これまでの常識を破るような新しいものを生み出すことが世界から期待されています。例えば、北欧のブランドは、非常に伝統を大切にした保守的なデザインが多いですが、一方で日本のブランドは、デザイン、色、素材どれをとっても斬新な提案をしてくれるので、非常に興味深く見ています。

 

東京のストリートファッションについてはいかがですか。

非常に自由だと感じます。アメリカでは奇抜なファッションは避けられる傾向がありますが、日本の場合は自分のスタイルをそれぞれが徹底的に追求しているように思います。アメリカでは、ファッションに強い興味を持つ男性はそう多くありませんが、日本では性別問わずファッションを楽しんでいますし、街を歩いていて思わず笑顔になってしまうような光景もたくさん目にしました。

 

ショップについても、ニューヨークとの違いは感じられますか。

日本のショップは、商品のディスプレイや空間構成はもちろん、接客から梱包まであらゆる部分に気配りが行き届いていると感じます。そうした日本のショップを見てからアメリカに戻ると、つい自分の従業員たちに、「もっと日本人のようにディテールに気を配って素敵にやりなさい!」と言いたくなってしまうんです(笑)。ディテールにとことんこだわり、それを積み重ねていくという点が日本の特徴だと思います。

 

東京のファッション・ウィークには今回初めて来場されたと思いますが、どんなことを期待していますか。

東京のファッション・ウィークは色々な試みをしながらどんどん拡大していると思いますが、その中でたくさんの若いエネルギーを感じられることを期待しています。ファッション・ウィークというのはファッションの楽しさを体感できる場だと思いますし、夢や希望を持てるような斬新なファッションと出合えることを楽しみにしています。

 

最後に、今後の夢やショップの展望などについて教えて下さい。

私個人としては、いつかデザイナーとして自分のブランドをつくりたいという夢があります。ショップに関しては、ホームグッズの専門店や、世界各国の職人の商品を集めたショップなど、これまでとは違うコンセプトのお店を展開してみたいと考えています。また、機会があれば、日本を含めたさまざまな工房を訪ね、商品が出来上がっていくまでのプロセスをまとめた本などもつくってみたいですね。これまでも新しいデザイナーを発掘し、そのデザイナーとお客様をつなげながら、ファッションというものを育てていく仕事に携わってきましたが、今後も一つ一つのプロセスを楽しみながら、成長を続けていければと考えています。

INTERVIEW by Yuki Harada

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