アレックス・カサヴィン Alex Kasavin
AmazonFWT 2017 S/S 海外ゲストインタビュー vol.1
「IDOL BROOKLYN」クリエイティブディレクター
[ Website ] http://www.idolbrooklyn.com/
[ Instagram ] https://www.instagram.com/idolbrooklyn/
[ Facebook ] https://www.facebook.com/idolbrooklyn
Amazon Fashion Week TOKYO 2017S/Sの開催に合わせ、ニューヨーク・ブルックリンのウィリアムズバーグに店舗を構える「IDOL BROOKLYN(アイドル・ブルックリン)」のクリエイティブディレクター Alex Kasavin(アレックス・カサヴィン)氏が JETRO の招聘で来日した。
Yohji Yamamoto、UNDERCOVER、HENDER SCHEMEなど、日本ブランドも幅広く取扱、独自性のあるセレクトでコアなファンを持つショップだ。日本のブランド、バイイングの基準、自らのショップのこだわりなどについて話を伺った。
来日が決まってから出発まで、どんな準備をされましたか?
日本にはずっと行きたかったので、JETROからこのお話をいただいた時はとても光栄で、来日までがとても待ち遠しかったです。私たちのショップは日本ブランドの取り扱いも多いので、それらのブランドが誕生した日本という場所を実際に訪れることを楽しみにしてきましたし、新しいデザイナーとの出会いにも期待していました。
初めての東京の印象はいかがですか。
街をリサーチ中ですが、特に原宿の若者たちのファッションに対するエネルギーが想像以上で圧倒されました。実は途中で道に迷ってしまいましたが、道を訪ねた若者が私の次の目的地まで連れて行ってくれて、それには感激しました。当店で取り扱っている日本のブランドの旗艦店にも足を運び、そこに集まるお客さんも見ることができて良かったです。
アレックスさんは普段、ファッション・ウィークに足を運んでいますか。
メンズコレクションには稀に行くことはあります。ファッション・ウィークは、世界中から人が集まり、多くの出会いがあって楽しいのですが、バイイングという点ではショールームへの訪問ですね。ほとんどのブランドがパリのショールームに入っていますので、商談はほとんどショールームで行います。
IDOL BROOKLYNについて、ご紹介いただけますか。
IDOL BROOKLYNは2014年にニューヨークのブルックリンにオープンしたメンズのセレクトショップです。取扱商品のバイイングでは、職人技が効いた芸術性を持っているかを重要視しています。ランウェイで発表しているブランドもストリートブランドも、独自の魅力があればネームバリューに関係なくバイイングしています。私たちが扱うデザイナーの服は、考えや精神性を含んだ芸術品と捉えていて、その芸術性を私たちのお客さまにもしっかり届けたいと思っています。
ヨーロッパやアメリカのブランドより、日本のブランドの比率が高いですよね。
日本ブランドだからという理由でバイイングしているわけではないのですが、ショップオープン当時から日本のブランドを取り扱っていて、気づいたら日本ブランドの割合が多くなっていました。スタッフともちょうどその話をしていて、日本ブランドの割合に驚いていたところです(笑)。理由としては、私たちが表現したいメッセージと、日本ブランドの服が持つメッセージがマッチしているからだと思います。
店頭で日本のブランドの反応はいかがですか。
日本のブランドはテクニックが効いていて、構造的でシルエットが美しく、非常に独創的です。しかし、私たちが日本のブランドだからとバイイングしていないのと同様に、お客さまは日本のブランドだと意識して手に取っていません。日本には素晴らしいテキスタイルや職人技術が揃っているので、そういった日本の技術を上手に取り入れたブランドは、アメリカやヨーロッパのブランドと店頭で並んでも差別化できているのだと思います。
近年の顧客の変化など何か感じることはありますか。
最も大きな変化は、ブランド名で商品を選ぶ時代から、商品自体で選ぶ時代になったことだと思います。極端な例かもしれませんが、私の世代ではブランド名で服を着ていましたし、最近何を買ったかと友人と話す時は、ブランド名を出していました。しかし、昨今はブランド名ではなく、商品自体で判断して買い物をする人が圧倒的に増えてきました。友達とは最近手に入れた商品やそのディテールについて語り合うのです。
ファッションにおけるインフルエンサーとフォロワーの関係についてはどう見ていますか。
各都市に独特のインフルエンサーたちがいて、そのフォロワーたちが影響を受けますが、面白い現象として、NYにはNYのルック、パリにはパリのルック、東京にも東京のルック、というようにトレンドを飛び越えてインフルエンサーたちが各地で多様なスタイルを生み出していることです。それによって、ファッション業界の移り変わるスピードがさらに増していて、トレンド分析などをしている間にトレンドが移り変わっていくような状況だと思います。
Amazon Fashion Week TOKYOで気になっているブランドはありますか。
今回はパリでは見ることのできない東京のブランドを中心に商談スケジュールを組みました。特に BED j.w. FORD はこれまでに見たことのないブランドで、興味を引かれています。私たちのショップ、私たちのお客さまと日本のブランドは相性が良いので、今回の来日での出会いが今後、良い繋がりになることを期待しています。