ハリー 杉山 Harry Sugiyama / タレント、MC
AmazonFWT 2018 A/W オフィシャルアンバサダー
1985年東京都生まれ。11歳で英国に移住。高校卒業後、日本で投資銀行に勤務しながらモデルとして活動。その後、ロンドン大学、北京師範大学留学を経て、日本でタレント活動を再開。父は元ニューヨーク・タイムズ東京支局長・アジア総支局長。日本語、英語、中国語、フランス語の4ヶ国語を話せるマルチリンガル。現在はCX『ノンストップ!』、NHK『どーも、NHK』、J-WAVE『POP OF THE WORLD』などにレギュラー出演中
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Amazon Fashion Week TOKYOのオフィシャルメディアパートナーのひとつ、NHKの海外向けファッション情報番組「TOKYO FASHION EXPRESS」(NHK WORLD JAPAN)。この春から新MCとして出演しているハリー杉山さんが、番組の取材を行うとともにAmazonFWTを盛り上げるため、AmazonFWTオフィシャルアンバサダーに就任した。 海外で様々なカルチャーに触れてきた中で、特にファッションは幼少期から好きで、ロンドン在住の頃、日本のファッションやデザイナーの情報を見聞きして、海外でも注目されている日本のファッションを誇らしく感じ、もっと世界に伝えたいという思いを抱くようになったという。そんなハリーさんの目に、AmazonFWTはどのように映ったのだろうか。アンバサダーとしてAmazonFWTに参加した感想や、ショーを通して感じた日本ブランドの魅力、さらに自身のファッション観などを伺った。
まず、AmazonFWTオフィシャルアンバサダーに就任された感想からお願いします。
率直に、光栄でした。僕にとってファッションは生き甲斐のひとつと言っても過言ではないので、アンバサダーとして日本のファッションの役に立てることはとても嬉しいし、しっかり伝えていかなければならないという責任も感じました。
AmazonFWTに参加されていかがでしたか?
サラ・アンデルマンさん(海外ゲスト/「JUNST AN IDEA」ファウンダー)もおっしゃっていましたが、ひとつの会場だけでなく、都内の様々な場所でショーが行われているのが楽しいですよね。普段、見慣れている日常風景や空気が特別なものになるような感覚があります。 実は13、14年前にモデルとしてランウェイを歩いたことがあります。そのせいか、ショーを観る時はモデルの歩き方や表情などが気になっていましたが、今回は「TOKYO FASHION EXPRESS」のMCとして、またAmazonFWTのアンバサダーとしてショーを拝見したので、いつもと違う視点で、服や演出に注目しました。
今回、ショーを10本ほどご覧になりましたが、もっとも印象的だったショーはどれですか?
ショーを観る時、自分の喜怒哀楽にどのように影響するか、つまり感情がどのように動くかを大切にしています。その点では、KUON(クオン)のショーが印象的で、歴史や温もりを感じました。ファッションとしてかっこいいだけでなく、素材から職人のこだわりや技術の繊細さが伝わってきて、人の心に突き刺さるものがあり、一刻も早く海外メディアや友達に伝えたいと思いました。ボロという素材を重ねて次世代に受け継いでいくというプロセスは、僕が学生時代に祖父のジャケットを着ていたこととリンクして、非常に感慨深かったです。KUONのコレクションでは、東日本大震災の被災地でつくられた刺し子(布地に糸で幾何学模様などの図柄を刺繍して縫い込む、日本に古くから伝わる伝統的な刺繍)も使われていますよね。僕は震災後からプライベートで岩手県釜石に通っていて、地元の居酒屋のおじさんとも仲良くなって、話をするたびに3.11のことをずっと忘れてはいけないと改めて思いますが、KUONの刺し子からもそんな思いがこみ上げてくる感じがしました。
他にも印象的だったショーがあったら教えてください。
AKIKOAOKI(アキコアオキ)のインスタレーションでは、目の前でモデルが着替えるという演出が斬新でした。 YOHEI OHNO(ヨウヘイ オオノ)のショーでは、日常をドアの鍵穴から覗くような感覚が面白くて、服のカッティングも魅力的でした。壁面に大きな鏡を備えた会場だったので、バックスタイルのディテールもじっくり観察できました。 ショー会場が日比谷のビルの屋上だったSISE(シセ)のコレクションは、スリムなシルエットが多く、メンズながら女性らしい美しさも感じ、私服で着たいなと思いました。 RYOTAMURAKAMI(リョウタムラカミ)の“大阪のおばちゃん”をテーマにしたコレクションもすごくインパクトがあって楽しかったです。
海外の様々な都市で生活をされてきたハリーさんに、東京のファッション・ウィークやファッションシーンはどのように見えましたか?
今回、様々なショーを拝見して、日本のデザイナーには絶対的なオリジナリティがあると感じました。これだけたくさんのショーが行われていて、テーマや演出が被ったブランドはひとつもあリませんでしたし、若手デザイナーたちの爆発的なエネルギーも感じました。 渋谷ヒカリエの前もAmazonFWT中は非現実的な空気が漂っている感じがします。良い意味でカッコつけてる人が多く、みんなよく勉強しているなと思います。僕は6歳から11歳まで渋谷にあるインターナショナルスクールに通っていて、ロンドン時代も帰国するたびに渋谷界隈で遊んでいたのでとても馴染み深い場所ですが、渋谷や原宿には若者の独自のファッションがありますよね。彼らが着ている服や示そうとしているスタイルが、何年か後にパリやミラノなどのランウェイで形になっていたりするので、どんなファッション都市にも負けない個性を持つ唯一無二で、最先端のファッション都市だと思います。
ハリーさんご自身のファッションについてもお伺いしたいのですが、ファッションで影響を受けた人や出来事はありますか?
13歳の時、イギリス最古のパブリックスクールのウィンチェスター・カレッジに入りましたが、全寮制の男子校で、制服がなかったんです。スーツもしくはジャケット着用というルールはありましたが、奇抜でなければ好きなデザインのもの着ることができたので、オークションサイトなどでポール・スミスのジャケットを買ったり、父や祖父から譲り受けたスーツを着たり、洋服で自己主張をできる環境にいました。お気に入りの服を着るだけで、モノクロだった1日がカラフルになることもありますし、僕にとって服は救世主みたいな存在です。
私服はどのように選んでいますか?
前日に決めてしまうことが多いのですが、ワードローブを開けて4、5秒くらいで、60着くらいある中からシャツを選びます。今、父が介護施設にいるので、会いに行く時は彼の記憶を刺激するような服を意識して選んだり、その日に会う人に合わせて選ぶことが多いですね。
お気に入りのブランドはありますか?
JOHN LAWRENCE SULLIVAN(ジョンローレンスサリバン)が好きです。デカダンスを感じさせる不良感やロックテイスト、自然と80sの音楽が流れてくるようなところが好きですね。デザイナーの柳川さんはボクサーからファッションデザイナーに転身したというバックグラウンドも心に響きました。偶然ですが、柳川さんの弟と同じサッカーチームに所属していることもシンパシーを感じます。「TOKYO FASHION EXPRESS」でも紹介したゴフレは、世界一気持ちの良いパンツだと思います。まるで何も穿いていないような感覚で、シワもできにくく、移動が多い日によく穿いています。 海外のブランドでは、サステナビリティを考えた服づくりに共感するステラマッカートニーや、故ダイアナ元妃の衣装を長年担当した世界的デザイナーで、クラッシックなテーラリングがお気に入りのロンドンの老舗ブランド ポールコステロ、パリのアミ アレクサンドル マテュッシというブランドも好きです。
異性のファッションで好きなスタイルやテイストはありますか?
その人らしさが出ていたら、何でも好きです。以前はいかにもイギリスらしいプレッピーな感じが好きでしたが、最近はボーイッシュやマニッシュなスタイルも魅力的だなと思います。メンズのパンツを着こなして、街をアグレッシブに歩く女性に出くわすと、ドキッとしてしまう時がありますよ(笑)。
2018年3月24日に行われたTOKYO FASHION AWARD WINNER’S DAYプレスカンファレンスにてMCを担当
INTERVIEW by Akane Fujioka