Interview & Report

Susie Lau

Susie Lau スージー・ロウ

ライター/エディター

スザンナ・ロウ(別名スージー・バブル)はロンドン在住のライター/エディター。2006年3月にブログ「Style Bubble」を立ち上げる。購読者は幅広く、ファッションに関する考え方、自身の経験・意見などを発信している他、発掘前の若く有能な人々にもスポットライトを当てている。2008年~2010年には『Dazed & Confused』誌のウェブサイト「Dazed Digital」の編集に携わる。現在は自らのブログの他にフリーランサーとして『ELLE』『The Daily Rubbish』『Dazed Digital』などで執筆している。

様々な場所へ繰り出して、まだ知られていない若い才能を見つけ、自身のブログ「Style Bubble」からその情報を世界へ発信しているファッションブロガー、スージーバブルことスージー・ロウ。ロンドン生まれの香港人という、欧米とアジアを織り交ぜた彼女の独特の感性は、瞬く間にファッション感度の高い女性たちを虜にした。また、その着こなしは”スージー風”と言われ、日本でもファッションアイコンとして注目されている。ブロガーであり、『Dazed & Confused magazine』の編集者でもある彼女の感じた日本のファッション、東京のカルチャー、そしてファッション・ウィークについて、Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2012 S/S会期中に、JETRO(ジェトロ)の招聘により来日した彼女にインタビューした。

今回の来日が決まった時、どう思われましたか?

スージー:今回はジェトロからの招聘ということでお話を頂きましたが、凄く嬉しかったです。この5月に来日した時にも日本でたくさん刺激を受けたので、今回もとても楽しみにしていました。世界、特にヨーロッパの人たちには、日本のファッション・ウィークの情報があまり入ってきません。でも、皆気になっていて、海外に住む知り合いのファッションジャーナリストに「日本に行く」と伝えたら「どうだったか絶対に教えてよね」と、すぐにメールが返ってきました。日本の情報はインターナショナルに発信されていない部分が多いので、私もブログで努めて今回の体験を発信していこうと思っています。

この5月に来日されたとのことですが、震災直後で、怖くなかったのですか?

スージー:震災については、凄くショックでしたし、怒りや寂しさなど色々な感情がありました。すごいスケールでダメージを受けている映像を見た時、正直怖かったし、日本に住んでいる友人のことも心配になりました。とにかく信じられなかったのですが、それよりも日本に行きたい気持ちの方が強かったですね。

今回のファッション・ウィークでショーをいくつかご覧になっていますが、印象に残っているブランド、また注目しているブランドはありますか?

スージー:Jenny Faxは、日本の文化―スクールガールファッションやアメリカのプラム―をうまく取り入れていて、非常に興味深かったですね。かわいい感じでありながら様々なカルチャーがミックスされているところが面白かったです。
Né-netSOMARTACHRISTIAN DADAは前から知っていたので、今回とても楽しみにしていました。ランウェイだけでなく、展示会も楽しみです。最終日のVERSUS TOKYOは特に期待していて、普通はバイヤーやプレスしか入ることができないショーが、一般にオープンになるというのは素晴らしいと思います。ファッションショーをもっと多くの人が見られるようになれば、ますますファッションビジネスが発展していくのではないでしょうか。特に、10代のファッション好きの若者には、できる限りそういった機会を与えて欲しいなと思います。

Jenny Faxも近いですが、スージーさんのスタイルを見ていると、下北沢や高円寺などの東京の”古着ファッション”に近いように思います。何かインスピレーションを受けたりしていますか?

スージー:東京の “古着ファッション” には非常に興味があります。前回の来日で、高円寺や渋谷の古着屋に行きました。渋谷のグリモワールは、まるで森の中のようなインテリアで、商品も独特のビンテージ感があるものばかり。70年代、80年代、90年代、レディス/メンズ、ビクトリア調のブラウス…といったように、カテゴリー分けがきれいにされていて見やすく、東京のショップは非常にMDに優れていると思いました。ロンドンの古着屋は商品がごちゃごちゃ置いてあるだけなので。でも、日本の古着はちょっと値段が高い(笑)。渋谷のCANDYSisterにも行きましたが、ヨーロッパの若いデザイナーたちにも、ぜひ足を運んでもらいたいショップですね。

PHENOMENON

Né-net

mintdesigns

SOMARTA

今回の来日でスージーさんが行ったショップのことやファッション・ウィークのことなど、ブログでどのように発信したいと思っていますか?

スージー:5月の来日では、(自身のブログを見せながら)写真をたくさん載せて日本で体験したことを紹介しました。もちろん、今回も日本は元気だということを含めて紹介したいと思います。
ロンドンに住んでいる私と同世代の若者や、ファッション好きの間では、日本は「行きたい国」として注目されています。私のブログのファンからも、「いいな~私も日本に行きたい!」といったコメントが多く届いて、日本のアピールに繋がっているなと感じています。

最近、世界中でファッションブロガーが注目されていますが、どう感じていますか?

スージー:良い傾向だと思います。私はブログを始めて5年になりますが、ブロガーが単なるセレブとしてもてはやされるのではなく、ジャーナリストとして認知されていくことが重要だと思っています。そうして、ブログもメディアのひとつとして、雑誌やウェブ同様にファッション情報を伝えていければ良いのではと思います。ブログは雑誌とは違って、個人の思いを自由に表現できます。特に私が意識しているのは、”体験”を発信すること。それがユーザーに支持されるポイントで、正しい情報を載せることも大切ですが、ブロガーがどんなトピックを取り上げ、実際に体験し、それに対してどう考えているのか、という部分をユーザーは期待しているのではないでしょうか。そのためブロガーは、編集者として独自の視点でリサーチをしたり、デザイナーへのインタビューをすることが必要です。私はフリーランスのジャーナリストとブロガーという二足のわらじを履いているので、情報は多方面から得られ、恵まれていると思います。

ブログ以外での情報発信(イベント開催や商品プロデュースなど)に興味はありますか?

スージー:ロンドンやニューヨークでイベントを主催したことはありますが、やはりブロガー、もしくはジャーナリストとして認識してもらいたいので、今やっていることに集中したいと思っています。デザインやデザイナーについて書いているのに、自分が何かをデザインするというのも、デザイナーやクリエイターたちに失礼な気がするので、モノづくりも考えていません。今は「書く」ことに専念したいです。

スージーさんのファッションポリシーを教えてください。

スージー:”自分らしさ”、そして “Be Happy” ですね。トレンドや流行ばかり追いたくないし、ひとつのジャンルにこだわることも、型にはまることも好きではないので、毎日違ったコーディネートを楽しみたいと思っています。ファッションは堅苦しいものではなく、楽しむものですから!

スージーさんは、髪の色や顔立ちが日本人に近いので、日本の女の子たちもお手本にしやすいと思います。

スージー:アメリカに行った時、よく日本人に間違えられました(笑)。アジア人のフォロワーが多いのもそれが理由でしょうね。渋谷を歩いていた時に、「あ、スージーだ!かわいい!!」って声をかけられて、かなり驚きました(笑)。雑誌に出ているからかもしれませんが、私のブログは英語なのに、日本の女の子もたくさん見てくれているようで嬉しいですね。

クローゼットの中に日本のブランドの服はありますか?

スージー:イッセイ ミヤケやジュンヤ・ワタナベ・コム デ ギャルソントーガなどがあります。日本ブランドをロンドンで見つけるのは難しいので、前回来日した際にまとめ買いしました(笑)。

最後に、日本のファッション好きの若者たちにメッセージをお願いします。

スージー:私が東京から刺激を受けたように、常にファッションから刺激を受け続けてください。そして、いつでも前向きに、努力を惜しまず前進して欲しいです。

INTERVIEW by Yuki Harada

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