初参加ブランドアンケート / Katharine Kidd <LAFC>
Los Angeles Fashion Council
Brand / Designer
Katharine Kidd / Katharine Kidd
Category
Contemporary Women’s / Clothing
ブランドや服作りについて
―ファッションデザイナーを目指したきっかけと、ブランドを立ち上げた経緯を教えてください。
物心ついたころから、ずっとファッションの世界に身を置いています。
幼いころは自分の部屋のいたるところにVogueの写真を切り抜いて貼っていましたし、高校生の頃にはプロム用のドレスを自作しました。大学では別の道を選びましたが、その後、息子が生まれたことで、ずっとやりたかったことをやっていなかったことに気付き、ふと立ち止まって考えてみました。夫に、アトランタを離れて夢を追いかけることを快諾してもらい、カリフォルニアへの転居後、Jodi DeMarcosに出会いました。彼女のお世話になりながら、型にはまらない方法でデザインに対する独自の審美眼とアプローチを磨くことができました。
私の自宅のリビングルームに彼女とともにスタジオを構え、まずはデザイン画の書き方に着手し、その後、図案作成、立体裁断なども勉強しました。そして、手作業でのオートクチュールの縫製に乗り出しました。彼女は素晴らしい人物ですが、ファッションビジネスについては何も知りませんでした。そんな状況から、何もないところから最初のデザインを起こし、図案にし、ファッションビジネスに適した衣服を作るという全プロセスを長い時間をかけて学習しました。この長いプロセスには、多くの困難がありました。その頃、Murphy Lewisに出会いました。彼女はBadgley Mischkaの上層部の人で、彼女は私たちの取り組みを見て、Jeffrey Mossに引き合わせてくれました。彼は、Badgley Mischkaの販売担当者でありながら、長年にわたってマディソン・アヴェニューにアトリエを構えていました。私たちは、大量のスケッチと初期の作品サンプルを携えてニューヨークに行きました。話し合いの結果、彼がカリフォルニアに来て私たちの初めてのコレクションに協力してくれることになりました。こうしてKatharine Kiddが立ち上がったのです。
―ブランドのコンセプトや服作りを通して伝えたいことは?また、提案したい男性像・女性像はありますか
私たちは、顧客を見据え、顧客が求めることを重視しながら歩んできたので、ブランドコンセプトは当初から進化し続けています。
私のデザイン哲学はキレのあるモダンなフェミニズムといえるでしょう。私たちはデザインにフェミニンさを求めながら、モダンな衣装やデザインコンセプトが好きな女性たちのために製品を作っています。
2013年秋は自分たちのプリント柄を作った最初のシーズンでした。これは私たちのコレクション全体が次の段階へと進化する最初のきっかけの一つとなりました。
2014年の秋には自分たちのプリントを5つ製作しました。他にはない自分たちだけの何かを表現し、デザインにオリジナリティを出すための最適な方法だと感じています。
―クリエーションにおけるインスピレーション源、コンセプトメイキングの方法は?
デザインのインスピレーションは私の人生の営みと強く結びついています。
私たちは基本要素つまりデザインコンセプトを何か決めて毎シーズンをスタートするのではなく、前回築き上げたデザインをベースに、シーズンを重ねながらコンセプトを進化させます。
デッサンは常に欠かせません。これは、私にとってはまさに瞑想のようなプロセスです。1日が終わり、子供たちが寝静まると、私はワイングラスを片手にスケッチブックに向かいます。私は日々の出来事の観察として日記をつけ、スケッチをします。自分にインスピレーションを与えた出来事や、思い浮かんだクリエイティブなアイデア、課題などを字と絵でつづっていきます。書くことは私のデザインにとって、もう一つの重要な側面でもあります。
書く内容は、フィクション、そして日々起こった出来事の両方です。シーズンごとに私たちがサンプルラインを製作する時、私は、スタジオでの出来事から生まれたデザインのアイデアや業界で起こっている出来事、そしてこれらを現在の方向性にどう結び付けていくかなど、とにかくいつでもスケッチしています。
―現在の取り扱い店舗を教えてください。また、ブランドのファンはどのような人たちですか?
アメリカ、南米、中東中で取り扱われています。
独創性と機能性を求める現代の女性たちをターゲットにした専門ブティックには多くのお客様がいます。
―ファッションで影響を受けたブランドやデザイナー、スタイル、カルチャーは?また、その理由は?
尊敬するファッションデザイナーは、マダム・グレーやクロエの創始者、ギャビー・アギョン、そして忘れてならないのはココ・シャネルです。男性の支配が圧倒的な職業で成功を収めた人物を心から尊敬しています。
彼女たちは皆、ファッション業界における初期のフェミニストたちであり、女性の手で女性のために現代的な衣装をデザインすることで女性の着こなしに転換をもたらした素晴らしい女性たちです。女性デザイナーは自分たちのデザインにある種の魂を吹き込み、当時のニーズや何が成功するかを理解していたと思っています。
ファッションを愛する駆け出しとして若い頃は、ココ・シャネルやパリの文化に夢中でした。幸い、私の母の親友にフランス人がいたため、フランスへは何度も旅行しました。子供ができてからは、しばらくの間、昔のように旅行に行くことはなかったのですが、この夏に行きたいと思っています。
大好きなブランドとしては、私自身のブランドもそうではあるけれど、常に進化を続けるブランドが好きです。デザイナーにとって、新しい何か、他と違う何かを求める心は大切だと思います。特に気に入りのブランドというのはなく、例えば、あるシーズンには、あるデザイナーのハンドバッグを買ったとしても、次のシーズンは全く違うものを探し求めていたりします。みんなが「これ!」というアイテムには興味はありませんし、他の人と同じアイテムを持つのは好きではありません。おそらくそれは、私がデザインをする時と同じで、個性的な合わせ方ができるアイテムを作ることが好きなのです。着るのに正しい方法なんてありません。
ステラ・マッカートニーを尊敬しています。自分のスタイルを持ち、デザインに独創的なセンスがあるからというだけでなく、彼女の社会に対する意識も尊敬しているからです。動物製品を用いずに全ラインを製作している点は本当に尊敬しています。私も彼女と同じベジタリアンで、私自身もコレクションの中に人工皮革やフェイクファーを斬新な方法で取り入れるようにしています。動物製品を使わずに人々が買いたいと思うようなファッショナブルなアイテムがもっとたくさんあればいいのにと思っています。
インテリアから美術品、建築までデザインであればどんなものにでも刺激を受けます。年を重ねるにつれ、私の嗜好はよりモダンになり、ミニマリズムに見出すことができるような内在的な芸術に対する理解が深まりました。誰もが想像しないような形で日常的な物を再解釈しようという気持ちが強くなっています。自分のデザインにも同じことを取り入れていきたいと思っています。
2014-15 A/Wについて
―MBFWT 2014-15 A/Wへの参加の動機は?
日本にはあらゆるファッションが揃っており、トレンドセッターだと思っています。
私の作品はフェミニンな影響を強く受けているので、ロリータ・ストリートなど、日本のファッションサブカルチャーにも通じるところが多いのではないかと思っています。そのため、日本の人たちは私のビジョンに理解を示してくれるのではないかと期待を抱いてます。
―2014-15 A/Wシーズンのコンセプトやイメージを教えてください。
モクレン、蝶、北極のオーロラなど、どれも自然の中にある美をコンセプトにしました。
私は自然をファッションとして表現していくことが好きです。プリント柄にも毎シーズン取り組み、進化させています。
一面黒バラ模様だった最初のプリントを取り上げ、その一部を拡大させて、完全に違うカラーパレットで拡大プリントに膨らませました。デザインは、過去の物を進化させて新しい形を創造するものと捉え、以前のシーズンのデザインコンセプトを研究して最新のデザインを生み出していきたいと考えています。
―どのようなショーになりそうですか?
クリーン、躍動感、鋭いモダン・フェミニティ。時間をさまざまなポジションから捉えるジャクスタポジション(並列)。
今後
―ブランドとしての展望を教えてください。
明瞭で活気のある、現代的な女性らしさを鋭く表現します。異なる時代を織り交ぜます。
TOKYOについて
―あなたにとってTOKYOとはどんな街ですか?
大胆不敵なスピリットが集まる場所でしょうか。
東京の人たちはファッションや文化に関して、恐れを知らぬイノベーターだと思います。リスクを取ることを物ともしません。
―東京で好きな街もしくはスポットと、その理由を教えてください。
原宿駅近辺が大好きです。
現地の人々と共にいられる素晴らしい場所で、常にインスピレーションが得られます。ティーンエイジャー・ファッションのるつぼです。
―お気に入りもしくはオススメのショップ、スポットと、その理由を教えてください。
渋谷のHarcozaです。
このお店の移り気でモダンな雰囲気が大好きです。いつも何か刺激的でエキセントリックなものを見つけることができます。