アン ソフィー マドセン Anne Sofie Madsen
DHL Exported 第2期受賞デザイナー
「Anne Sofie Madsen」デザイナー
デンマーク王立美術アカデミーを卒業後、パリのジョンガリアーノのもとで働き、その後、ロンドンに渡りアレキサンダーマックイーンのジュニアデザイナーを務める。
2011年より自身のブランドを開始。同年2月にロンドン ファッション・ウィークでデビュー、その後、コペンハーゲン ファッション・ウィークに毎シーズン参加している。
「Danish Fashion Awards」や、2012年には「Fresh Faces In Fashion」を受賞。同年、ミラノ ファッション・ウィークでイタリアンヴォーグにより選出され、展示会へ出展するなど、新星としての活躍を見せる。翌2013年に権威ある「Danish Design Talent prize」を受賞し、2014年からはパリ ファッション・ウィークでもショーを行っている。
DHLがIMGと共同で世界の若手デザイナーの新規海外市場進出を支援するプログラム「DHL Exported」。受賞デザイナーは進出先として選んだマーケットで、権威あるファッション・ウィークの公式スケジュールでランウェイショーを2シーズン連続で実施でき、DHLがコレクション輸送にかかるロジスティクスを全てサポートするというプログラムだ。
Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2016 A/Wの3日目に、第2期「DHL Exported」の受賞デザイナー、アン ソフィー マドセンが東京で初となるコレクションショーを行った。デザイナーのアン ソフィーに、東京でのコレクション発表後の感想や手応え、ものづくりのこだわり、今後の抱負を伺った。
まずは、東京での初めてのショーを終えた感想からお願いします。
とても気分が良いです。ショーのプロデュースを担当していただいたシゲ(金子繁孝さん)をはじめ、日本のチームの皆さんと一緒にお仕事をさせていただいたことはとても楽しい経験でした。特にシゲの素晴らしい仕事ぶりに感動しました!
デンマークと日本という距離はありましたが、準備段階からしっかりした進行管理と迅速な情報共有、冷静な状況判断など、総合的にとてもクオリティの高い仕事をしていただいたと大変満足しています。さらに皆さん親切で、すべてのことに感謝しています。
コレクションを発表する都市として、東京を選ばれた理由を教えていただけますか。
もともと日本のファッションやカルチャー、現代美術に大変関心を持っていました。ファッションを学ぶ前に、アニメーションを勉強しており、幼い頃から日本のアニメを目にしてきたことが日本に興味を持ったきっかけかもしれません。なかでも宮崎駿さんの作品が好きです。
今回、初来日ということですが、観光やショッピングなどはされましたか。
明日の夜10時には日本を発つので、今日と明日で日本を満喫したいと思っていますが、楽しみにしていたアラーキー(荒木経惟)さんの展覧会には必ず行きます。ただ、今回は時間が充分ではないので、今年10月の再来日の際に、今回より長めに滞在できるようにして、東京だけでなく京都にも行ってみたいと思っています。
2016 A/Wのコンセプトを教えてください。
エルヴィス・プレスリーがもともと双子で生まれてくるはずだったのが、片方の兄弟は生まれてこなかったというお話を聞いて、非常に衝撃を受けました。だから、それをコレクションで表現したいと思いました。
半々に相反する要素を組み合わせるように2種類の生地を組み合わせたアイテムが、今シーズンを象徴していると思います。さらに、調べたところ、エルヴィスの高祖母(ひいひいおばあさん)がネイティブアメリカンだったということも知って、それも少し意識しています。
確かに、今回のコレクションでは、多種多様な素材を使用され、異素材の組み合わせや、複雑なパターンが印象的でした。アンソフィーさんのものづくりにおけるこだわりを教えていただけますか。
以前から異素材の組み合わせやビーズの刺繍などを多用しており、特にここ2シーズンこだわっているポイントではあります。ただ、今シーズンは特にシェイプにこだわりました。今回のコレクション製作時、全体的なアイデアが固まって見直していた際に、少し物足りなさを感じました。その時に「シェイプだ!」とひらめき、今回はドレーピング(立体裁断)に時間をかけ、工夫しました。
デンマークと日本のファッションについて、違いや共通点は感じられますか。
比較するのはなかなか難しいのですが・・・デンマークのメインストリームはファストファッションで、消費者がコストパフォーマンスを重視するので、メーカー側もできるだけ安くして、たくさん売ることに注力していると思います。それに対し日本は、昔から時間をかけてものづくりをする風潮があると思います。クオリティ重視で、コストが多少かかっても良い生地や丁寧に縫製することを選ぶデザイナーが多いですよね。デンマークでは、自身のアトリエで一からものづくりをしているデザイナーは私含め、ほんのわずかしかいません。
今年10月も東京でショーを開催されますが、次回に向けた意気込みと、今後の活動予定をお聞かせください。
今シーズンは、パリで発表した後に、ベルリンに渡って、そこから直接、東京に入り、ショーを開催したため、落ち着いて今シーズンを振り返る余裕がなかったので、今は次のコレクションのことまであまり考えられません。ただ、今、言えることは、拠点とするデンマークから遠く離れた東京という都市で、初めてコレクションを発表し、様々な反応をいただけたことは大変興味深いです。帰国後も、メディアなどを通して何かしらの反響があると思いますので、それを楽しみに待っています。
最新のコレクション発表以外にも、NYとミラノで小さい規模ですがプレゼンテーションを行ったり、4月以降もベルリン、パリ、ロンドンへの出張を控えており、これからもタイトなスケジュールが続きそうです。あと、デニムのカプセルコレクションを発表する予定です。
イラストレーターとしての活動も行っており、ホラー作品の本の表紙を描いたり、先日はベルリンのアーティストとコラボレーションしました。
今後は、チームメンバーに任せられることは任せて、できるだけ自身のクリエイティブな活動に時間を割きたいと思っています。