マッシミリアーノ・ナルディエッロ Massimiliano Nardiello 「エクセシオール・ミラノ」バイヤー
MBFWT 2015-16 A/W 海外ゲストインタビュー vol.2
エクセシオール・ミラノ バイヤー/マッシミリアーノ・ナルディエッロ
[ URL ] http://www.excelsiormilano.com
Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2015-16 A/W の会期に合わせ、ミラノのファッションをリードするラグジュアリー・コンセプトショップ「EXCELSIOR MILANO(エクセシオール・ミラノ)」から、ウィメンズバイヤーのマッシミリアーノ・ナルディエッロ氏が来日した。オープンわずか4年で急成長した同ショップの運営コンセプトや同氏が感じた日本のファッションの印象を伺った。
エクセシオール・ミラノのホームページ http://www.excelsiormilano.com
来日は何回目でしょうか。
プライベートやバイイングでアジアに来たことはありましたが、日本は今回が初めてです。日本には他のアジア各国にはない、独自の文化や伝統があり、それを今回の来日では肌で感じることができて、興味深い時間を送っています。
JETROの招聘が決まってから、どのようなリサーチをされてきましたか。
日本に行ったことがある友人や知人から情報を集め、気になるショップやブランドのリストアップをしてきました。私はウィメンズバイヤーですが、社内のメンズバイヤーは頻繁に日本にバイイングに来ていますので、日頃から東京のファッションについての話を聞いていました。個性的なブランドと商談できるのを楽しみにしてきました。
東京の街や文化について、何か感じたことはありますか。
東京の街並みは想像よりもヨーロッパとの違いはないと感じましたが、街を歩く人はまったく違っていて、東京の人々の着こなしには驚きました。ヨーロッパ的な過度な装飾がなく、適度なバランスでセンスが良く、自由にファッションを楽しむ人が大変多いのですね。東京のショップも見て回りましたが、それぞれが個性を持っていて、ファッションに対して自由な発想をショップからも感じました。
展示会も回られているそうですが、日本のブランドはいかがでしたか。
日本のデザイナーの素晴らしい仕事を見ることができました。しっかりとリサーチをして、トレンドやコンセプトを上手にディテールに落とし込んでいます。ヨーロッパのデザイナーには見ることができない、日本のデザイナー特有のものづくりのDNAでしょうか。スポーティーかつカジュアルなスタイルを洗練させてファッションとして上手に提案しているブランドが多いように感じました。
具体的にはどのような部分が日本のデザイナー特有だと感じましたか。
デザインは過剰すぎず真面目すぎず、このバランス感は日本のブランド独特の魅力なので、もっと見たいと思いました。そして商品が細部まで作り込まれていて、細かいディテールにも期待しています。メンズライクなクリーンなテキスタイルをウィメンズのスタイルに活かしているブランドが多く、素材使いにもセンスの良さを感じています。
東京のファッション・ウィークについてはいかがでしょうか。
東京のファッション・ウィークは、欧米のファッション・ウィークと違って、主会場以外にも各所で展示会やイベントが開催されているのが新鮮でした。また、独自の会場で展示会が行われているため、落ち着いた雰囲気の中で各デザイナーとじっくり商談することができました。ショーは、派手すぎる演出がなく、服に焦点が当てられていたので見やすかったですね。
エクセシオール・ミラノについて教えて下さい。
エクセシオール・ミラノはCoin Group(コイン・グループ)という大手リテールグループが運営しており、2011年にオープンしました。コインはこれまでミドル層をターゲットとしてきましたが、ミラノの有名ブティック「アントニア」がコンサルタントとして業務提携をして、12人で構成されるクリエイティブチームのもと、アッパー層向けのコンセプトショップエクセシオール・ミラノが誕生しました。
エクセシオール・ミラノがあるミラノは、今どのような街ですか。
コインからの業務委託を受ける最大の理由でもありましたが、エクセシオール・ミラノはファッション都市としてのミラノを象徴するようなスポットにすることを目指してオープンしました。ミラノはファッションのみならず、ビジネス、観光などのイメージが強いと思いますが、残念ながら90年代以降、街として進化していません。その中で、エクセシオール・ミラノは常に新しいファッションを発信しているスポットとして成長させたいと思っています。
店舗運営において大切にしていることは何ですか。
決められたルールはありません。ただ、エクセシオール・ミラノのスタッフは皆、自分たちのお客さまのイメージをはっきりと持っています。バイヤーが選んだ商品をお客さまがどう感じるか、そしてお客さまが次に何を求めるか、ということをバイイングの基準にしています。また、お店での商品の展示では、ブランドごとに分けて商品を展示するのではなく、さまざまなブランドの商品を混ぜてプレゼンテーションしています。例えば、昨年の秋冬なら、トレンドの70年代ファッションを打ち出していたので、花柄をテーマにさまざまなブランドを混ぜてプレゼンテーションしていました。シーズンごとに店内に流れる映像も一新するため、お客さまには私たちが提案するイメージやスタイリングも楽しんでいただきながら、お買い物をしていただいています。
最後に、エクセシオール・ミラノの展望をお伺いできますか。
日々、新たなプロジェクトやコラボレーションの話が増えていて、現在いる12名のクリエイティブチームのメンバーを近い将来には30名に増員する予定です。海外での新店舗オープンの計画もあります。今後も、地域に根ざして現地の人に支えられ、そして常に進化するショップを作っていきたいと思っています。
Interview by Shinya Miyaura (Secori Gallery)