Interview & Report

エリック•アレン•ジェニングス Eric Allen Jennings

エリック•アレン•ジェニングス Eric Allen Jennings 「サックス・フィフス・アベニュー」副社長

MBFWT 2015-16 A/W 海外ゲストインタビュー vol.1

サックス・フィフス・アベニュー 副社長/エリック•アレン•ジェニングス

ニューヨークを拠点に、続々と新店舗をオープンするなど勢いを増す百貨店「Saks Fifth Avenue(サックス・フィフス・アベニュー)」の副社長、エリック・アレン・ジェニングス氏がMercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2015-16 A/Wの会期に合わせて初来日した。2013年から新体勢となった同社の展望から、日本のブランドやMBFWTを視察した感想を聞いた。

 

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サックス・フィフス・アベニューのホームページ http://www.saksfifthavenue.com

今回が初来日とのことですが、JETROの招聘が決まってから来日まで、どのような準備をしましたか。

JETROの招聘が決まった際、とても光栄に思いました。初来日ですが、日本ブランドとの新しい出会いに向けて、あえて事前情報は入れず、フラットな気持ちと視点で新しいものを見つける準備をしてきました。東京はモード、ストリート、アバンギャルドなどさまざまなファションが混在していることは知っていたので、来日が待ち遠しかったです。商談や視察など滞在スケジュールはJETROにお任せしました。

 

展示会やショーの視察はいかがでしたでしょうか。

来日してから計25ブランドとの商談を重ねてきました。日本のブランドは高い技術力を持つ工場を生産背景にストーリーが詰まっているアイテムが多く、ディテールの作り込みが素晴らしいのが魅力です。特にニットはテクニックが効いていて目を引くアイテムが多かったです。素晴らしいブランドの数々と出会うことができました。

 

東京の街並みはいかがですか。

東京の百貨店やセレクトショップも見て回りましたが、それぞれが流行にフィットしながらも明確にブランディングされていて、どこも面白いと思いました。例えば、伊勢丹新宿店やユナイテッドアローズは、世界中のハイブランドと若いブランドが売り場に混在していて、とても新鮮でした。また、東京を歩く若者たちのファッションは本当に自由で、皆がファッションを楽しんでいるのがよく分かります。この様子をどのような言葉で表現したら良いか、色々と考えていましたが、訪問先の展示会で“zing”という単語を使うデザイナーと出会い、まさにこの言葉が東京のファッションを表現するのにぴったりだと思いました。生き生きとしていて、楽しくて、盛り上がっている様子です。東京の街は、本当にファッションのエネルギーが溢れていますから。

 

エリックさんはサックス・フィフス・アベニューの副社長として、普段どのようなお仕事をされていますか。

店舗のアートディレクションから、バイイング、マーケティング、プロモーション、広告など、あらゆる部門に携わり、会社全体を見るのが私の役目です。バイイング部門では、私がシーズンごとにロードマップを作り、各部門のバイヤーとビジョンを共有しています。

 

バイイング面において重要なポイントを教えてください。

新しいブランドを常に探していますが、新しいブランドを買い付ける際には、特に厳しくジャッジしなければなりません。当然のことですが、バイイングして、そのブランドやアイテムの魅力をお客さまにしっかり伝えて、購入につなげることが私たちの役割です。新しいブランドを取り扱うということは、その分リスクを背負うことになります。しかし、リスクを背負ってでも買うべきブランドは積極的に買い、若いブランドと有名ブランドを共存させていきたいと考えています。各バイヤーには常にアンテナを張って世界中から新しいものを探すよう伝えています。

 

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サックス・フィフス・アベニューのホームページ http://www.saksfifthavenue.com

日本のブランドに求めることはありますか。

ブランドはクリエーション面とビジネス面の両方に等しく力を入れないといけないと考えていますが、日本のブランドは素晴らしいクリエーションをしている一方、マーケティングにおいてはデザインと価格設定がどのゾーンをターゲットにしているのか、伝わりにくい部分があるかもしれません。高品質でこだわったものづくりをしているため、価格が高くなるのは当然ですし、我々だけでなく、サックス・フィフス・アベニューのお客さまも日本のブランドの品質の高さをよく理解しています。だからこそ、どんな人に着てもらいたいか、といったターゲットが明確だと、我々も買い付けしやすいですし、お客さまも手に取りやすくなると思います。
もう一つ、大きな課題になると思いますが、東京のファッション・ウィークは各国の展示会が終わり、オーダーが完了した後に開催されるため、特に欧米のバイヤーが買い付けるには少し難しい部分があるかもしれません。

 

今後のサックス・フィフス・アベニューの展望を教えてください。

1年ほど前にサックス・フィフス・アベニューの運営会社が変わり、新体制となりました。今は大変勢いがあり、この1年半の間に世界各国に8つの新店舗のオープンを予定しています。もうすぐで運営店舗は総計60店舗を超える予定で、それに伴い、スタッフも増員し、バイヤーも40名に増える予定です。今後も店舗を拡大しながら、新しいブランドに目を光らせ、サックス・フィフス・アベニューのお客さまに新しい提案をしていきたいと考えています。

 

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Interview by Shinya Miyaura (Secori Gallery)

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