Interview & Report

ケビン・ハウス Kevin House

ケビン・ハウス Kevin House 「ブティック」オーナー

MBFWT 2016 S/S 海外ゲストインタビュー vol.2

「ブティック」オーナー/ケビン・ハウス

[ URL ] http://butikku.uk/

日本ブランドを専門に取り扱うオンラインショップとして、2013年にスタートした「BUTIKKU(ブティック)」のKevin House(ケビン・ハウス)氏が、Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2016 S/S開催直後の展示会期間中に、JETROの招聘によってイギリスから来日した。“KAWAII”ファッションに代表される海外が抱く東京ファッションのイメージとは一線を画す洗練された日本ブランドを取り扱い、ロンドンでのポップアップショップなども数多く展開してきた彼に、日本のファッションの印象や「BUTIKKU」を起ち上げた経緯などについて話を聞いた。

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オンラインショップ「BUTIKKU

来日は今回で何回目ですか。

東京には毎年2回来ているので、今回が6、7回目になると思います。通常は主に展示会の時期に10~12日間ほど滞在していますが、今回は1週間ほどで、JETROから紹介してもらうブランドや、こちらが興味を持っているブランドの展示会などに足を運ぶ予定です。

 

東京のファッションや街については、どんな印象をお持ちですか。

東京はロンドンに比べて、ユニークなスタイル、独自の着こなしをしている人が多いように感じます。また、東京の街の特徴として、小さいお店がひとつのエリアに集まっているということが挙げられると思います。もちろんロンドンにも、ラグジュアリーブランドのショップが集まっているエリアなどはありますが、インディペンデントなお店が集まっていて、ファッションが好きな人たちがそろって足を運ぶ原宿のようなエリアがあるというのは、日本ならではの特徴だと思います。

 

BUTIKKUでは、日本ブランドを専門に扱っていらっしゃいますが、どのような経緯でオンラインショップを始めることになったのですか。

BUTIKKUを始めたのは、2年半ほど前ですが、当時ガールフレンドと一緒に新しいビジネスを始めようという話になり、世界中を見渡してみた結果、日本にフォーカスを当てることになりました。彼女は日本に住んだ経験もありましたし、ファッションやショッピングが非常に好きだったんです。また、私も日本のファッションやスタイルが好きだったので、まずは視察に行くことにしましたが、日本の百貨店やショップで目にしたブランドの多くは非常に興味深いものでした。2人とも日本のブランドやスタイルが好きだったこと、そして、世界中を見渡しても他に同じようなコンセプトのお店がなく、オリジナリティが出せるということから、日本に特化したショップを始めることにしました。

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オンラインショップ「BUTIKKU

ロンドンの人たちは、日本のブランドをどのように受け入れていますか。

BUTIKKUでは、これまでに15ヶ所でポップアップショップを開いたことがありますが、日本語のサインを掲げることによって、来場者が倍増するんです。これは、ロンドンの人たちが日本のブランドに対してとてもポジティブな印象を持っていることのひとつの表れだと思います。MUJIやユニクロを除くと、日本ブランドの商品をロンドンで目にする機会はそれほどありませんし、東京のファッション・ウィークやブランドがイギリスで大々的に報道されることも少ないですから。だからこそ、私たちのポップアップショップに足を運ぶお客さまは、他ではあまり見ないものに触れられるということにワクワクしてくれていますし、日本のブランドのことを知らない人たちも、品質の高さを評価してくれています。ただ、日本ブランドの洋服はイギリス人の体型にフィットしないところがあり、サイズというのはひとつの課題になっています。

 

特に日本のブランドに興味を持っている層や世代があれば教えて下さい。

イギリスのテレビなどで報じられる日本のファッションというのは、ちょっと変わっているものや、“KAWAII”スタイルのものがほとんどで、これらに興味を持っているのは、主にティーンエージャーの女性ですが、絶対数はそう多くはありません。一方で、私たちが扱っているのはそれらとは一線を画した、高品質で洗練された大人のブランドです。こうしたブランドに対して興味を持ち、評価してくれるのは、洋服の品質というものをしっかりと自分の目で判断できる30代以上の方々だと言えます。

 

BUTTIKUでは、まだ海外ではあまり展開されていない日本のデザイナーの洋服も扱っていますが、どのようにして彼らの情報を手に入れているのですか。

今回のようにJETROを通してブランドを紹介してもらうこともありますが、最も重視しているのは、東京に実際に来て、何時間もかけて自分の足で歩き回るということですね。起ち上げの段階では、日本の百貨店やファッションビルなどに行っていろいろ調べたりもしましたし、今でもさまざまなショップに足を運び、積極的に情報を得るようにしています。最近では、知り合いの日本人デザイナーに新しいブランドを紹介してもらったり、日本にいる知人を通して、ルックブックを送ってもらったり、展示会の情報を得たりしています。

Kevin-House

最後に、東京のファッション・ウィークについての印象をお聞かせいただけますか。

東京のファッション・ウィークには以前に何度か来たことがありますし、ショー自体はやはり楽しいものですよね。ただ、バイヤーである私たちにとって最も大切なのは、ショーの後に行われる展示会で日本のデザイナーたちと会うことです。私たちのビジネスは小規模ですから、ファッション・ウィークの期間からずっと日本に滞在するというのはなかなか難しいんです。 ただ、ロンドンのファッション・ウィークや、パリの展示会などにも何回か足を運んだことはありますが、やはり日本のブランドを取り扱っている私たちとしては、ロンドンやパリで日本人のデザイナーと会うことよりも、東京に足を運ぶということの方が大切だと考えています。

 

 

Interview by YUKI HARADA

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