MATCHES FASHION(Head of Fashion) ナタリー・キンハム
MBFWT 2014-15 A/W 招聘バイヤーインタビュー vol.2
MATCHES FASHION(Head of Fashion)
Natalie Kingham
[ URL ] MATCHES FASHION
Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2014-15 A/W開催に合わせ、ロンドンに拠点を持つ人気セレクトショップ「MATCHES FASHION」からナタリー・キンハム氏が来日した。ロンドンにある実店舗に加え、Eコマースによるビジネスにも積極的に取り組み、さらに世界各地でイベントやポップアップストアを展開するなど、顧客とのさまざまな接点をつくりながら着実にファンを増やしてきたショップの中心的存在である彼女に話を伺った。
今回が初来日ということですが、JETROの招聘で来日が決まった時はどんなことを考えましたか。
日本のブランドは今、ヨーロッパにもどんどん進出していますし、とても興味深く見ていたので、今回は直接日本のファッションに触れられる良い機会になると感じました。来日してからは、JETROさんに効率良くスケジュールを組んで頂いたこともあり、色々な場所を見て回ることができています。
日本の読者に向けて、MATCHES FASHIONのご紹介をお願いできますか。
私たちは、世界中のラグジュアリーブランド、カッティングエッジなブランドを中心としたハイファッションを扱っているショップです。現在の売り上げの7割ほどをオンラインショップが占めていますが、ロンドンにある実店舗や、顧客の方を招いてショッピングをして頂くラグジュアリーなプライベートハウスなども持っています。また、ニューヨーク、香港、オーストラリアなど世界各地にデザイナーとともに足を運んでイベントを開催したり、ポップアップストアなどを展開しているのですが、多角的なチャネルからパーソナルなショッピング体験をお客さまに提供したいと考えています。
お客さまの国籍も幅広そうですね。
そうですね。インターネットが登場する前は、国によって求めているものに違いがありましたが、Eコマースが台頭してきたことで、ファッションのスタイルは世界共通のものになりつつあります。インターネットによって世界にアピールできる時代になっているので、私たちもプレスチームをつくって積極的に発信をしていますし、それによってMATCHES FASHIONを知ったお客さまも多く、今後はさらに世界に向けてプロモートしていきたいと考えています。MATCHES FASHIONのメインターゲットは、35歳から45歳くらいの世代になりますが、ここ2、3年は若いデザイナーとのコラボレーションも積極的に行っていることもあり、20代前半のお客さまも非常に増えています。
近年のロンドンのファッションシーンの特徴や、今注目しているブランドなどを教えて下さい。
まずロンドンの特徴としては、非常にクリエイティブでエネルギッシュであるということが挙げられると思います。また、最近注目しているブランドは、Christopher Kane、Roksanda Ilincic、Erdem、Marques’Almeidaなどです。この中ではChristopher Kaneがよく知られていますが、私たちは彼らがスタートした頃から一緒に仕事をしています。Roksanda Ilincicはフェミニンなテイストが特徴で、私たちのショップでもよく売れていて、Erdemはまだ非常に若いですが、オリジナルのプリントが評価され、すでに知られています。Marques’Almeidaは斬新なブランドで、以前にオンラインで試験的に販売したところ、数日で完売しました。
ファッションスタイルの傾向としては、最近はハイヒールなどよりもスニーカーをはじめフラットなシューズが好まれていることからもわかるように、どの世代においてもスポーツテイストが強まっています。ヨーロッパ各地のコレクションやショップなどを見ていても、これはロンドンに限らない世界的な動きだと思います。
ナタリーさんご自身はどんなお仕事をされているのですか。
Head of Fashionという役職で、アパレル全般から、バッグやサングラス、ジュエリーなどのアクセサリーまでを見る立場なのですが、世界中のファッションショーやショールームにバイヤーらと一緒に足を運び、新しい商品を見つけるということをしています。私の仕事の中で大きな割合を占めているのは、ファッションのトレンドやライフスタイルをウォッチしていくことです。今、女性たちがどのような洋服を着ているのか、彼女たちが何を求めているのかということを考え、それを先に見つけるということが私の大きな仕事になります。
他のショップと差別化するために意識していることがあれば教えて下さい。
特にオンラインショップの場合、ビジュアルが良い商品を打ち出していくことが大切になるのですが、私たちとしては、それ以上にクオリティの高い商品を選んでいくということに重きを置いています。オンラインで商品を購入されたお客さまが、実際に商品を受け取って梱包を開けた時にがっかりしてしまうというのはよくある話です。それは絶対にあってはいけないことだと思っているので、しっかりと仕上げられたハイクオリティな商品をお届けするということを何よりも大切にしています。
現在、日本ブランドの取り扱いはどれくらいあるのでしょうか。
現在はTOGA、Julien David、Visvimなどを取り扱っており、その他にもいくつか交渉中のブランドがあります。また、今回の来日では新しいブランドを発掘するということを大きな目的にしていますが、すでにいくつか新しい発見がありました。
日本のデザイナーたちのクリエーションや、東京のストリートファッションなどについては、どんな印象を持っていますか。
日本のブランドにはとても良い印象を持っていますし、ディテールへのこだわりが非常に強いと感じます。今回展示会で見たブランドの中にもクオリティが高い商品がありましたし、複数のスタイルがミックスされていることも特徴の一つだと思います。ストリートファッションについては、これから原宿などを回る予定ですが、パンクスなどすでにロンドンでは見られなくなってしまった”Fashion Tribe”とも言える人たちが東京にはいるのではないかと期待しています。
今後、日本のブランドに期待することはありますか。
日本のブランドのクリエイティビティは非常に高いと感じているので、もっと自分たちのクリエイションや美的センスに自信を持つと良いと思います。ヨーロッパの最新モードに合わせていくのではなく、日本独自のセンスをもっとアピールしてほしいですし、私たちもそうした表現を求めています。例えば、今日、ある展示会でスカーフを見たのですが、独特の絞り染めが素晴らしいと感じました。渋谷ヒカリエ 8Fで開催されていた「EN」も拝見しましたが、とても良かったです。日本には素晴らしい伝統的な技術がありますし、そうしたものを現代の表現の中に取り入れていくということは、ひとつの有効なアプローチだと思います。