初参加ブランドアンケート|Bagasao バグサオ
Bagasao
Designer
Joseph Agustin S. Bagasao
ジョセフ・アグスティン・S・バガサオ
Category
Men’s & Women’s / Ready To Wear and Accessories
ブランドや服作りについて
―ファッションデザイナーを目指したきっかけと、ブランドを立ち上げた経緯を教えてください。
幼い少年時代から、祖母がドレスアップする様子をよく観察していました。服だけでなく、靴やバッグ、刺繍の施された扇子まで。内緒で彼女のオーダーメイドの服の箱を開けて覗いてみたりして。そういったものの全てのディテールが私にとっては魅惑的でした。4年生のときにファッションTVを見始めて、その影響で、Gucci、Versace、FerregamoやIssey Miyakeといったブランドにどんどん親しんでいきました。
2007年のある夜、たまたまディオールの2002 S/Sクチュール・ショーを見て、ヘッドドレスから靴に至るまでその美しさに息をのみ、以来、ファッション・デザイナーになるという未来像がより一層はっきりしていきました。そしてそれ以来、この職業の匠になるという欲求は尽きたことがありません。
心理学の学位を得た後、家族の協力を得て、独学でファッションデザインとマーケティングを学びました。でもそこで留まりませんでした。ファッションショーの手伝いをしたり、インターンとして働いたり、様々なコンテストに参加したり、グローバルなファッションブランドに勤めたりもしました。しかし、その間もずっと、自分のブランドを立ち上げる夢は一度も手放しませんでした。
2015年には自分の手で自身のブランドを立ち上げることを決心して、8点からなるカプセル・コレクションから始めました。
―ブランドのコンセプトや服作りを通して伝えたいことは?また、提案したい男性像・女性像はありますか
私達のブランドは、二重性と静かなるラグジュアリーをコンセプトにしています。現代性とノスタルジーにインスパイアされており、機能的でありながら、消費者のみならずファッションやアートの愛好者にまで視覚的にも感情的にも同様に訴えかけることのできる作品を作り続けることを目指しています。
―クリエーションにおけるインスピレーション源、コンセプトメイキングの方法は?
私がたまたま目にしたり、耳にしたことから始まります。灰色の壁、破けたシャツ、浮浪者の女性、壊れた屋根、何も描かれていないキャンバスなど、無防備な感覚を私に与えてくれるものなら何でも。そこから後は全てがついてきます。頭の中のイメージに合う音楽や集めてきた写真が、ひっきりなしに繋がりブレンドされていくのです。するとたいがい次に質感や色が欲しくなり、時間をかけて集めてきたイメージの中を探ることになります。これだけは申し上げておきたいのですが、私には視覚的感覚も感情的感覚も同様に重要なのです。どんなに美しいものでも、感情に訴えかけてくる何かがないと私は反応しません。
―現在の取り扱い店舗を教えてください。また、ブランドのファンはどのような人たちですか?
私達のブランドは、私達のビジョンを十二分に理解でき、服であれアクセサリーであれ、私達が作る全てのものに上手に繋がれる店舗やお客様とのみ関係を結んでいます。彼らは季節によってではなく、デザインや多様性のために購入します。そういったお客様は、何が今なのか、何が流行っているのかを超えたところに視点を置いています。
BAGASAOは知的でさりげない人のためのブランドです。アート、音楽、そしてデザインを愛する人。そんな方々自身、非常に上質なため、決してデザインの価値や質を軽視することはありません。彼女達はトレンドやファッション性を追従するのではなく、独自の言語を持っています。
―ファッションで影響を受けたブランドやデザイナー、スタイル、カルチャーは?また、その理由は?
昔からミニマリズムと印象派に憧れてきました。それらは何よりも強く私に語りかけてきます。染み出る静けさと、さりげなく語りかける大声に魅了されています。ビジュアルとして、視覚的に解き放たれます。
Christian DiorとYohji Yamamotoは昔から尊敬するブランドです。人の人生よりも長く、しかもそれだけの長きに渡って立ち上げ当初からのDNAを保つブランドを作ること。多くの人に知られているのに、ほんの一握りの人にしか理解されていない言語を作る。これが私にとっては理想のバランスです。Joseph Fontがクリエイティブ・ディレクターを務めるDelpozoやHaider Ackermann、Yohji Yamamotoはどれも、いつの日か店で一緒に並びたいと願っているブランドです。これらのブランドはどれも、独自のモード、ルック、そして言語を作り上げました。彼らは一度も誰の真似もしていません。彼らは商業主義に縛られることなく創作してきました。
2017 S/Sについて
―Amazon Fashion Week TOKYO 2017 S/Sへの参加の動機は?
東京はずっと世界のファッション中心地の一つであり続けてきましたし、ものづくりでは申し分のない職人技と質の高さで知られてきました。私はこの素晴らしい都市の産業を心から尊敬しており、初めてのショーを東京で行えるのは名誉に感じています。また、東京はアジアの最高峰を象徴する場所であり、私達のビジョンを披露するのに最良の会場です。
―2017 S/Sシーズンのコンセプトやイメージを教えてください。
コレクションのタイトルは「美の傷跡」です。光を求めて、暗い林から抜け出ようと走る少年の物語です。棘や岩、木の枝に傷つけられても、彼は気にしません。何故なら、その傷こそが抜け出せた後の空をより美しく見せてくれることを彼は知っているからです。
今シーズンは、ファブリックと質感を活用して二重性を表現しました。カラーは、デザイナーのコリン・ギャリティ作の木製品からきていて、木の海をイメージした形やラインと継ぎ目無しに溶け込み、完全に憂鬱なムードを反映しています。
―ショーもしくはインスタレーションの構想は?
乾燥した葉や新鮮な葉、枝などで葉っぱの海原に見立てて、そこに灰や土を被せることで、私のコレクションをハイライトしてくれる色と質感の対比をランウェイ上に作り出します。それと、林の香りを発散させるためのミストを少々漂わせます。
今後
―ブランドとしての展望を教えてください。
創作することが私達の情熱なので、将来的にはBAGASAOをライフスタイル・ブランドにしていきたいと思っています。質、職人技、並びに個性を等しく持つブランドに。更に、母国の織物産業及び生産発展の後押しをできるように努力したいと思っています。
TOKYOについて
―あなたにとってTOKYOとはどんな街ですか?
日本、主に東京は、独特のファッション言語を象徴します。それは世界にアジアを最も上手に表す言語です。独自性、高品質と申し分のない職人技を声を大にして伝えています。
―東京で好きな街もしくはスポットと、その理由を教えてください。
東京は独特のエネルギーを放出していて、どこもかしこも、何もかも好きです。東京を体験することは視覚的にも食欲にとっても刺激的なだけでなく、自由な感覚と自己表現を強く与えてくれます。
―お気に入りもしくはオススメのショップ(ファッション、インテリア、飲食などジャンル問わず)、施設、スポットなどを教えてください。
独特のエネルギーがあるので、銀座が好きです。