長濱ねるのSDGsレポート Vol.1|フィッシングブランドDAIWAが提案する循環型漁網アップサイクルとは
今シーズン、使われなくなった「漁網」の再利用コレクションにフォーカスをし発表を行ったDAIWA。
海をフィールドに展開しているDAIWAは、漁業の現場で問題になりつつある廃棄漁網のトレーサビリティを明確にしたアップサイクルを行うことで、漁業現場やファッションにその製品を提供する仕組みを本格的にスタート。
RakutenFWT 2022 A/Wに、JFWOとの共催により「DAIWA」としての漁網に関する動画や新作商品の発表に加え、本プロジェクトを紹介する展示会を表参道ヒルズにて行いました。
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日々、さまざまな体験を通じてSDGsを学んでいる長濱ねるさんが、前回に引き続き『Rakuten Fashion Week TOKYO 2022 A/W』のSDGsレポーターに就任。コレクション参加に加え、表参道ヒルズにて循環型漁網アップサイクルに関する展示イベントを行う「DAIWA」を展開するグローブライド執行役員・小林謙一氏に、プロジェクトに対する想いや持続可能な取り組みについて取材を行った。
世界中のフィッシングシーンをリードする日本のフィッシングブランドとして知られる「DAIWA」。この事業を展開するグローブライドは地球を舞台に人生の豊かな時間を提供するライフタイムスポーツカンパニーとして、積極的に環境保全活動に取り組んでいる。今回Rakuten Fashion Week TOKYO 2022 A/Wにて、使われなくなった漁網をファッションへと昇華させるプロジェクトの一部を展示イベントとして紹介する。
長濱さん「そもそも漁網が環境問題の対象になっていることは、いつごろから問題視されていたんでしょうか」
小林さん「私は小さなころから釣りをしていたので、漁に使っていた漁網が使えなくなり廃材になってしまっていることは幼いころから知っていました。長年この漁網の存在を気に留めてはいたのですが、1年半ほど前に漁網をアップサイクルできる仕組みが構築できそうだということを知り、釣りに関わる事業展開をしている企業として、ぜひ取り組むべきだということになりました」
長濱さん「調べたところ海のゴミの約30%が漁網であると。なぜ漁網が海で浮遊するゴミになってしまうのでしょうか」
小林さん「漁師さんなどに伺うと、台風などの大波にさらわれてしまうことなどがあるそうですね」
長濱さん「予期せぬ紛失があるということなんですね。グローブライドさんが取り組まれている活動は、使われなくなった漁網をリサイクルするプロジェクトということですが、具体的にはどういった活動なのでしょうか」
小林さん「不要となった漁網を洗浄して融解し、糸から生地、そして服に仕立てて販売することなのですが、持続可能なものにするために循環型にできないかと考えました。そこで漁網を扱う漁師の方々のために、DAIWAの技術を活かした作業着を作ろうということとしました。現在試作を作っている段階ですが、役目を終えた漁網が作業着へと変化することで現場で働く方々の意識も高まりますし、作業着を着ることが社会貢献に繋がるという仕組みを作っていきたいと考えています」
長濱さん「それはユニークな取り組みですね!DAIWAブランドは機能性に対する信頼も高いですし、漁網がリサイクルできる素材として認識されることで、廃棄漁網を減らすことができますよね。ただ、漁網とファッション、大きくかけ離れているように思えるのですが…」
小林さん「漁網の素材は主にナイロンとポリエステルの2種類があり、我々はナイロンの漁網を使用しています。DAIWAでもナイロンを加工した機能性と強度に優れた生地からウェアを作っているので、我々の技術との親和性が高かったということですね」
長濱さん「なるほど。漁師の方々が着る作業着は雨風の侵入を防いだりするための機能が求められますよね」
小林さん「これまでの作業着は種類が少なくて困っていたそうなんです。そこでフィッシングをフィールドにしているDAIWAの技術と経験を活かして、透湿防水という生地を採用しました。これは汗などの湿気を外に放出しながらも、外から襲ってくる水はシャットアウトするというものですね」
長濱さん「すごい生地ですね。ただ作るだけではなく漁師さんが求めているものにも応えていくということなんですね。今回展示されるイベントで作業着を見ることはできるのでしょうか」
小林さん「そうですね。レインと呼ばれるジャケットとサロペット、パンツを展示させていただきます。さらに多くの方にこの取り組みと技術についてより身近に感じていただきたく、漁網アップサイクルで作ったドレスやワンピース、ジャケットを展示します」
長濱さん「先ほどドレスのデザインを見せていただいたんですが、すごくステキでした!まさか漁網アップサイクルから作られたものだなんて、本当に驚きました」
小林さん「実はドレスが赤の真鯛、ワンピースは黄色のイサキ、ジャケットは青いブリをイメージしています。真鯛のドレスはシルバーと赤で鱗を表現しているんですよ。高度な技術で作っておりますので、今後はオートクチュールコレクションへの出展も目指していけるほどに昇華できたらと思っています」
長濱さん「本当にステキな取り組みですね。表参道ヒルズで行われることで、ファッションが好きな人はもちろん、買い物に立ち寄った人たちにも見ていただけると思います」
小林さん「一般の消費者の方に加えて、SDGsに取り組もうと考えていらっしゃる企業の方々にも我々の取り組みを知っていただくことで、賛同する企業が増える機会になればという思いもあります。一企業だけですと貢献度合いに限界がありますが、多くの方に知っていただけたらファッションの世界にも影響を及ぼすことができるのではないかと」
長濱さん「私自身の意識もそうですが、今は以前よりも生産背景が見えるものを手にしたいという消費者が増えてきたなと感じています。グローブライドさんの取り組みを知る機会が増えることは企業の方々に向けてのお手本にもなるでしょうし、いい循環が生まれそうですね」
小林さん「サステナブルなアイテムを購入するだけで社会活動に貢献できることを知っていただくこと、さらにアップサイクルできる技術があるといった情報をご提供いただければ、我々が有意義なものに転換できないかを考えることができる、そのような情報交換の場になったらいいなと思っています」
長濱さん「皆さんの後に続いていく企業が増えたり、買い物の帰りに不要になった漁網やサステナブルについて話をしたりする方が増えると嬉しいですね。私たち消費者は環境問題に対して協力したいと思っていても、何をしていいのかわからないというジレンマがあります。だからこそサステナブルな商品を買うことが意思を表す第一歩になるといいなと思いますね」
DAIWAのコレクション発表は表参道ヒルズにて3月14日(月)15:00〜、循環型漁網アップサイクルの展示が行われるイベントは表参道ヒルズの吹抜け大階段にて3月14日(月)〜3月21日(月)開催される。
長濱さん「漁網の回収や漁師の方々など、多くの人々が携わりSDGsに取り組まれていると伺いました。いろんな方の想いが詰まったプロジェクトをファッションを通じて知ることができるステキな機会だと思います。ぜひ皆さん足を運んでいただけると嬉しいです。真鯛のドレス最高ですよ!」
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BE EARTH-FRIENDLY -漁網アップサイクルプロジェクト-
会期:2022年3月14日(月)~3月21日(月)
※本展示はファッション・ウィーク閉会後も延長して21日まで開催
会場:表参道ヒルズ 本館 吹抜け大階段(東京都渋谷区神宮前4-12-10)
営業時間:表参道ヒルズに準ずる
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■長濱ねる プロフィール
1998年9月4⽇、長崎県長崎市⽣まれ。TV『セブンルール』・ラジオ『POP OF THE WORLD』(J-WAVE)のMCや『ダ・ヴィンチ』でのエッセイの執筆、またSDGsについて勉強するNHK・SDGsキャンペーン『未来へ17アクション』PR大使を務めるなど、幅広い分野で活躍中。趣味は読書、音楽鑑賞。