CHARINYEH | 初参加アンケート27SS
ブランドや服作りについて
── ファッションデザイナーを目指したきっかけと、ブランドを立ち上げた経緯を教えてください。
葉珈伶は台湾・濁水渓沿いの農村で育ち、土地や自然、日々の暮らしの中で美意識と素材への感覚を培いました。少女時代、地元の仕立て職人の指導のもと、手染めした肥料袋を使って初めての服を制作。「一枚の素材がどのように服になるのか」という興味が、服作りへの原点となりました。
その後、裁断やパターン、縫製技術を学び、実制作を重ねながら独自のデザイン方法を確立。1985年に自身の名を冠したCHARINYEHを設立しました。以来40年以上にわたり、台湾文化、暮らしの記憶、身体感覚を起点に、独自の服の言語を探求し続けています。
── ブランドのコンセプトや服作りを通して伝えたいことは?また、提案したい男性像・女性像はありますか?
CHARINYEHは、東洋的な美意識、文化の記憶、そして「空間的なテーラリング」を軸に、衣服・身体・空間の関係を探求しています。
服は身体を飾るだけでなく、身体を包み、受け止める空間にもなり得ると考えています。身体から離れたシルエット、立体的なプロポーション、精密なカッティングによって、服と身体の間に空気と動きの余白をつくり、自然に呼吸し、歩き、生活できる服を目指しています。
服によって女性像を定義するのではなく、自分自身の価値観とリズムを持つ、成熟した自立した女性をイメージしています。
── クリエーションにおけるインスピレーション源、コンセプトメイキングの方法は?
インスピレーションの多くは、台湾の土地、自然、文化、暮らしの記憶から生まれます。農村の風景、気候、植物、漢方、地域文化、さらには注音符号や現代のテクノロジーまで、あらゆるものがコレクションの起点になります。
伝統的な図像をそのまま引用するのではなく、その背景にある暮らしや感情、身体感覚を読み取り、形、線、色、感覚を抽出し、パターン、素材、刺繍、技法へと再構築します。
CHARINYEHにとって文化は装飾ではなく、思考と創作の方法です。台湾文化を単なる記号にせず、現代の服として自然に存在させることを大切にしています。
── 現在の取り扱い店舗を教えてください。また、ブランドのファンはどのような人たちですか?
現在は台湾を主要市場とし、百貨店、直営店舗、公式オンラインストアを中心に展開しています。同時に、東京やパリでのファッションイベントや展示会を通じて、海外市場の開拓も進めています。
主な顧客は、自分自身の美意識やライフスタイルを持つ成熟した女性です。トレンドだけではなく、素材、カッティング、着心地、そして長く着ることで生まれる価値を大切にし、服の背景にある文化やデザインにも関心を持っています。長年CHARINYEHを支持し、異なる時代の作品を今も愛用、収集してくださる顧客も多くいます。
── ファッションで影響を受けたブランドやデザイナー、スタイル、カルチャーは?また、その理由は?
私が最も影響を受けてきたのは、特定のブランドやデザイナーというより、自身が育った台湾の文化と東洋の暮らしの美意識です。
濁水渓沿いの農村風景、伝統的な服作り、家族や日常の記憶、そして人と土地、自然との関係は、長年クリエーションの根底にあります。また、東洋文化における「気」の流れやバランス、身体と自然の関係性も、服を考える上で大切な基盤となっています。
アートや建築、異なる文化の服にも目を向けながら、既存のスタイルを追うのではなく、自身の文化と経験から、現代台湾ならではの服の言語を築くことを大切にしています。








2027SSについて
── Rakuten Fashion Week TOKYO 2027 SSへの参加の動機は?
日本は、CHARINYEHが今後の展開において大切にしている市場のひとつです。カッティング、素材、クラフト、細部への感覚など、日本のファッション文化には、私たちが長年大切にしてきた価値観との共通点を感じています。
これまで東京でのファッションウィーク、展示会、ポップアップを通して、日本との接点を少しずつ築いてきました。今回、Rakuten Fashion Week TOKYOで単独のランウェイショーを行うことで、日本および海外のメディア、バイヤー、観客にCHARINYEHの世界観をより深く伝えたいと考えています。台湾文化と東洋的な身体観から生まれるデザインを国際的な舞台で発信し、日本での長期的な展開へつなげることが目標です。
── 2027 SS シーズンのコンセプトやイメージを教えてください。
2027年春夏コレクション「Island Tides/島嶼潮生」は、台湾という島と、デザイナー葉珈伶自身の水との特別な関係から始まります。
水中では呼吸がゆっくりとなり、身体が重力から解放されるような感覚に包まれます。そこから海を「見る風景」ではなく、「身体で感じる存在」として捉えました。また、台湾周辺の海に生きるシナウスイロイルカ、澎湖のタコ、柴山多杯サンゴなどにも目を向け、その独特な形や色、生命力を再解釈しています。
流れるようなライン、レイヤー、素材、プリント、刺繍を通して、島・海・身体の関係を服へと落とし込み、台湾文化の生き生きとした、遊び心のある一面を表現します。
── ショーもしくはインスタレーションの構想を教えてください。
今回のショーでは、海の風景を直接再現するのではなく、身体が水の中を漂うような感覚を空間全体で表現したいと考えています。
モデルの歩き、音楽、照明、空間を通して、水中で時間がゆっくりと流れ、身体が自由に浮遊するような状態をつくります。全体はリラックスした流動的な空気感を大切にし、あくまで服とモデルを主役に構成します。歩くことでレイヤーやライン、素材の動きが少しずつ現れていくショーを目指します。
海を「見せる」のではなく、観客が水の中に入ったようなリズムや身体感覚を感じられる空間にしたいと考えています。
今後
── ブランドとしての展望を教えてください。
CHARINYEHは台湾を起点に、国際的なファッションの中で、明確なアイデンティティを持つ「現代台湾のデザイン言語」を確立していきたいと考えています。
今後は日本市場をさらに深め、ランウェイ、ショールーム、バイヤーとの協業、実店舗での展開などを通じて、長期的で安定した関係を築くことを目指します。同時に、国際市場への発信も継続していきます。
台湾文化を表面的な記号として見せるのではなく、構造、素材、技術、身体感覚を通して、異なる文化の人々にも理解され、実際に着てもらえる服へと昇華すること。CHARINYEHが現代台湾のデザインを世界に伝える存在となることが、長期的な目標です。




TOKYOについて
── あなたにとってTOKYOとはどんな街ですか?
私にとって東京は、「秩序と自由が共存する街」です。精密な都市のリズムや繊細な暮らしの感覚と、自由なサブカルチャー、アート、ファッションが同時に存在しています。何気ない日常の中にも細部へのこだわりがあり、世代を問わず、それぞれが自分らしい装いを持っている。伝統と現代、秩序と個性が自然に共存していることが、東京の大きな魅力だと感じています。
── 東京で好きな街もしくはスポットと、その理由を教えてください。
麻布台ヒルズ、表参道
麻布台ヒルズは、建築、アート、自然、そして都市の暮らしがひとつにつながっているところに惹かれます。現代的な都市空間でありながら、人と自然、空間の心地よい関係が丁寧につくられているところも魅力です。
表参道も、東京を訪れるたびに歩きたくなる場所です。ファッションはもちろん、通りに並ぶさまざまなブランドのウィンドウディスプレイや空間デザイン、街を歩く人々それぞれの着こなしを見ることも楽しみにしています。
東京に惹かれるのは、伝統と現代性、秩序と個性がごく自然に共存しているところです。街を歩く中で、建築や空間、人々の日常から新しい発見があり、それがデザインのインスピレーションにつながることもあります。
── お気に入りもしくはオススメのショップ(ファッション、インテリア、飲食などジャンル問わず)、施設、スポットなどを教えてください。
(1. )21_21 DESIGN SIGHT
空間そのものはもちろん、安藤忠雄さんと三宅一生さんが「デザイン」を起点に広げてきた思想にも惹かれます。単に形や造形について考えるだけではなく、さまざまな展覧会を通して、暮らしや素材、社会を新たな視点から見つめ直すことのできる場所です。
デザインに携わる者として、訪れるたびに身近なものを違う角度から考えるきっかけをもらい、新しい刺激やインスピレーションを受けています。
(2. )東京都現代美術館
現代美術の展覧会はもちろん、美術館そのものの建築や空間にも惹かれます。
私にとって展覧会を見ることは、作品を鑑賞するだけではなく、さまざまなクリエイターが異なるメディアを通して、自分の視点や世界の捉え方をどのように表現しているのかに触れる時間でもあります。そうした多様な思考や表現に出会うことが、自分自身のクリエーションをあらためて考えるきっかけにもなっています。
(3. )渋谷PARCO「真さか(MASAKA)」、AFURI
私はベジタリアンなので、東京を訪れるたびに、さまざまなベジタリアン料理を探すことも楽しみのひとつです。
渋谷PARCOの地下にあるヴィーガン居酒屋「真さか(MASAKA)」はお気に入りのお店のひとつです。料理だけでなく、気軽でリラックスした雰囲気から東京の日常を感じられるところにも惹かれます。また、AFURIの「Rainbow Vegan Ramen」も好きで、さまざまな野菜を炙ることで、それぞれの風味や個性を引き出しているところが印象的です。
以前から日本の食文化が好きで、新鮮な食材や質の高い農産物にも魅力を感じています。ベジタリアンであっても、料理を通して素材や季節、味わいを大切にする日本ならではの繊細さを感じることができます。










