Rakuten Fashion Week TOKYO 2025 A/W 3/22(土)速報
「Rakuten Fashion Week TOKYO(Rakuten FWT)2025 A/W」(主催:一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構 (JFWO))は、本日最終日を迎えました。前日夜に行われたブランドも含め、最終日ハイライトをレポートします。
- 3/21(金)に発表されたブランド –
「KAMIYA(カミヤ)」(19:00~)シティサーキット東京ベイ


KAMIYAの4回目となるランウェイ会場は「シティサーキット東京ベイ」のサーキット場。バイクメッセンジャー(=自転車宅配便)たちの装いをおさめたフィリップ・バイアロボスによる写真集「Messengers Style」を出発点に、NYの街をトラックバイクで縦横無尽に駆け抜けるバイカーたちの姿を表現しました。
色褪せたデニムやヴィンテージの風合いをのせたアイテムはKAMIYAの代名詞。バラクラバにキャップを被せたり、デニムベストにフリースのパンツを合わせたり、リアルだけどランウェイ映えするスタイリングも光ります。
過去のランウェイではラストに毎回大きな乗り物が登場していましたが、今回はモデルたちが個性豊かな自転車に乗って登場。ランウェイ後には隣のサーキットで“KAMIYA族”が自転車を乗り回す姿も見られました。
「paratrait(パラトレイト)」(21:00~)TODAホール&カンファレンス東京 ホール A


TOKYO FASHION AWARD 2025を受賞したparatraitがブランドとして初となるランウェイを開催しました。イギリスのメゾンや日本のスポーツブランドで経験を積んだ坂井俊太氏が手がけるブランドです。トラディショナルなウェアデザインとスポーティーな機能性ウェアのデザインという、相反するふたつの軸がブランドを支えています。
今季の着想源は、ネパール・カトマンズでの古代仏教や山岳崇拝。死と生がめぐる輪廻転生の考えを、終わりと始まりが交差する瞬間としてデザインに落とし込みました。
照明に照らされ繊細な表情を見せるセットアップは、「刺し子」のデザインをデジタルで読み込みジャカード生地に起こしたもの。ラストルックはネパール・カトマンズの織物「ゲリ」から着想を得たストライプ柄のアイテムです。
楕円のランウェイの真ん中には、芥川龍之介『蜘蛛の糸』から着想を得た一筋の赤い光が走っていました。
– 本日3/22(土)に発表されたブランド –
「TAN(タン)」(14:00~)TODAホール&カンファレンス東京 ホールA


TOKYO FASHION AWARD 2025を受賞したTANがブランドとして初となるランウェイを開催しました。10周年を迎えた節目となるコレクションでは、数年前に旅したインドの情景や香り、そして創作の日々を共に過ごした愛犬との思い出を、ニットならではの優しいタッチで形にしています。インドの豊かな自然を表現するために、ニットに箔プリントやエンボス加工を施しワイルドなテクスチャーに挑戦。ランウェイで見るとニットには見えないほどの巧みな素材表現は、ニットブランドとして技術を突き詰めてきたTANならでは。
ファーストルックは毛足の長いジャカード生地を手で裂いて繋げた糸と、プリント生地を裂いた糸を引き揃えて手編みで作り上げたドレス。
細い糸がシャラシャラと流れ落ちているような特殊な生地は、日本に数台しかない機械で作られたインレイ編みの技術を用いています。愛犬をイメージした毛足の長いフラッフィーな糸は、小脇に抱えた犬型バッグやケープ、グローブなど様々なアイテムに用いられました。足元にはイタリアのシューズブランド「ペリーコ」とコラボレートしたシューズも。アッパーやブーツの筒部分に施されたニットはTANが手掛けています。次の10年に向けて、デザイナーの心に潜む大切な愛おしい記憶をポジティブなエネルギーへと昇華しています。
「HARUNOBUMURATA(ハルノブムラタ)」(16:00~)kudan house




親密さの中にあるラグジュアリーを提案し続けてきたハルノブムラタ。「kudan house」の地下ギャラリー空間で、ゲストとの距離が近いフロアショーを開催しました。今季のミューズは1900年代に活躍した女性レーシングドライバーのパイオニアであるドロシー・リービット。まだ女性が車を運転することすら稀であった時代に、大胆な発想と行動力で未来を切り拓いた彼女の“疾走する精神”を、素材やシルエットに落とし込みました。
コレクションを通して目を引くのは、コーティングすることでオイルのような艶感を出したウールのコートやフレアスカートや、洗いをかけてユーズド感を出したカーゴパンツなど、今までにない力強い素材使いです。
ブランドを象徴するメタルパーツはマットな表情にアップデートし、どこか工業的なディテールを盛り込みました。
ショーミュージックもコンセプトに合わせ、今までのクラシックなムードから一転。疾走感のあるストリングスに電子音やスネアドラムのジャっとした硬い音がのり、「エレガンスの中にインダストリアルな雰囲気を」というコレクションのムードをより深めます。硬質な場所に異素材を組み合わせた音楽が響き、それに布の動きや人々の視線による緊張感が共鳴することで完成する美意識。そこにいた全員がハルノブムラタの提案するエレガンスを共に作り上げている。そんな感覚に陥る親密な時間でした。
「FURUMAU(フルマウ)」(18:00~)オンライン発表


今季よりCHONOからFURUMAUにリブランディングし、新たなスタートを切りました。CHONOはテキスタイルブランドとして確立します。FURUMAUではクラシックに現代性を掛け合わせた、華やかさと着やすさが共存する上質なリアルクローズを提案。今季はブランド名の「振る舞う」をテーマに、着る人の本質を引き出し、ありのままに振る舞うことができるウェアを作りました。チロリアンテープとフリンジをミックスした生地や、高密度なナイロンタフタに星柄のピンドット刺繍を施したキルトなど、生地へのこだわりは随所に見られます。
製品には品質表示の他に生地、縫製、品質管理などの技術者の名前が記されており、多くの職人によって作られたことを証明しています。
「KEIKO NISHIYAMA(ケイコ ニシヤマ)」(19:00~)オンライン発表


「驚異の部屋(Wunderkammer)」から着想を得て、幻想的なプリントのテキスタイルを発表してきたKEIKO NISHIYAMA。今季は「追憶 ― Reminiscence ―」をテーマに、「人の記憶や思い出」という目に見えない世界へと踏み込みました。空想の動植物達のグラフィックというブランドのアイコンは、色を抑えたりポイント使いすることで、より日常に馴染むデザインに落とし込まれています。これまでの装飾的なアプローチに加え、今季はメンズライクな新しいシルエットや、ジェンダーレスな佇まいのアイテムを展開。
また、産業用インクジェットプリンタを手掛けるミマキエンジニアリングとタッグを組んだアイテムも発表されました。
©courtesy of brand「Tamme(タム)」(21:00~)TODAホール&カンファレンス東京 ホールA
TOKYO FASHION AWARD 2025を受賞したTammeがブランドとして初となるランウェイを開催しました。Youtubeライブのアーカイブは上記リンクよりご覧いただけます。詳細は後日配信のレポートに掲載いたします。
バイヤー・ジャーナリストなど海外ゲストが来日

(左から)アンドレアス・ムルクディス(アンドレアス・ムルクディス オーナー・バイヤー)、シドニー・ボイロン(Mixte Magazine ファッション&ウェブエディター)、マニュエル・マレッリ(MACONDO STORE ヘッドクリエイティブ・バイヤー)、ニック・ウースター (ブランドアドバイザー、TFA審査員)、アレックス・カタリネラ(フリーランスライター)
先シーズンより本格的にスタートした海外からのバイヤー・プレス招待ですが、今シーズンはサポート企画を実施し、さらに強化しました。来日ゲストはいくつかのランウェイショーや展示会などを周り、日本のブランド・デザイナーたちと直接交流しました。「実際にランウェイショーを見ることができて、ブランドの良さをより深く知ることができました。」「それぞれの個性を感じる会場で行われていたのも印象的です。新たなブランドとの出会いもあり、刺激的な時間となりました。」と語りました。