Interview & Report

小西 翔 Sho Konishi

小西 翔 Sho Konishi Sho Konishi

Designer

東京モード学園ファッションデザイン高度専門士コース卒業(クリエター・オブ・ザ・イヤー賞、校費留学制度受賞)後、フリーランスデザイナーとして NY に渡米。2019 年 PARSONS大学院 Fashion Design and Society 学科を首席で卒業(TMODACHI UNIQLO Fellowship獲得)。自身がデザイナーとして活躍する一方、ファッションの教育システムを取り入れた「ショウ コニシ デザイン ラボ」を始動し、ファッション教育にも力を入れている。

Q1.そもそもご自身がファッションを意識しはじめたのはいつ頃なのでしょうか。

自分がファッションを本能的に感じたのは高知県という田舎で生まれ育ち、川の激流を身体で感じた時です。 圧力、温度、質感、身体を動かした時に感じる感覚に自分の身体の拡張、身に纏うということを強く意識しました。 この時の想いは今でも自分の表現する服創りに影響を与えています。 自分自身で服を着てファッションと楽しむ、ということに関しては中学校時代のお洒落な先輩たちに対する憧れから始まった思い出です。

Q2.どうして海外に出てファッションを学ぼうと思ったのでしょうか。

自分がファッションスクールに入学した理由は本当にシンプルにやりたいことが明確になく、服だけが好きだったからでした。地元から上京を決めたのも高知からどうせ出るなら日本の中心、東京だ!くらいの単純なものでした。 元々バイヤーになりたかった自分は服創りにあまり興味がなく、海外旅行が趣味でした。 ところが、不意に訪れたモロッコで直感的に世界中に友達が欲しい。世界中の人々と仕事がしたい!と思い留学を視野に入れました。 そこから想いは強くなり、世界中で友達、仕事仲間を作ることが生き甲斐となり今でも世界中の人々が集まるNYを活動の拠点としています。

Q3.現在は NY に在住し、1 デザイナーとしてだけでなく、ラボの設立など教育面においても活躍されていますが、そもそもどうしてご自身でラボを立ち上げたいと思ったのでしょうか。

僕がラボの活動をしようと思ったのは2017年、パリでの大学院時代に次なる大学院への進学権を奨学金にていただけた時です。 2019年に自分が卒業したPARSONS大学院への入学は自分の長年の夢、TOMODACHI・UNIQLOフェローシップをいただいてのものでした。 この経験は感謝をしてもしきれないもので、その気持ちから留学経験の全てを自分のように夢を抱く次世代に還元することが自分の使命なのではないかと想い、デザインラボを立ち上げることを決意しました。 今では教育こそが究極のデザインと感じており今後もラボの活動を通して社会貢献をしていくつもりです。

Q4.2023 A/W で東京でのファッションウィークは 36 回目を迎えます。パリや NY など世界のファッションを多く見てきたショーコニシさんからは日本のファッションウィークはどのように見えていますでしょうか。

正直にゆうと、残念です。 というのも、ファッション好きの日本人の為だけのイベントになっている気がして他に加えて規模がとても小さいからです。 有名な日本のブランドはみんな国外でファッションショーをし、東京ファッションウィークは今や日本から国外に進出するための準備場所のように感じます。 圧倒的に他のファッションウィークに比べて海外のファッション主要人物達を招待できておらず、その問題は言語のバリアにあるのでは?と思っています。 創るものが良くても魅せ方を問われる現代において日本語だけのやり方に限界を感じています。 自分の教え子、ラボ生には常にそのことを伝えています。

Q5.日本のブランドで注目しているブランドやデザイナーはいますでしょうか。

KHOKI、RequaLです。 この二つのブランドは自分の東京モード学園次第の同級生が立ち上げたもので、 今では共にお仕事をする仲です。 自分にとって友人を応援することは生き甲斐なので、このブランドの成長の肥やしに自分がなれることが幸せです。 逆をゆうとNYにいると他の日本のブランドを知るタイミングはあまりなく、 これからもっと勉強したいなと思っています。

Q6.ファッションにおいても”SDGs”がトピックスとして取り上げられることが多くなりましたが、こういった現在の潮流をどのように受け止めていらっしゃいますか?

単刀直入にこの点に思うことを言わせてもらうと、 日本でのSDGsの考え方はものすごくビジネス的な利益を視野に入れたのもが多く 個人的には疑問に思うことが多いです。 SDGsはビジネス戦略ではなく、思想をベースとした概念の問題なので将来的に より多くの日本の方々が理解を深めていくことを望んでいます。 ファッションとこの議題はとても重要なもので、 デザイナーを志す次世代こそ成し遂げれることがたくさんあるので 自分が教育に力の入れるのもこういった観点からです。

Q7.今回会期期間中に行われるイベント「ZERO-TEX が奏でるサステナブルストーリー ~100 年先も楽しめるファッション業界の構築~」(※1)の中で「ファッション・ビジネスにおけるサステナビリティと教育」におけるトークショーも実施予定です。当日はニューヨ ーク州立ファッション工科大学(FIT)で学ぶ学生との対談へのご参加をいただくことにな っていますが、こういった企画にご賛同いただいた理由とかあったりしますでしょうか?

ファッション教育やサスティナブルに関心をある人々が’好きなので! 企画をお聞きした時にシンプルに関わりたいと思いました。

Q8.これからのファッションはどんな役割を果たすと思いますか?また現在のファッション業界における課題はどんなところにあると思いますか。

現在のファッション業界における課題は計り知れないと思います。 環境問題を抱えてしまった業界のやるべく課題は多く、ファッション業界は今その問題の主軸となってしまっています。 現在求められているアクションは一人ひとりの意識を変えていくことだと思うので、 ファッション業界がチーム意識を持ち団体として行動することが求められています。政府の協力も必須と考えているのでより多くの国民がファッションの重要性を意識してくれることを望んでいます。

Q9.未来のファッションデザイナーに必要なことや求めることはなんでしょうか。

行動力と、知識だと思います。 デザインの才能よりもインテリジェンスで行動に起こせる勇気を持ったデザイナーが今後活躍すると思います。

Q10.最後に将来、世界をめざす未来のファッションデザイナーに向けてメッセージがあればお願いいたします。

自分から言えることはとにかく 柔軟な姿勢でたくさんのことを学ぶことです! 時代は急激に変化しており、現代のデザイナーに求められていることはファッションレジェンド達の時代と比べると 大きく異なります。過去の基盤に乗っかるだけでなく、新しい方法、魅せ方を 開拓していく必要があるので、とにかく学び吸収する姿勢、また行動に起こせる力を磨いていってもらいたいです。

(※1)「ZERO-TEX が奏でるサステナブルストーリー ~100 年先も楽しめるファッション業界の構築~」Supported by Yamagin inc(※3)Rakuten Fashion Week TOKYO2023AW シーズン会期中、16 日(木)~18 日(土)まで渋谷ヒカリエ 8F COURT にて、「個性を尊重し、長く着用できる服」と題して NY の FIT で学ぶ未来のデザイナー3 名に日本が誇る素材“ZERO―TEX” の可能性を託し、制作した全14点のコレクションを展示公開するイベント

イベント詳細: https://rakutenfashionweektokyo.com/jp/topics/information/art_20230228_02/

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