A MAGAZINE / Blake Abbie
カルト的人気を誇る「A Magazine curated By」の編集長を務め、毎号新たなファッションデザイナーとコラボレーションしているBlake Abbie氏がJFWOの招聘プログラムによってRakuten Fashion Week TOKYO 26A/Wに参加した。アジアマーケットにも明るい彼にとって、東京のファッション・ウィークはどのように映ったのか。会期中に、公式会場である渋谷ヒカリエにて話を聞いた。
──初めて参加されたファッション・ウィーク東京について、どのような印象を持ちましたか?
会期前半、数日間のショーは正直同質的に感じていましたが、ここ数日で変化があり、先ほど見たkotohayokozawaはショー環境もユニークで素晴らしかった。同じ会場を使いながらデザイナーがその空間をどう変化させるのか、そうした点を見るのがとても興味深く、東京のファッション・ウィークで気に入った点ですね。

昨夜のFDMTLも、コレクションと共にアーティストの演奏が本当に素晴らしいパフォーマンスでした。そして、本当の意味で会場に変化をもたらしたのはyushokobayashiだと思います。花を使ったショーで、独自の物語と世界観があり、彼のショーは最高でしたね。

私は典型的なファッションエディター、ジャーナリストでなく、クリエイターです。クリエイターの視点からアプローチし、世界観に非常にフォーカスした見方をしています。ストラクチャーや服づくりももちろん見ていますが、ショーを通して何かに没入できるかどうか、それが新しいものであるかどうか、を重視しています。
──他都市のファッション・ウィークと比較していかがですか?
それぞれ都市の状況は異なり、そして異なるものを提供していることを理解する必要があります。私は比較的規模の小さな都市のファッション・ウィークにも足を運びますが、それぞれにファッションの歴史が異なり、ファッションとプレゼンテーションの関係性もユニークです。
日本のファッションは1960年代に始まったばかりです。フランスやイタリアのように、長いファッションの歴史を持つ国とは比較できませんし、するべきではないと思っています。それでも非常に重要なファッションの歴史が日本にはありますよね。山本耀司や川久保玲は80年代にパリに進出して、世界のファッションに対する考え方を大きく変えました。そして、日本にはこうした革新的なデザイナーがいるという期待が今あるのです。レジェンドたちの存在によって、日本の若いデザイナーには他国よりも革新的であることが求められているのは、プレッシャーかもしれませんが・・・。
──これまで拝見されたショーにおいて、評価したいブランドを教えてください。
まずはやはり、全体的な体験に圧倒されたyushokobayashi。ショーだけでなく、白い背景にシンプルなモデルで服を見ても、非常に興味深いルックでした。パーソナリティがあって本当に素晴らしかった。そして、FDMTL。非常によく作られた日本のデニム。もしかしたら既視感があるかもしれないが、クールで私も着たいと思ったコレクションでした。YOKEは、素材やテキスタイルへの理解が本当に深い。プレゼンテーションとしては少し思うところがありましたが、彼が初めて手がけたウィメンズウェアなので判断はできません。新しいことに挑戦しているのですから。服を実際に見て、触って、感じると評価は変わりました。ブランドによっては、着る必要がある服もあり、ただ見るだけではダメなんです。

HOUGAはともすると多すぎるほどの、パターンメイキングに興味深いアイデアがあったと思います。yoshiokuboのコレクションも好きで、着たいピースがいくつもありました。
ただ、日本のブランドは、ショーが終わった後に、誰も出て来ないため、誰がデザイナーなのか分かりません。それは大きな問題だと思います。yushokobayashiも女性だと思っていました!デザイナーに会いたいと思う、どんな人が作っているのか見たい。デザイナーにはショーの後、出て来てほしいですね!
──TOKYO FASHION AWARD受賞ブランドのような若いブランドがグローバルに展開するために、何が必要だと思いますか?
デザイナーたちには、もっと自分自身になってほしいと伝えたい。彼らは若く未完成だが、もっと自分自身であってほしい。そして、すべての人にアピールしようとしないことも大切。多くの若手ブランドやデザイナーにとって大きな問題は、すべての人にアピールしようとすることです。お金を稼ぐ必要があり、売る必要があります。でも、多くの人が着るトレンチコートやジーンズを作り始めた途端、世界があなたに興味を持った理由を失うことを忘れないでほしい。
私はいつも多くのブランド、特に若手デザイナーに、生産数を減らし、コレクションのルックも10,12,15ルックで完成させてほしいと言っています。コマーシャルピースは脇において、厳格で正確なコレクションとして、それだけでランウェイを作ってほしい。上海では、ランウェイショーで全てのルックを披露するため、「ランウェイで見たそのまま」の商品を販売しやすくなっていますが、そのせいでショーが非常に長くなり、単調になってしまいます。東京でもコレクション数を制限するルールがあれば、
でも、私はより影響力がある、スモールなコレクションに集中するべきだと思います。巨大なものを作る必要はありません。開発と生産によりお金を無駄しますし、伝えるべきメッセージを希釈してしまいます。
──世界的に見て、今注目している若手ブランドは?
グローバルなクリエイティブパーソンとして自身のNYコミュニティと故郷である中国のブランドをサポートしたいという想いがあります。中国は長い間、安価な生産国、「Made in China」は悪い品質だと見られてきました。でも、それは違うと思いますし、今は完全に変わっています。そうした意味もあり、私はできるだけ多くの中国ブランドを着るようにし、特に「AO YES」という若手ブランドを気に入っていて、SSENCEに紹介し、買い付けしてもらいました。私は世界中を訪れる数少ない一人であり、同時に素晴らしいコミュニティ、ネットワークを持っているため、若い才能をサポートできるように橋渡しをしています。新しい才能、新しい声は、すべてにとって非常に重要だと思います。私はそれらにインスパイアされていますし、サポートするべきなのです。
私はラグジュアリーブランドやビッグブランドを買いません。私に刺さるストーリーを語ってくれる若手ブランドだけを買っています。ちなみに、今履いているパンツは日本ブランドVowelsで、彼のブランドも良く着ています。これから日本のデザイナーたちとも関係値を深めて、愛せる、着たいブランドを増やしたいと思っています。アジアのブランドをこれだけ気にかけて推しているのは私が一番だと確信していますから!

──日本ブランドに期待することはありますか?
日本ブランドに限って、特別な期待はありません。服を作り、服を売り、人々がそれに興味を持ち、快適に生活できること、その秩序が保たれていることが大切で、ファッション業界に身を置く私たちが目指すべきことだと思います。ビッグなデザイナーになる必要はないですし、そのようなデザイナーが生まれることは将来的に稀なことでしょう。自分らしい、良い仕事をすること、そのことに集中することが全てではないでしょうか。
私は今回の来日で、日本のファッションは多くの人々とってゲートウェイであることがわかり、日本のファッション界に大きな興味を持ちました。過度な期待はしませんが、希望は多くあります。世界は阿部千登勢、藤原ヒロシを始めとしたデザイナー世代にも大きな敬意を持っていますし、若い世代が新しいやり方でショーを見せてくれることを楽しみにしています。新しい文化のための、新しい声が生まれてくることを。
Photography by MAYUMI
Interview by Tomoko Kawasaki
Blake Abbie
ブレイク・アビー[Instagram] @amagazinecuratedby
[Instagram] @blakeabbie
