アジト introduced by FACTOTUM
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国産ジーンズ発祥の地、倉敷市児島。
綿の栽培を背景に、紡績から縫製まで行い、産地として発展してきた。
多くの先人たちが児島のものづくりに魅了されてきたように、アジトとFACTOTUMも新たな物語を描く。
アジト
AGITPUNKT
岡山県倉敷市/創業:2010年/事業内容:メンズを中心とするジーンズの縫製/従業員数:7名
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児島のジーンズ
岡山県は綿花の栽培を背景に、紡績、撚糸、製織、染色、縫製の一貫生産機能のある産地として栄えた。倉敷市南東部に位置するのが、日本で初めて国産ジーンズが作られた地として知られる児島である。
ジーンズはこの産地に輸入されたものだったが、蓄積されていた産地の技術と交わり、そして多くの職人たちが産地に入り、児島独自のジーンズ製造文化が育っていった。
ここから世界を唸らせるジャパンデニムが発信されている。
東京のアパレルメーカーで生産管理として働いていた村山氏もまた、現場への思いが募り、生まれ故郷である児島でものづくりをすることを決意。
児島に戻り、製造現場で経験を積んで、2010年にアジトを設立した。
「東京で生産管理をしていると、理想とする製品が上がってこないことにジレンマを感じることもありました。自分が関わってものづくりをする以上は妥協したくないと思い、産地に入ることを決めました」と村山氏は当時を振り返る。
FACTOTUMのジーンズ
ジーンズの縫製は専門性が高く、縫製工場が産地の窓口となり、生地の調達から加工仕上げまで全ての工程を調整するケースが多い。
従ってブランドと縫製工場の意思疎通がうまく図れなければ、理想の製品は上がらない。
FACTOTUMデザイナー有働氏とは、村山氏が独立前に勤めていた会社で出会った。
2004年、デニムにブランドアイデンティティを置いたブランド、FACTOTUMを立ち上げるにあたり、「自分の好みを理解してくれていて、信頼の厚い村山さんにお願いしたかった」とデザイナー有働氏は当時を振り返る。
そこから途切れることなく村山氏がFACTOTUMのジーンズの生産を担当して10年になる。
産地のつながり
裁断、縫製、プレスはアジトの工場で行うが、他社からシーズン毎に生地を仕入れ、協力工場での加工の調整も村山氏の役目である。
FACTOTUMのジーンズに加工を施すのはさまざまな加工技術を持つWHOVAL(フーバル)である。特に、独自開発したジーンズの立体加工の技術は、国内外で高く評価されている。
フーバルの石橋社長は、「有働さんは3ヶ月に1回くらい現場に足を運んでくれる。うちの工場の職人たちとも顔見知りになっているし、みんな有働さんが来ると喜びます」と語る。
育まれた信頼
分業体制の中で、アジトの村山氏がブランドとの窓口となり、それぞれの会社が互いに信頼して、協力し合い、ものづくりが成り立っていく。
村山氏は有働氏について、「とにかく人との関わりを大切にする方」と言う。十数年前、出会った当時、「誰かに丸投げして生産するのではなくて、直接のやり取りを大切に、工場の職人さんの顔が見える形でものづくりをしていきたい」という、有働氏の言葉を今でも覚えているという。
アジトとFACTOTUMの取り組みは、定番商品のリファインとシーズン毎の商品開発の両面が行われる。定番商品があるから安定した仕事が継続し、シーズン毎の生地や加工の開発で現場の技術はさらに磨かれる。
児島で育まれた唯一無二の技術と信頼に支えられて、FACTOTUMのものづくりは進化していく。
Interview&Text:Shinya Miyaura (Secori Gallery)
Photography:Yohey Goto