INTERVIEW 09/25/2026

ANTHONY CALYDON アンソニー キャリドン

ANTHONY CALYDON デザイナー

ANTHONY CALYDON アンソニー キャリドン

2026年ANDAMピエール・ベルジェ賞を受賞したANTHONY CALYDONが、RUN x ANDAM FASHION AWARDS PARISとJFWOのコラボレートにより、ブランド初となるインスタレーションを開催。ブランドを象徴するオーバーロックステッチ×リブニットのアイテムで構成されたプレイフルなルックを披露した。

ブランドのシグネチャーでもある色とりどりのバッグやソックス、シュータンをデコレーションしたシューズがずらりと並び、ブランドのポップな世界観を体現した会場で、デザイナーであるANTHONY氏に話を聞いた。

──インスタレーションを終えたばかりの率直な感想を聞かせてください

全てのコレクションが一堂に会し、色とりどりの様子を披露できたことがまず本当に嬉しいです。多くの方のサポートがあって本当に素晴らしい形になりました。
今回のイベントには、過去に kiosqueで開催したポップアップイベントに来てくださった方の姿もありました。一方でピエール・ベルジェ賞の受賞を機にメディアで大きく取り上げられたことでブランドを初めて知ったという新しい方々の来場も多かったと思います。ブランドに対する認知やイメージが様々な方に、ブランドに直接触れてもらえる機会が持てたことを幸せに思います。

──ブランドにとって初めてのインスタレーションは、どんなテーマを掲げましたか?

パリでは自分たちのコミュニティに向けてショールームやポップアップショップを数多く手がけて来ましたが、今回初めてインスタレーションという形式を取り入れて東京で開催しました。特別なテーマは設けていませんが、ブランド立ち上げから現在に到るまでの3年間の活動を日本の皆さんに紹介したいと考えました。洋服、アクセサリー、アディダスとのコラボレーションシューズを披露し、パリのように、日本、東京でもコミュニティを作れたらと思っています。

──日本は、ブランドにとってどんな存在でしょうか?

東京にある「kiosque」という店舗と長い付き合いがあります。kiosqueのバイヤーは私たちをInstagramで発見してすぐに連絡をくれて、ファーストコレクションから取り扱ってくれています。当時、全てのコレクションを自分たちで縫っていたので、買いたいと要望してくれるショップ全てとは取引ができなかったのですが、もともと日本が好きで度々東京に来る口実にもなると思い、kiosqueを初めての取引先に選びました。ブランド最初のルック撮影も東京でしたし、最初の取引先も東京。そして初めてのプレゼンテーションも。縁の深い東京で、今日プレゼンテーションを行えたことはとても興味深いですね。

また、日本との関係性で言うと、パリで山本耀司さんに会い、最初のコレクションを見てもらってじっくり話す機会があったことも大きいですね。自宅の一室で、独学で作品を作り始めた私がどうやってファッション業界に入って行くのか、ブランドを浸透させていくのか、当時全てが難しく感じられていた時期に、彼から大きな励ましをもらえたことは本当に必要な後押しとなりました。

──Anthonyと「日本」の関係性が深いこと、私たちとしても嬉しく感じます。プレイフルな印象が強いコレクションですが、クリエイションのインスピレーションはどのようなところから得ているのでしょうか?

明確なインスピレーションというものは存在していませんが、ポップカルチャーやビデオゲーム、漫画の影響はあるかもしれません。アニメやゲーム、コミックに登場するスーパーヒーロは象徴的なコスチュームを身に纏っていますよね。常に黒を基調としたYohji Yamamotoのように、私もANTHONY CALYDONというブランドを立ち上げる前から、自分だけのシグネチャールックを見つけることにこだわってきました。ブランドを真に体現するルックや装いを見つけることが、クリエイションへ強く自分を駆り立てます。
それは全てのコレクションに取り組む際の指針でもあり、常に「これはANTHONY CALYDONだと即座にわかるか?」と自問します。だからこそ、同じ素材を使い続け、その素材の魅力を際立たせることが重要だと考えています。人々の記憶にしっかりと焼き付けるために。

──年に2回のコレクション発表というシーズン性を意識したものづくりとは異なりますね

その通りです。全体としては従来の方針を維持しつつ、現在取り組んでいる生地の可能性をさらに広げようとしています。新しい用途を見つけたり、未知の領域を探求したりすることに力を入れています。私にとっては、そうした探求プロセスこそがクリエイションの原動力であり、活動を続けるためのモチベーションになっています。新しいコレクションは常に素材研究の限界に挑んだ結果で、新しい繊維や糸の新たな活用法だったり、新しい配色だったりを披露しています。

──現在のビジネス状況についても聞かせてください

オンライン販売に重点的に取り組んでいます。顧客はフランス人が大半で、次にアメリカ、日本という構成ですね。
オンラインを中心に展開している現状では、物流面の課題が多く私たちの活動範囲はとても限られていますが、今後は日本でもポップアップショップを増やすなど、洋服をより多くの人に取ってもらえるようにしたいと思っています。今回のインスタレーションはANDAMを始め多大な支援をいただき実現できましたが、将来的には自分たちの力だけでも継続的に発表を続けられるようになれたらと願っています。

INTERVIEW by Tomoko Kawasaki
PHOTO by Harumi Obama

Anthony Calydon

アンソニー キャリドン
アンソニー キャリドンは、パリを拠点とする独学のフランス人ファッションデザイナーです。1993年12月生まれの彼は、独自の服作りの手法、彫刻的なフード、そしてポップカルチャー、映画、ビデオゲームからインスピレーションを得た世界観で知られるようになりました。彼の作品の独自性は、大衆文化の要素を、技術的で表現力豊か、かつ一目でそれとわかる高度に構築された作品へと昇華させる能力にあり、オーバーロックステッチを特徴としたシグネチャーは、彼の視覚的なトレードマークの一つとなっている。2026年のANDAMピエール・ベルジェ賞を受賞した彼は、フランスファッション界で最も有望な新進気鋭の才能の一人と見なされている。

[OFFICIAL ONLINE STORE] https://www.anthonycalydon.com/