INTERVIEW 09/25/2026

SONIA CARRASCO ソニア カラスコ

SONIA CARRASCO デザイナー

SONIA CARRASCO ソニア カラスコ

26AWシーズンに引き続き、今季もRUN x ANDAM FASHION AWARDS PARISとJFWOが協業した一環として、6月のParis Fashion Weekでもショーを発表した「SONIA CARRASCO」がRakuten Fashion Week TOKYOで初ショーを開催した。
スペイン出身のソニア・カラスコはZARA、アレキサンダー・マックイーン、フィービー・ファイロ時代のセリーヌでの経験を経て、2020年に同ブランドを設立。テーラリング、クラフツマンシップ、そして構造という視点から生み出すクリエイションが高く評価されている。日本でもすでに大手セレクトショップや百貨店などで取り扱われている注目デザイナーにショー終了直後に話を聞いた。

──今回東京で発表されたショーのコンセプトを教えてください

パリでのショーでは、スペインのルーツを表現したいと考え「ソブレメサ(sobre Mesa)」をテーマに据えました。ソブレメサとは一年を通して見られる習慣ですが、食事を終えた後、お酒を飲んだり、ただ語り合ったり、音楽を奏でて楽しんだりする時間です。まさにスペインらしさが詰まった、最も心安らぐひとときと言えます。
私は常にプロセスを意識しています。今回のショーでも、食事という体験全体の一部を成す大切なプロセス「ソブレメサ」という時間を、日本のスタイルを反映させて表現したいと思い作り上げました。

Rakuten Fashion Week TOKYO 2027 SS

──日本のスタイルというのはどこから着想されましたか?

構造的な要素を重視しました。メガロポリスのテルシオンという概念をヒントにしています。厳格で完璧なものと、自由で崩されたような要素を組み合わせること、それがコンセプトになっています。一般的なランウェイは採用せず、構造的なフォルムと、非常に流動的でオーガニックな要素を融合させ、自然な雰囲気を生み出したかった。モデルが観客の中に入り込み、動き回ることで、誰もが異なる視点からランウェイを眺められるようにしました。座る位置や向きによって、あるいは誰と一緒にいるかによって、一人ひとりが異なる体験をすることになったと思います。これはブランド精神とも深く結びついています。私たちは、完璧なテーラリング、あらゆるディテールに至るまで非の打ち所がない仕立てがあります。その一方で、動きに富んだニットウェアもあり、軽やかさや流動性を感じさせます。こうした2つの要素を融合させ、あえて型破りな方法で表現したいと考えたのです。

──スタイリングなど、ルックで変化させた点はありましたか?

ベースにある考え方は変わっていませんが、より春を意識しました。6月のショーでは夏らしいスタイルを打ち出しましたが、今回はランジェリーの要素を全面的に採用し、様々なアイテムを組み合わせつつ、モデルには自然体でいてもらうことで、洗練された雰囲気の中にナチュラルなスタイルを融合させようとしたのです。ルック数は減らし、一つ一つを力強く作り込みました。

Rakuten Fashion Week TOKYO 2027 SS

──クリエイションにおいても「プロセス」を重視されていますが、クリエイションの原動力になっているものは?

私は常に服がどのように作られるのかというプロセスに意識を向けています。「なぜこの要素はここにあるのか、なぜそこにはないのか」といった問いを自分に投げかけ、服というものをより深く理解しようと努めています。服に限らずあらゆるものの成り立ちや探求からインスピレーションを得て、コレクションを作り上げています。
ファッションはSNSの影響もあり、完成した時の見た目やイメージばかりが重視されるようになっている気がします。でも、服が作られる過程に目を向ければ、パターンや縫製、フォルムといった要素に注目できるはず。アイロンをかけるための印や、作業中に付けた目印など普通なら、仕上げの段階で跡を消してしまうもの。あえてそれを取り除かずに見せることで、美しさが際立つこともあると思うんです。私たちのブレザーに入れているVステッチのように、それがブランドのロゴや象徴になっていくこともあるわけです。
私はいつも工場に足を運びます。工場で職人たちがどのように作業しているかを学ぶのが大好きですし、私のデザインのインスピレーションの多くは、工場での体験から生まれています。例えば、製造途中の服がレールに吊るされているのを見て、「わあ、これすごくいい!」と惹かれ、「よし、これを活かそう」と決めるような感じです。コレクションには、工場でのそうした体験からインスピレーションを得た服がたくさんあるんですよ。

──ヨーロッパ外で初めてのショーでしたが、終えられて率直な感想を聞かせてください

ブランドが日本と繋がる、極めて重要な機会になりました。日本のマーケットは私たちにとって最大の市場であり、この関係性は本当に特別なものです。そして、日本には、私たちのような新進気鋭のデザイナーたちを支えてくれる存在があり、常に新しい才能を見出し、支援しようとする姿勢があります。
今回東京でショーを開催できたことは、単に店頭で服を販売するだけにとどまらない関係を築く機会になったと思っています。コミュニティと繋がり、SONIA CARRASCOとコミュニティの間に特別な絆を育むチャンスになりました。私たちにとって、非常に感慨深い経験で、心から嬉しく思っています。
また、東京のファッション・ウィークにゲストデザイナーとして参加し、コレクションを発表できたことは、私個人にとっても特別で誇りに思います。日本の文化に深い敬意を抱いていますし、何より創業当初から私たちを支えてくださっている方々と直接お会いできたことに大きな意味を感じています。

──日本のマーケットをどのように捉えていますか?

日本の方々は、文化的な側面が大きく、細部にまで目を配られる印象です。作りがしっかりしているか、丁寧に仕上げられているか、素材は良いか、ボトムスや付属品の質はどうかといった点など。品質に関わる部分を重視する国民性であり、私自身もデザインする際に大切にしている点であり、共感を覚えます。
ファッションだけでなく、椅子や建築、あるいはアクセサリーなど、あらゆるものに対してそうした意識を持っていますよね。細部まで目を配り、丁寧に作られたものを高く評価し、その真価を理解する。だからこそ、最も厳しい目をお持ちの日本の方々に認めていただけると、「自分たちのやっていることは間違っていない」と確信が持てるのです。日本の素晴らしいショップでSONIA CARRASCOが取り扱われ、実際に多くの方に身につけていただけていることを本当に光栄に思います。

──パリと東京のファッション・ウィーク、違いは感じましたか?

ショーを行う上で大きな違いを感じました。パリは何でも自由度が高いのですが、新進ブランドである私たちは、ありとあらゆる細かなことまで自分たちで対応する必要があるので、大変なことも多いんです。一方、東京ではプロフェッショナルで素晴らしいチームが支えてくれました。特に制作チームの多大な協力のおかげで、ランウェイの準備はスムーズで、リラックスして自信を持って臨むことができました。本当に素晴らしい環境だと思います!
また、日本のデザイナーにはそれぞれ独自の個性がありますね。インスピレーションやデザインは、デザイナー自身の個人的な体験や感性から生まれます。人生経験や背景にある文化が違えば、他のデザイナーと同じものを作るのは難しいものです。ここ日本にいるデザイナーたちは、世界の他の地域にはない特別な何かを持っていると思います。例えば、無駄を削ぎ落としたような、すっきりと洗練されたディテールやフォルム。これらは非常に日本的と言えます。その一方で、もっと大胆で独創的、あるいは強烈な自己表現を追求するデザイナーもいます。そうした多様性は素晴らしいこと。それぞれ独自の個性とアイデンティティを持っており、それこそが最も重要なことなのだと思います。

──最後に日本のファンの皆さまにコメントを

またすぐ日本に戻って来たいと思っています!また皆さんにお会いできますように!

INTERVIEW by Tomoko Kawasaki
PHOTO by Harumi Obama

Sonia Carrasco

ソニア カラスコ
スペインのバレンシア生まれのソニア・マルティネスは、経営学を学んだ後、IEDマドリードでファッションデザインを専攻しました。ザラ、アレキサンダー・マックイーン、フィービー・フィロ率いるセリーヌでの勤務を経て、2020年に「SONIA CARRASCO」を設立しました。テーラリングと職人技を基盤とし、その作品は制作プロセスを通じて衣服の構造を探求し、従来の常識に疑問を投げかけ、普段は隠れている要素を浮き彫りにしています。