Interview & Report

Simon Burstein

Simon Burstein サイモン・バースタイン

「Browns」CEO

1970年、ジョアンとシドニーバースタインによって「ブラウンズ」をオープン。英国で初めて、ソニア・リキエルやコムデ・ギャルソン、ミッソーニ、ジョルジオ・アルマーニ、ダナ・キャラン、ロメオ・ジリ、ジル·サンダー、ドリス・ヴァン・ノッテンなどを、続々と展開。2008年、ブラウンズの最高経営責任者(CEO)としてサイモン·バースタイン氏が就任。

[ ブラウンズ ] www.brownsfashion.com

世界のファッション都市のひとつ、ロンドン。年2回開催されるロンドンコレクションには、世界中からたくさんのファッションジャーナリストやバイヤーが訪れるが、この夏はさらにオリンピック開催都市としても、多くの注目を浴びることとなるだろう。
オリンピックイヤーで盛り上がるロンドンで、40年以上の歴史を持つセレクトショップ「Browns(ブラウンズ)」。老舗セレクトショップでありながら、若いクリエイターとコラボレートし、常に新しい風を取り入れて、国内外の多くの顧客に今のロンドンのファッションを発信し続けている。
今年3月のMercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2012-13 A/Wに、JETRO(日本貿易振興機構)の招聘で来日した、ブラウンズCEO サイモン・バースタイン氏に、ブラウンズの話や日本のクリエイターについて感じること、海外展開のアドバイスなどをうかがった。

日本にも多くのファンを持つブラウンズですが、まずはショップのご紹介からお願いします。

1970年の開業から42年間、ロンドンで営業していますが、家族3世代で来店する顧客もいます。ファッションフリークから、セレブ、ミュージシャン、俳優まで、ロンドンに来たら必ず立ち寄るショップとして、世界中からたくさんのお客様がいらっしゃいます。
現在、200ブランドほど取り扱っていますが、すべて高い基準でセレクトし、商品はさらに厳選したものを置いています。常に新しい商品を入れているので、とても”ライブ”なセレクトショップと感じて頂けると思います。日本のブランドでは、ミハラヤスヒロ、ジュンヤワタナベ・コムデギャルソン、サカイ、カラー、アンダーカバーなどを扱っています。
2004年からブライダルも展開していますが、それに付随するアイテムとしてジュエリーにも厳選しています。ブラウンズのブライダルコレクションとして、世界観の調和を大切にしたディスプレイも心がけています。
ホームページやSNSなど、ウェブ上での発信にも力を入れています。ブロガーやフォトグラファも抱え、パリコレに派遣し、現地からリアルタイムで情報を発信してもらっています。
ブログはこちら http://weblog.brownsfashion.com/

創業40年以上という長い歴史の中で、消費者の変化を感じられますか。

ファッション市場において選択肢の幅が広くなっているので、お客様は賢くなっていると思います。ブラウンズとして、そんな賢いお客様のニーズに応えるために、バイイングの目を日々磨き、強い意志を持ってセレクトしています。
ブラウンズには、”フォーカス”といって、よりエッジの効いた商品を揃えるコーナーがあります。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションから若いイラストレーターを発掘し、当店のバイヤーとコラボレートして、Tシャツを制作しています。小さいマーケットではありますが、若さとエネルギーのあるデザイナーの芽には注目して展開しています。
また今年は、ミハラヤスヒロとジョイントレーベルで、商品を展開しています。メンズ、レディスのシャツで、今後、日本でも発売する予定ですので、楽しみにしていてください。

日本でクリエイティブ・ディレクターとして活躍されている源馬大輔さんが、以前、ブラウンズに所属していましたが、どのような印象をお持ちですか。

これまでにも日本人スタッフはいましたが、彼は特に印象に残っています。商品知識が豊富で、セレクトも的確でした。彼に限らず、ブラウンズのスタッフは、皆個性がある。だから、お客さんもスタッフのスタイリングを見て、参考にして商品を選んだり、信頼してスタイリングの相談もできるんです。

今回、JETROの招聘で来日されましたが、お話があった時、どう感じましたか。

以前、日本でビジネスをしていた頃がありましたし、日本の文化も大好きなので、本当に嬉しかったです。以前から気になっていたブランドのデザイナーに会うこともでき、とても満足しています。

世界的に見て、東京のファッションの独自性は何でしょうか。

東京は非常に大きなマーケットなので、”これが東京のマーケット、スタイル” と特定するのは難しいと思います。六本木、青山、渋谷、原宿など、エリアによって様々なので。でも、そのバリエーションがあるのが東京の面白さではないでしょうか。
“プリティ” “キュート”など、いわゆる “kawaii” スタイルは、ずっと続いているように感じますし、東京のスタイルの源になっているように思います。学生の制服からきているように思いますが、東京の “kawaii” は世界中に影響を与えているのは間違いないでしょう。日本人デザイナーを見てもイッセイ・ミヤケなど、独特の個性を持った人が多いと思います。
ストリートファッションでは、同じヨーロッパでもパリとミラノはまったく異なりますが、ロンドンと東京は似ているように思います。個性が強く、各個人でモードを楽しんでいるようなイメージです。

日本のデザイナーの印象やファッション・ウィークに対しての助言などがありましたら、ぜひお願いします。

いくつかのショーや若いデザイナーの作品を見ましたが、パッションとエモーションが非常によく表現されていると思います。中でも、メンズブランドの「ファガッセン」(デザイナー:青木 俊樹)と「MANDO」(デザイナー:高巣 満導)には、とても将来性を感じました。
日本の若いデザイナーの課題は、パッションやエモーションを外に向かって発揮すること。日本のデザイナーは国内市場に集中しすぎているように感じるので、もっと海外に目を向けて、発信していって欲しいと思います。

INTERVIEW by JFWO web staff

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