Interview & Report

岡本 大陸 Dairiku Okamoto

岡本 大陸 Dairiku Okamoto DAIRIKU(ダイリク)

DAIRIKU Designer

1994年生まれ。15歳の時に出身の大阪独自のユーズドアイテムやユースカルチャーに影響を受け、VANTANデザイン研究所ファッションデザイン学科に入学。在学中から、自身のブランド「DAIRIKU」をスタートさせる。2016年10月にAsia fashion collectionグランプリを獲得し、2017年2月にNYファッションウィークにて、初となるランウェイ形式でコレクションを発表した。現在は東京に拠点を移し、2018SSシーズンより本格的に展示会形式でコレクションを発表。

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「TOKYO FASHION AWARD 2022(以下、TFA)」にてグランプリを受賞した「DAIRIKU」は、パリでの展示会後、「Rakuten Fashion Week TOKYO 2022 A/W 」で、デザイナー岡本大陸氏自身のルーツを詰め込んだショーを開催。映画の撮影現場を彷彿とさせる会場には、多くの人々が集まり注目度の高さをうかがわせた。アメカジをベースに、独自のシルエットや配色などのディテールをプラスしたコレクションに対する発想の根源や、TFAに参加したことでブランドとして変化したことなどについて、岡本大陸氏にインタビューを行った。

まず初めにブランドの立ち上げについて教えていただけますか。

雑誌で見つけた古着に興味を持って、大阪にあるアメ村に行ったのが高校生の時ですね。その時にドメスティックブランドとかインポートという言葉を覚えて、少しずつ自分でも作りたいなと思うようになって。VANTANに入ってからは、在籍中に自分で作った服を展示会形式で発表したり、積極的に発表の場を作っていたと思います。2016年にAsia fashion collectionでグランプリをいただいて、翌年ニューヨークでランウェイをしたときに、日本のセレクトショップの方が連絡をくださったので、これなら営業に行けば服を置いてもらえるんじゃないかと感じたのがブランドを立ち上げるきっかけになりました。

映画をコレクションのテーマに展開していらっしゃいますが、毎シーズンどのように決めているのでしょうか。

映画好きだった父の影響が大きいと思うんですが、年間250本くらい観た年もありました。新しい映画を観ることもありますが、やっぱり昔の映画の中からインスピレーションを受けることが多いですね。ダスティン・ホフマンの『卒業』(1967年)や『イージー・ライダー』(1970年)はずっと好きな映画なので、その辺りの映画をテーマにしていきたいなっていうのはあります。TFAでパリに行かせていただいたので、次は『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年)みたいな感じがいいなとか、常に次はこの映画かなっていうのは考えています。ただ映画のスタイリングをそのまま表現するのではなく、その時々で感じていることや、他の映画を見ていいなと思ったところを混ぜ合わせて、自分の中で新しいストーリーを作っていくような感覚でコレクションを展開しています。

日本で初めてのランウェイとなったRakuten Fashion Week TOKYO 2022 A/Wでのショーは、どのような気持ちで取り組まれたのでしょうか。

ルックを一緒に作っているスタイリストの方とずっとショーをやりたいねって話していたので、実現できてよかったです。毎シーズン映画をテーマにコレクション展開していて、2022 A/Wでは『ウォールフラワー』『シング・ストリート』などの映画をミックスさせましたが、ランウェイのセットは『8 1/2(はっか にぶんのいち)』をテーマに、映画のセットのような空間を作りました。本音を言うと、例えば海とかホテルとかテーマに沿った場所の方がコレクションの世界観に合うなと思っていましたが、映画自体スタジオで撮影するものだと考えたらいろんな表現ができるなと思って。ヒカリエというブラックボックスでショーをするという制限があったからこそ、そこに行き着いたというのが逆によかったなと思っています。

ショーでは、さまざまなジャンルのスタイルが登場することで、古着屋巡りをしているような印象も受けました。

そうですね。アメ村はいろんな人がいたので自然とそうなったんだと思います。8シーズンまでは「この年代」「この年代」「この映画のニュアンス」みたいな感覚で展開していましたが、それ以降はアメ村とか裏原を意識するようになったこともあり、いろんなものをミックスしてルックを作っていくスタイルに変わりました。ファッションでは年代ごとのルールみたいなものがありますが、ミックスされている方が自分の空気感に合っているなというか。2023 SSのコレクションでも50年代〜70年代をミックスしていますが、古着屋さんに行くとたまたま手に取ったものが80年代の物だったり、50年代の物だったりってことがよくありますよね。そういうニュアンスでモノづくりをしている感覚が大きいかもしれないですね。

TFAへの参加は、ブランドにとってどのような経験になりましたか。

どちらかというと悔しい思いの方が大きかったですね。パリでは日本ブランドの一つを目掛けてバイヤーさんが来るみたいなことはないわけで。結果オーダーをいただけたましたが、逆にその悔しさが毎シーズン行きたいと思うきっかけになりました。DAIRIKUのファーストシーズンのときに、いろんなバイヤーさんに連絡したけど全然展示会に来てもらえなかったことを思い出したので、頑張ろう!という気持ちになりました。そういった意味でも自分の気持ちを高揚させるいい機会になったので、参加してよかったなと思っています。

TOKYO FASHION AWARDへの応募を検討されているブランドへ、メッセージをお願いします。

一緒にパリに行くデザイナーの方々との出会いとか、パリでの反応を肌で感じることができることはとても良い経験になりますし、いろんなことへ挑戦するきっかけにもなるんじゃないかなと思います。

最後に、今後のブランドの展開や展望についてお聞かせください。

TFAの展示会であと2回パリに行かせていただきますが、次は一人で行ってみたいと思っています。そのためにはまだまだ地盤を固めてからじゃないと、とは思っていますが。昔から海外で展示会をしたい、海外でショーをしたい、大阪と東京にショップを出したいという気持ちを持っているので、それが実現できるように頑張りたいと思っています。

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