Interview & Report

舟山 瑛美 Emi Funayama

舟山 瑛美 Emi Funayama FETICO(フェティコ)

FETICO Designer

1986年生まれ。高校卒業後、渡英。帰国後、エスモードジャポン東京校入学、2010年卒業。コレクションブランド等で経験を積み、2020年にフェティコを立ち上げる。

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2020年のデビュー以降、ファッションアディクトな女性たちから熱狂的な支持を集めるウィメンズブランド「FETICO」。JFWOがグローバルに今後活躍が見込めるブランドに対して育成支援するサポートプログラム「JFW NEXT BRAND AWARD」の初年度受賞ブランドでもあり、この8月満を持してブランド初のランウェイショーをRakuten Fashion Week TOKYO 2023 S/Sにて開催予定だ。業界中から注目されるブランドについて、デザイナーの舟山瑛美氏に話を伺った。

ブランドのコンセプト、ものづくりにおいて大切にされていることは何でしょうか?

ブランドコンセプトは、「The Figure : Feminine(その姿、女性的)」。洋服を作る上で「女性的である」ことを絶対的な要素としてコレクションを展開しています。ものづくりにおいては、自己肯定感が上がる洋服であること、クリエイティブとクオリティを両立させることを重視しています。黒が作り出すフォルムに強さを感じますし、写真に撮ったときに表出する、黒が生み出す立体感が好きです。フィッティングやパターンチェックにもすごく時間をかけていて、パタンナーと共に美しさや新しさを追求していますね。
この時代に私がわざわざ洋服を作るのであれば、本当に大切にしてもらえるものを作りたいんです。クローゼットの中で一番のハンガーにかけてもらえるような、お気に入りの洋服を届けたいと思っています。

2022 A/W LOOK

ブランドとしてSDGs的観点は意識していますか?

ブランドをスタートした当初から、価値のない洋服は作らないと決めています。ヴィンテージウェアのように時代を経ても価値のある、丁寧に作られた美しいものを提案したい。売れる商品だったとしても、自分自身で無駄だと思うことはやらない。サステナブルありきで素材を選ぶことはブランドの理念と異なるのでやりませんが、デザインを優先した上でサステナブルな素材が選択肢に上がることも増えています。

2020 A/Wシーズンからスタートされて、次に発表される2023 S/Sで6シーズン目ですね。短い期間にブランドが急成長していることについて、どう捉えていらっしゃいますか?

セールスもプレスも契約しないまま、ファーストシーズンはスタートしました。売上も大きくはなかったのですが、ブランドに熱狂してくれる方の存在に手応えを感じ、これなら売れるかもしれないという思いは持てました。小さなコレクションでしたが、メディアにも取り上げていただき次シーズンからはザ・ウォールがセールスに入ってくれることも決まったんです。ザ・ウォールの取引先は私がイメージしていた客層とマッチしていたので、是非という感じで。そこからエッジな店舗さんに卸せることになり、その後大手セレクトも決まりだして、と順調に伸びている印象です。

現在のお取引先はどのくらいでしょうか?

国内で約30アカウントのお取引先があります。通常はインポートブランドを着ていて、ファッションに重きを置いているお客様からご購入いただいているようです。年齢もテイストも様々ですが、好きな洋服がないと生きていけない、ファッション狂の方々に気に入っていただいて。スキニーな男の子がボトムやアウターを着てくれることもあって、嬉しいですね。

FETICOがお客様を魅了できている理由は何でしょうか?

FETICOは、男性目線ではなく、女性が自身のために振り切ってボディコンシャスを楽しめる服が多く、日本でこのゾーンを提案するブランドがなかったことが大きいと思います。モードブランドであり、性的にも美しさのあるブランドです。海外にはこのゾーンのブランドが存在しますが、大人の女性にとってはトゥーマッチに感じることも。品があって、奥ゆかしいセクシーさを提案しています。日本人は女性性を隠しすぎな印象があるので、大人の女性にも肌やボディラインの露出をもっと楽しんでほしいと思っています。

2022 S/S LOOK

クリエイションにおけるインスピレーションはどのように得ていますか?

古典的なクチュールファッションも参照しますし、その時々で気になっているアーティストや女性像を意識したりします。

2023 S/Sシーズンはどのようなテーマでコレクションを発表されるのでしょうか?

作家でヌードモデルでもある鈴木いづみさんをインスピレーションにして、湿度を感じることができるコレクションとして進めています。

2023 S/Sシーズンにおいて、Rakuten Fashion WEEK TOKYOへ初参加されることになった経緯を教えてください。

ショーをやらないの?とお声かけていただくことも増えていましたし、22AWシーズンで取引先がさらに拡大し、ブランドへの熱気が高まっているのを感じていたので、どこかにこの勢いをぶつけてみたいと思っていました。また、個人的に気になっているブランドがショーをしていたりと、東コレの存在感も高まっている印象があったので、このタイミングでショーを開催できるのは良いかなと参加を決めました。

ショーの構想についての意気込みをお聞かせください。

自身のショーとしては卒コレぶりになるので、今は正直緊張しています・・・。ドラムカン の若槻さんとご一緒して、ストイックなランウェイショーを目指しています。今まではモデルが一人か二人のルックでのプレゼンテーションだったので、ショーを通して多様な女性像をお見せできたらと思っています。提案する30ルックを通して、自分だったらこう着たい、こういう女性になりたいとポジティブな考えを持ってもらえたら嬉しいです。
オンライン配信も予定していますので、今までブランドを知らなかった方にも届けたいし、ファンの方にもブランドの世界観を楽しんでもらいたいですね。

ブランド初となるランウェイショー、楽しみにしています!最後に、ブランドとして、デザイナーとして今後の展望を教えてください。

ブランドとしては、まず継続が重要なので、丁寧にブランドを育てていきたいと思っています。ブランドが売れることを一緒になって喜んでくれる工場さんもいて、成長のメリットを享受できる人たちを増やしたいという想いもあります。TOGAさん、sacaiさんのように、海外で認知されるブランドを目指したいですね。ファッションの中心は日本ではないと認識しているので、海外で通用するものを作るという目標を常に持っています。
デザイナーとしては、ブランド力を高めたいので、トータルでスタイリングを提案できるようにバッグやジェリーなども手がけていきたい。また、今はクリエイティブかつリアルクローズなファッションを提案していますが、ドレス、一点モノのようにクリエイティブに振り切ったり、よりセールスを意識したアイテムに挑戦してみる等、ブランドとしての幅を広げていきたいと考えています。

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