Interview & Report

落合 宏理 Hiromichi Ochiai

落合 宏理 Hiromichi Ochiai 「FACETASM(ファセッタズム)」デザイナー

TOKYO FASHION AWARD 2015 受賞デザイナー

1977年 東京生まれ
1999年 文化服装学院卒業
2007年 春 自身のブランドFACETASM を始動
2012年 S/S Fashion Week TOKYOにてRUNWAYデビュー
  1月 PITTI UOMOにて開催された"TOKYO FASHION WEEK in ITALY"に参加
2013年 第31回 毎日ファッション大賞“新人賞・資生堂奨励賞”を受賞

6月に開催されたミラノのメンズ ファッション・ウィークにおいて、海外では初となるランウェイショーを行い、高い評価を獲得したFACETASM(ファセッタズム)TOKYO FASHION AWRAD 2015受賞デザイナーとして、パリのショールームで行った2度の展示とともに、現在の東京を代表するブランドとしての存在感を、世界のファッション関係者にアピールしてみせたデザイナーの落合宏理に、現在の心境や、海外進出を見据えた今後の展望などについて話を聞いた。

先日、ミラノのメンズ ファッション・ウィークで初めて海外でショーをされましたが、まずはその感想からお聞かせ下さい。

今回は、東京での活動が評価され、ジョルジオ・アルマーニ氏からオファーを受け、貴重な発表の機会をいただくことができました。お話をいただいてからの時間が非常に短かったこともありますが、すべてが初めての経験だったので、あらゆることが大変でした。ショーでは、ファセッタズムらしさをしっかり表現することを前提に、人種や性別を超えた自由なファッションを提案することを意識し、シルエットやカラーバランス、モデルのキャスティングなどを考えていきました。

FACETASM 2016 S/S メンズコレクション

01_showroom.com
03_showroom.com

パリで行われたshowroom.tokyoの様子
上:2015年1月/下:2015年6月

このショーが実現したひとつのきっかけとして、TOKYO FASHION AWARD(以下、TFA)の受賞デザイナーとして、3月に東京で行った凱旋ショーがあったそうですが、TFAに応募された動機について教えて下さい。

これまで東京でコレクション発表を続けてきた中で、アジアを中心に海外の取引先は増えてきていましたが、直接海外に出て自分たちの洋服を見せる機会はありませんでした。ブランドの次のステップとして、海外進出というものが重要な課題になると考えていましたが、東京のファッション・ウィークはミラノやパリ、ニューヨークなどよりも開催時期が遅いため、仮に展示会を見に来てくれたとしてもバジェットがすでに残っていなかったり、それ以前に東京に足を運ばないバイヤーも多い。そこで、海外でのコレクション発表をサポートしてくれるこのアワードに応募することにしました。

 

2015-16 A/Wコレクションを発表された3月のショーでは、「love」という非常にシンプルかつ普遍的なテーマを掲げていましたが、毎回コレクションのテーマはどのように決められるのですか。

特にこれといった決め方はありません。最初から明確なテーマが決まっている時もあれば、最終的にできた洋服を見て、自分が表現したかったことが見えてくることもあります。「love」については、洋服が半分くらいできた段階で決まったのですが、この言葉が書かれたDMが届いたらいいなという単純な思いもありました。この時は、東京での8回目となるショーだったのですが、洋服、演出ともに完成度が高いものを見せられたという手応えがありました。

FACETASM 2015-16 A/W コレクション

2012 S/SシーズンにMBFWTでランウェイデビューをされましたが、落合さんにとってファッションショーとはどんなものですか。

やはりモードにおいてショーというのは王道ですし、非常に大切なものだと考えています。そうした場でコレクションを発表していくことはブランドとして必要なことだと感じていましたし、実際に始めてみると、良いものからそうでないものまで、さまざまな評価を聞くことができ、それが自分たちにとって非常にプラスになっています。もともと僕はブランドの運営については未経験のままファセッタズムを立ち上げたので、ショーを続けていく中で毎回勉強を繰り返し、ここまでやって来られたというところがあります。

ファセッタズムは、東京を象徴するブランドと言われるようになって久しいですが、ブランドとしては、東京から発信していくということへの思いは強いのですか。

東京らしいと言われることは確かに多いですし、自分たちとしてもそれは嬉しいのですが、特に強く意識しているわけではありません。僕自身が東京で生まれ育ったので、この場所でしかつくれないというだけで、自然と自分から出ているものが、東京らしいと捉えられているのだと思います。僕としては、逆にもっと東京の外に発信したいという気持ちが強いですし、そのためには自ら海外に出ていかないといけないということを、今回のTFAのパリのショールームに参加して、肌で感じました。

 

東京のブランドに対する海外からの評価についてはどう感じていますか。

東京のブランドやファッション・ウィークの認知度は、まだまだ低いと感じました。ただ、これまで東京でショーを続けていて、ファッション・ウィークに来るゲストのレベルは年々上がっていると感じていますし、東京のブランドのポテンシャルは高いと思います。ただ、それを評価してもらうためには、やはり今回のTFAのように海外との窓口になるような場が必要だと感じています。

ブランド立ち上げからまもなく10年となりますが、今後の展望について教えてください。

今回、パリとミラノでコレクションを発表させていただき、良い反応、結果を得られたので、これをしっかり次に活かしていかなければならないと強く感じています。ブランドとして、常に前進していきたいと考えていますし、今できることを考えながら、世界の人たちを驚かせるようなものを、自分たちなりの形で見せていければと思います。これまでと同様に、今後も予期せぬ色々なことが起こると思いますが、その都度柔軟に対応しながら、自分たちにとってプラスになることを、しっかり責任感を持って続けていければと考えています。

 

 

Interview by Yuki Harada
Photography by Yohey Goto

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