Interview & Report

志鎌 英明 Hideaki Shikama

志鎌 英明 Hideaki Shikama Children of the discordance(チルドレン オブ ザ ディスコーダンス)

Children of the discordance DESIGNER

2005年より原宿でセレクトショップ Acycle をスタート。
同時にストアブランドの企画生産を始めデザイナーとしてのキャリアスタート。ストアのダイレクションとデザイナーを6年務める。
2011年デザイナーの木戸・井ノ川とともにレーベルを立ち上げ、
2013年より志鎌1人体制でブランドを継続しコレクションを発表。
2014年海外でのコレクション発表を開始。
2017年TOKYO FASHION AWARD 受賞。

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TOKYO FASHION AWARD 2018の受賞後、海外アカウントとの取引が増え、世界中でファンを増やし続けているChildren of the discordance。2021AWシーズンでは、ミラノ・メンズ・ファッションウィークでコレクションをデジタル発表後、Rakuten Fashion Week TOKYOでランウェイショーを開催し、圧倒的な世界観で顧客、取引先を魅了した。今後、国内外において更なる躍進が期待されるブランドの現状と今後について、デザイナーの志鎌氏に話を伺った。

東京国立博物館でのランウェイショー、圧巻でした!今回Rakuten Fashion Week TOKYOでショー形式にて発表されることになった経緯を教えてください。

去年の3月からショー形式で発表したいと思っていて、ようやく今回フィジカルで発表できました。コロナの影響で、海外でショーを開催することが出来ず、またいつ出来るかもわからない状況ですが、いつ海外で発表しても良いように、海外と同等のロケーションで発表したいと考え、東京国立博物館「表慶館」を会場に選びました。ここ1年半ずっとショーをすることが出来なかったので、ブランドの今の姿をとにかく見て欲しかったですし、こんな時代だからこそ、一つ一つの発表を無駄にしたくないという想いで臨みました。

発表されたコレクションについて、テーマについて教えてください。

「dawn(夜明け)」という、今の状況が明けてほしいという自分の感情を込めたテーマで発表しました。ものづくりの軸は変えていませんが、無駄をなくしたり、要素を削ぎ落としたりして、色褪せたグラデーションのようなコレクションにしました。これまで使わなかった白、黒もありますし、曼荼羅もカラーを絞り、全体の色味を整えて統一感を出しています。ショー自体も、会場、音楽ともに良くて、僕の戻り方を除けば(笑)、現時点で出来得る中で99%の力を見せられたと思います。

Children of the discordance + FACE A-J 2021 A/W collection runway show

ショー発表後の反響はいかがでしたか?

反響はすごくありました。東京でのショーでも、特に海外からの反応が大きくて、新規取引先の獲得にも繋がっています。とはいえ、ファッションウィーク東京の参加ブランドの中で、僕たちは知名度が10番目くらいだと思っているので、まだまだこれからという想いが強いですね。

FACE A-Jとのコラボレーションはどのようなものだったのでしょうか?

FACE A-Jのディレクターを務めていらっしゃるUNITED ARROWS 栗野さんから声をかけていただき、マリ、ブルキナファソのテキスタイルを使用したアイテムを製作しました。エチオピアンクロスから着想したアイテムもあります。天然の木版染など世界中で評価されているテキスタイルでセットアップを製作するなど自分の中でも満足しているので、継続して取り組む予定です。

Children of the discordance + FACE A-J 2021 A/W Collection

今回はTOKYO KNITとのコラボレーションも発表されましたね。

TOKYO KNITとの取り組みはJFWディレクターの今城さんからのご紹介を受けてスタートし、ニット6型、カットソー20型程度、製作しました。自社にニットの専門チームがあるのでこれまで他社さんと協業することはなかったのですが、TOKYO KNITにはやりたかった技術やイメージしていたテキスタイルがあり、訪問した工場でスイッチが入りました。ブランドのものづくりや見え方が変わるきっかけになるかもしれないと生地を見て感じました。また、担当してくださっている工場の皆さんがとても良い方達で、人柄に惚れてしまったところも大きいです。

ミラノでデジタル発表された映像は、今回の発表とはまた違ったベクトルで非常にクールな印象を受けました。

ミラノで発表した映像は、僕たちのバックグラウンドにあるヒップホップカルチャーを活かし、ミラノで見てもらえるもの、ミラノで発表して意味のあるものとして制作しました。UKでも流行しているドリル、グライムというヒップホップジャンルを乗りこなし、ヨーロッパのフォロワーも多数抱えているHideyoshiとRalphのラッパー2人がパフォーマンスするMVです。海外のファッション好きな方々も喜んでくれ、こういった状況下でも新規取引先が増えました。ムービー公開後すぐに、着用アイテムやコレクションアイテムに焦点を当てたルックブックの公開や、オンラインMTG、デジタルセールスプラットホームのJOORを活用するなど、遠隔でのセールス体制を整備したことも成果に繋がっているかと思います。

AW21 Children of the discordance MILANO DIGITAL FASHION WEEK dawn

これからどのような海外展開を見せてくださるのか、楽しみになりますね。国内外で着実にファンを増やしていらっしゃる印象がありますが、ブランドの成長過程においてこれまでターニングポイントはありましたか?

4年前のパリですね。周囲から勧められたこともあって、NYで続けていた展示会をパリでの単独展示会の開催としました。NYではお客様もついてくださっていたのに、パリでは全く来客がなくて、これまでやってきたことを全て否定されたようでショックでした。一方で同時期にパリのColetteではウィンドウや1階スペースを全てdoubletがジャックしていて、パリの街中でもdoubletを着用している人がいたりして。その状況を見て、僕は本気でブランドに人生をかけてこなかったのかもしれないと思いました。それから自分たちの力でブランドを拡げていこうと躍起になり、その後TOKYO FASHION AWARDを受賞させていただき、その後パリ、ピッティで継続して出展し、今のような厳しい状況下でもお客様からご注文いただけるところまでになりました。

ブランドとして、デザイナーとして、今後の展望を聞かせてください。

身の丈に合ったステップでスタッフを増やしつつ体制を整備し、もっと良い服作りをしていきたいですね。また、東京は僕たちから見ると大きく見えますが、世界から見ると小さな島国の一つの街でしかありません。グローバルな視点を持って行動しなければブランドは成長しないと思っています。海外でランウェイショーを開催することでブランドを取り巻く環境は大きく変わると思うので、今後どうなっていくのか楽しみでもあります。 デザイナーとしては、今はとにかくこのブランドを成長させたいと考えていて、コラボレーション案件を経験してブランドとしての力を付けていきたいですね。

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