Interview & Report

進 美影 Mikage Shin

進 美影 Mikage Shin MIKAGE SHIN(ミカゲ シン)

MIKAGE SHIN Designer

1991年東京都出身。2014年早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社電通に入社。退社後2017年パーソンズ美術大学入学、2019年5月卒業。在学中NYFW等多数のファッションウィークに招待されコレクションを発表。同年10月NYで自身のレーベルMIKAGE SHINを立上げ、NYFW2020やPFW2020に参加。これまでにVOGUE ITALIA, Teen VOGUE, ELLE Italia, VFILES, Refinary29等多数の欧米メディアに作品を掲載される。2020年9月より拠点を東京に移し、日本での本格展開がスタートした。

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2019年10月にニューヨークでブランドをスタートし、21AW、22SSシーズンと連続してRakuten Fashion Week TOKYOにてランウェイショーを行うMIKAGE SHIN。豊かな知性と鋭い感覚から生まれる確かなクリエイションは、これからの日本ファッション界をリードするブランドになるだろうと期待が高まっている。そんな要注目のブランドを率いるデザイナーの進御影氏に、ブランドへの想いや発表を控える22SSコレクションについて話を伺った。

まずブランドをご自身で立ち上げられた経緯を教えてください。

グローバルに活躍できるデザイナーになりたいという想いが強かったため、ニューヨークのパーソンズ美術大学に進学しました。在学中にニューヨークファッションウィークやバンクーバーファッションウィークなどの合同ショーに8回参加した経験を活かして19AWシーズンからブランドをスタートし、2020AWシーズンにパリで展示会を開催し本格的に始動しました。2020年に世界的なパンデミックが起きたことをきっかけに拠点を日本に移して活動を続けています。今シーズンから年3シーズン体制とし、先日22プレSSコレクションを発表したところです。

ブランドのコンセプトを聞かせてください。

個人の内面の強さ、知性を引き出すブランドでありたいと立ち上げ当初から思っています。個人がなりたい自分になることを、ファッションという一種のアート表現を通じて後押しできるブランドであることを大切にしています。洋服を選んだり、スタイリングを組んだり創造的な過程を楽しんでもらえるように、ジェンダーレスなスタイルを提案しています。 着てくれた方が自分を肯定できるブランドでありたいと思っていますが、全ての人が洋服を通してコンプレックスを解消できるわけではないし、皆が必ずしもポジティブにならなくても良いとも思っていて。でも、洋服を着た、二次元的な作品、アバターとしての自分を好きになることができたら、誰かの救いになることができるかもしれないと思っています。

進さんにとって、「ファッション」とはどのような意味を持っていますか?

ファッションは人生の中心にあるものですね。年代ごとのファッションも、時代の世相を反映した流行りがありますし、生き方が表れるものがファッションだと思っていて、生きる哲学をビジュアライズしたものの一つだと考えています。対外的には自己表現のコミュニケーションツールであり、対内的にはなぜ自分はこの服を選んだのか、ブランドのどういう哲学が好きなのか、問いを通して自己を内省できる価値もありますよね。

アカデミックにファッションを捉えてらっしゃるところにとても関心を持ちます。クリエイションのインスピレーション源は何でしょうか?

哲学的な部分とビジュアル的な部分、双方のコンビネーションでコレクションを提案しています。哲学的な部分に対しては、世相や社会課題から発想しています。ビジュアル的な部分に対しては、アンバランスな視覚性を持つアートが個人的に好きなので、様々な建築やコンテンポラリーアートから刺激を受けています。

今回発表される22SSコレクションのテーマを教えてください。

全てはお話できないのですが、21SS「インビジブルビジブル」、21AW「ザプロセス」から続く3部作となります。21SSのときはコロナ禍で人々が抱える鬱蒼とした気持ちから「問題の見える化」をテーマにし、21AWでは「今は人生の通過点でしかないから強く生き抜こう」というメッセージを込めたテーマとしました。22SSではこれからの未来にフォーカスを当てたテーマとなります。 コレクションとしてはテキスタイルの作り込みも増やしていますし、22プレSSからサステナブル素材を半数以上のアイテムに使用しています。

サステナブル素材を積極的に採用した理由は何でしょうか?

ファッションを悪にしたくないからです。環境のためにというより、常にベストを尽くして制作している洋服を、ファッション以外のコンテクストでその価値を下げたくないんです。360度誰から見ても正しいSDGsを実現することは難しいですが、できる事は全てやっていきたい。近い将来、時代は全てサステナブルになると思うので、サステナブルであった上でのアート表現をしていきたい。サステナブル素材の選択肢は増えてきましたし、素材ありきでデザインを考えたシーズンとなっています。

コレクションを拝見するのが楽しみになりますね。ランウェイショーはどのような構想をお持ちですか?

シーズンテーマのメッセージを伝えるための表現演出となっています。前回のランウェイショーと同様のチームで、ブランドとしての多層性を見せていく予定です。モデルのキャスティングやスタイリングに注目していただければ。フィジカルショーのビリビリするような緊張感を一緒に共有してもらいたいと思っています。

最後に、ブランドとして、デザイナーの今後の展望をお聞かせください。

直近で言うと、グローバル市場獲得に向けたアテンションとして、コンペティションに出場し受賞を重ねてブランドのクリエイティビティの担保としたいですね。また、東京でのランウェイショーを続けていくつもりですが、パリや海外での単独ショーもやりたいと考えています。コロナが明けたらパリでの展示会も再開する予定です。 デザイナーとしてはとにかく作りたいものが多くあるので、ブランドの成長フェーズを見ながらMD構成を検討し進めていきたいですね。表現に哲学があるファッションを続けていきたいと思っています。

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