Interview & Report

石田 萌 Moe Ishida

石田 萌 Moe Ishida HOUGA(ホウガ)

HOUGA Designer

慶應義塾大学文学部美学美術史専攻、エスモード・ジャポン東京校卒業。
第86回装苑賞佳作1位、第11回YKKファスニングアワード優秀賞受賞。
株式会社BIGIにてFRAPBOISの企画を経験し、出産を機に退職。
2019年春夏シーズンから『HOUGA』をスタート。

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2019年春夏シーズンからスタートした、デザイナー石田萌氏が手がけるファッションブランド「HOUGA」。物語が次々に紡がれる彼女の世界で、有機的なイメージと心が弾むような空気感を持って生まれたウェアたちは、着る女性を自由にする。そんな注目のブランドがRakuten Fahsion Week TOKYO 2022 S/Sに初参加し、ランウェイにてコレクションを発表することが決まった。今後のウィメンズファッションをリードするデザイナーとしてRakuten Fashion Weekも期待を寄せている石田氏にブランドの成り立ちから現在の心境まで話を伺った。

まず、石田さんがHOUGAをスタートされた経緯を聞かせてください。

私自身が人見知りで話をするのがあまり得意じゃなくて。でも、着ている洋服がきっかけになってコミュニケーションしやすくなることがあって、子どもの頃からデザイナーに憧れていました。大学在学中にファッションの専門学校に通い、卒業後、BIGIに就職しフラボアでデザイナーを経験しました。28歳のときに出産と同時に独立して2019春夏シーズンからHOUGAをスタートしました。

HOUGAのコンセプトを教えてください。

「Unbirthday Party Dress」をコンセプトとしていて、365日中の364日が誕生日のように気分が上がり、一歩を踏み出せるようなブランドです。パーティドレスと言っても、ピシッと背筋が伸びるようなドレスではなく、着用することで自分に戻れて新しいことに挑戦したくなるような自由さを感じられる洋服を提案しています。

クリエーションで大切にされていることは何でしょうか?

着用してくださる方がストレスを感じないような軽さがあり、シワが気にならずイージーケアできるような素材選びをしています。また、植物や有機的なイメージを大切にしていて、自由な動きに繋がる曲線や、身体のラインを拾わないような立体感、表面感の表現も多用しています。

クリエーションのインスピレーション源はどういったところから得ていますか?

毎日の暮らしで感じる気分や違和感からイメージが湧くことが多いですね。昔から好きな物語が詰まった自由な世界が自分の中にあって、日常で生きていて感じる窮屈さやこうだったらいいのにと思う願望がその世界に反映されて、それがそのままHOUGAの世界になり、その世界の物語からコレクションが生まれています。大人だからって大人っぽい服を着る必要はないし、女性らしさ、母親らしさも何で決まっているのかなって。そんな決まりはなくて、そうじゃなくていい自由な世界で生まれているのがHOUGAの洋服です。

HOUGAはなぜドレスに特化しているのでしょうか?

私がひとりでブランドを立ち上げるにあたり、ひとりだと出来ることが限られるというのがまずあって。限られてしまうなら好きなことを極めてしまおうと、ジャケットやシャツと違ってとても自由な表現ができるドレスに特化したブランドとしました。セットアップも作っていますし、TPOに合わせて着用することが多いパーティドレスを日常で着用できるようにした洋服がHOUGAのドレスです。

お客さまはどのような方々が多いのでしょうか?

大人と子どもが共有できる2wayな洋服や着方を様々に変えられる洋服なども提案しているので、幅広い年齢層の方に着用していただいていますが、20代後半から30代の方が中心ですね。インスタグラムでブランド発信するところからスタートして、各地でポップアップイベントを開催してブランドを知ってくださる方が増えてきたという感覚です。国内での販売が主ですが香港の店舗にも気に入ってもらってご注文いただいています。

大人と子どもが共有できる洋服、素敵ですね。どういったきっかけで始められたのでしょうか?

元々キッズドレスが好きでしたし、私のクリエーションを見てくださる周りの方から「子ども服作ってみたら?」という声を良くいただいていたので、キッズドレスを作ってみることにしたんです。その過程で「私も着たい!」と思うようになり、キッズと大人のボディを行き来させながら作り上げていきました。1着を着る機会が増えますし、1着で洋服の違う側面を見せられることが本当に面白いと思います。メンズウェアは作っていないですが、男性にもHOUGAのウェアをぜひ着て欲しいと思っています!

そうしたものづくりへの姿勢にも感じるところがありますが、ブランドとしてSDGsをどのように意識されていますか?

時代や世代に関係なく、大人と子ども、エイジレスで着用できる洋服であることを大事にしています。思い出を持てる洋服として、1着を長く大切にお客さまが着てくださるようにと思ってものづくりをしています。生産背景としては、資格はあるものの育児や介護などを理由にフルタイムで働けない縫製士さんに在宅で縫ってもらうシステムを採用している奈良の縫製工場さんにブランド立ち上げからお願いしています。私も子育てしながらブランドをやっているので、こうした取り組みにはとても共感します。今後もこのように精神的に共感し合える方々とものづくりを進めブランドとして成長したいですね。

今回発表される2022 S/Sコレクションのテーマを聞かせてください。

テーマは「pleasant holiday(楽しい休日)」です。21SSシーズンは「in a world on my own」で自分だけの世界に向き合い、21AWシーズンは「hopeful journey」で挑戦のために旅立つイメージでHOUGAの物語は進んでいたので、来シーズンはそうした流れで無理に頑張りすぎないようにと、都会から抜け出して非日常空間で休もうというメッセージを込めています。テニスやサイクリング、ヴィクトリアン調のキッズドレスから着想を経たウェアや自分を休ませるためのレジャードレスを発表します。25型くらいの展開で、セットアップ、つけ襟、帽子、カフスなどの小物も提案します。

今回初めてRakuten Fashion Week TOKYOへ参加されますが、ランウェイショーを間近に控えた今の心境を聞かせてください。

HOUGAはこれまでシーズンごとに新しい挑戦を続けてきて、次に挑戦するならファッション・ウィークだと思って今回参加させてもらうことになりました。この機会でブランドを知ってくださる方に、HOUGAの世界を覗いてもらえるランウェイショーに出来たらと準備を進めています。HOUGAは、芽生えて成長するという意味を持ったブランドなので、ショーでまずブランドを知ってもらって、これから先の可能性を感じてもらえるようにと思っています。

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