Interview & Report

富塚 尚樹 Naoki Tomizuka

富塚 尚樹 Naoki Tomizuka naokitomizuka(ナオキトミズカ)

naokitomizuka DESIGNER

服飾学校卒業後 渡仏 帰国後2003年コムデギャルソン入社2018年 リロト立ち上げメンバーとしてコレクションデビュー 2020年独立し、naokitomizukaをスタート。

2020秋冬コレクションからスタートしたウィメンズブランド「NAOKI TOMIZUKA」。2021秋冬コレクションでは、ファッション・ウィーク東京に初参加しデジタル形式で発表を予定している。コムデギャルソンで長く経験を積み、培われた巧みなパターンテクニックを強みとするデザイナーの富塚氏が生み出す洋服は、ファッションマニア層の心を掴んで離さない。そんな今後要注目のブランドに、ブランド立ち上げの経緯やこれからについて話を伺った。

 

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− ご自身でブランドを立ち上げるまでの経緯を教えてください。

「NAOKI TOMIZUKA」は、コロナ禍真っ只中の2020年春にスタートしたブランドです。社会全体がマイナスな空気に包まれる中で、楽しいことを発信していけたらと始めました。コムデギャルソンに長く在籍していたので、形を自由に発想することやパターンに対するこだわりがものづくりのベースになっています。生地も全てオリジナルです。現在は専門学校生やファッションが大好きな20代前半の女性が顧客層の中心ですが、価格はあえて抑えて設定し、高すぎる洋服、ブランドへの挑戦も試みています。

 

− ブランドのコンセプトは何でしょうか?

「何年経っても心はずむ服」であることをコンセプトとしています。世界的にエコ意識が高まっていることともリンクしていますが、廃れないことを強く意識していますね。ブランドとして持続可能であることも大事にしています。リサイクル素材を使用するとかではなく、本当に良いものを作って、お客様に大事に使ってもらうことを目指したブランドです。ものづくりは本当に徹底していて、生産してくださる職人さんの顔を直接見ながら、生産管理、検品まで行っています。

 

− 21秋冬コレクションはどういったテーマで製作されたのでしょうか?

「進化」をテーマにコレクションを製作しました。古着や廃材から洋服のパーツを作り、それらのパーツをリボンで繋げて洋服にしたアイテムも発表します。このアイテムは、「収集」や「加える」という意味を含んでいて、1点の洋服がどんどん進化していくイメージを持たせています。また、今このようにお話すると流行りに乗っかっているように見られてしまいますが、今までも僕のものづくりはずっとサステナブルを目指してやってきました。これまでの歩みが間違っていなかったことを伝えつつ、ブランドとして新しいことを提案していくという意味合いも踏まえて「進化」としています。

 

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− 素敵なテーマですね。コレクションを実際に拝見するのが楽しみです。今回はなぜファッション・ウィーク東京に参加されようと思ったのでしょうか?

デザイナーとして洋服を作っていく以上は、ファッション・ウィークに参加したいと以前から思っていました。マイナスな空気が漂う世の中だからこそ僕の洋服を見て楽しんでもらうことができたらと今回参加を決めました。僕自身、洋服づくりに20年以上携わっていて、洋服は本当に楽しいものだと思うんです。出来上がったときも、お客様に着てもらったときも、本当に楽しいし嬉しい。僕の作る洋服は一般的ではないですし、多く売れるものではありません。でも、だからこそ、好きなことをやって自分が楽しみ、お客様にも一緒に楽しんで欲しいなと考えています。メンズファッションはルールがあってこそ成立するものですが、ウィメンズは何でもありなんです。だから、僕はずっとウィメンズファッションをやっていきたい。ルールがないことがファッションの楽しさだと信じています。

 

− デジタル配信を予定されているプレゼンテーションの構想もぜひ聞かせてください。

「進化」というテーマでコレクションを映像配信するなら、ハイクオリティでエッジィな見せ方が必要だと思って製作しました。実際の映像では、洋服がよく見えるようにスローな雰囲気で展開し、複雑な洋服をどう見せるか、ショーとは異なるプレゼンテーションに挑戦しています。演劇的な要素も入っているので、ぜひ楽しんで見ていただけたらと思っています。

 

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− ブランドとして、今後の展望を聞かせてください。

日本の生産背景を活かしたものづくりを続けて、少しずつブランドを成長させてから海外へ進出していきたいと考えています。日本独自の文化が好きですし、このままだと消滅してしまいそうな生産背景もあるので、そういった意味でも日本の良さを世界にアピールしていきたいと思います。ブランドが持続可能であるように、ビジネスを展開していきたいですね。

 

− デザイナーとしても活躍の幅が広がっているとお聞きしました。デザイナーとしての今後のビジョンはどのようなものでしょうか?

デザイナーとしては、ものづくりの視野を広げていきたいので、外部デザイナー的なことも始めました。「NAOKI TOMIZUKA」で生地をお願いしている生地屋さんのファクトリーブランドのデザインやパターンをやったり、開発に向けたアドバイス提供をしたりしています。僕がこうしてブランドを立ち上げることが出来たのも身近な方々のサポートがあったからですし、僕自身も身近な方とのつながりを大切にし、サポートしていけたらと思っています。

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