Interview & Report

Takeshi Osumi

Takeshi Osumi オオスミ タケシ

PHENOMENON

1999年、メンズブランド、SWAGGER(スワッガー)をスタート。2004年、"より自分がやりたいことを凝縮した" というメンズブランド、PHENOMENON(フェノメノン)を立ち上げる。2010年秋冬、東京コレクション・ウィークでランウェイデビュー。現在、原宿の路面店ほか、香港のI.Tやシンガポールのクラブ21などで展開。

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東京のメンズブランドで絶大な人気を誇るフェノメノン。先シーズンよりランウェイデビュー、展示会に訪れたバイヤー全員が買い付けるなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長中だ。デザイナーのオオスミタケシさん自身が「前回よりもっと着やすくなった」と自負するコレクションは要チェックだ。

今シーズンのテーマについて教えて下さい。

オオスミ:僕はいつもそのとき聴いている音楽からインスパイアされるのですが、今回はサーフロックとウォッシュトアウトなどのチルウェーブ系、90年代のクラシックなハウスやトライバルハウスをよく聴いていました。とにかく夏っぽい感じを全面に出したくて。爽やかで爽快感のあるイメージの音楽ですね。

 

どのようにデザインに落とし込んでいきましたか?

オオスミ:たとえば、上はシャツをきっちり着ているけれど、下が(スカートのような)巻物で少し崩れているようなバランスは、南国の正装からヒントを得ました。現地のホテルのコンシェルジュの恰好とか。プリントに多用した三角のモチーフは、マオリ族のタトゥーをイメージしました。オーガンジーにプリントすることでタトゥー感が出たと思います。あとはハエですね。夏といえばハエじゃないですか(笑)。それで、”リアルな夏のえぐみ” をぜひ入れたかった。ハエのスタッズはもちろん特注で、ひとつずつ削り出して作っているのでキレイに見えるんです。

後半に登場した籐でできたベストが圧巻でした!

オオスミ:籐で服を作りたくてリサーチしていたところ、橋本昭通さんという籐工芸のアーティストに出会いました。普段は壷や空想上の動物といったオブジェを作られている方です。今回作っていただいたベストはとても手が込んでいるものなので、売るつもりはありませんが、あえて値段を付けるなら200万円くらい……。小物類は商品化します。

 

今回のショーも会場は満員、さらにJFW TV(JFW×USTREAM)での配信では視聴者数1,172人(ユニーク数)で世界第3位だったそうですね。

オオスミ:まだ2回目のショーでしたが、本当にたくさんの人に見てもらい、重鎮の方々にも多くお越しいただき、前回(2010-11年秋冬)以上に大きな反響がありました。
デザインについては、特に意識していたわけではないのですが、今回はシンプルで着やすくなったと言われます。前回は飛ばしていたところがあり、奇抜さがあったかもしれません。着るのが難しいと思われた人もいたと思いますが、今回はチョイスしやすくなったのではないでしょうか。
実は、海外での展開はすべて、前回のショー後に決まったんです。ショーを見た海外のバイヤーさんが翌日アポイントの電話をくれて、すぐにショールームに来てくれて、商品をオーダーしてくれました。今回も、海外のバイヤーさんの反応もすごく良かったです。

オオスミさんが、デザイナーになろうと思ったきっかけを教えて下さい。

オオスミ:やはり音楽がスタートです。中学の頃パンクロックが好きで、好きなアーティストと同じ恰好をしたくなって、服に興味が湧きました。そんなところから始まっているので、”音楽=洋服” というシンプルな法則は今でも変わりません。

ブランド名のフェノメノンはどんな意味ですか?

オオスミ:シンプルに言うと、好きなラッパー、The Notorious B.I.G.(ノートリアス・ビー・アイ・ジー)の「Rap Phenomenon」という曲のタイトルから取ったんです。事務所のエントランスに額に入れて飾っているThe Notorious B.I.G.のポートレートは「The Source」(ソースマガジン)に掲載されたオリジナルプリント。撮影したフォトグラファーの方にいただきました。今では僕の御守りみたいなものです。

すでに展開していたスワッガーとの相違点は?

オオスミ:スワッガーを始めたのは12年前。もともと音楽を一緒にやっていた相棒と立ち上げて、設立当初から変わらずストリートウェアを作っています。スワッガーを始めて6、7年目くらいですかね。自分が純粋に好きなもの、パーソナルな洋服を作っていきたいと思い、フェノメノンを立ち上げました。

オオスミさんにとって”東京らしさ” って何ですか?

オオスミ:う~ん難しいですね……。音楽を聴いているクラブなどの “空気感” のようなものから東京っぽいものを感じています。目に見えないものなので、それが何のスタイルっていうのは難しいんですけど。

 

では、注目しているクリエイターやアーティストを教えて下さい。

オオスミ:憧れの存在は、コム デ ギャルソンの川久保玲さんや、アンダーカバーのジョニオ(高橋盾)さん。ずっと大好きな日本のデザイナーです。とても影響されています。音楽でいうと、東京にはいいDJがいっぱいいますね。例えば、今回ショーの音楽を担当してくれたDJ MAARクン。東京のクラブの空気感って世界中のどことも違うんですよね。遊んでいる子達もすごくスタイリッシュだし、面白い。自分が遊びに行くところは、南青山のル バロンが多いです。

休日はどのように過ごしていますか?

オオスミ:休日はないですね(笑)。365日休日のようなものですから。休日のような、仕事のような……っていう。いつも何か考えているので、趣味と生活が一緒になっている感じです。
あまり家に帰らず、ほとんどオフィスで過ごしています。僕は人がいたり、空気が流れているところが好きなんです。そうじゃないと気分が止まってしまうんですよね。年に2回コレクションを発表するサイクルは、自分には全然時間が足りないから。まぁ、ここにいて仕事が進んでいるか、と言われたら分からないんですけど(笑)。常に頭が動くところにいたいですね。

今後の予定は?

オオスミ:バッグブランドMCMと組んでクリスマス限定ラインを20型ほど出します。MCMとは今後、継続的にデザインのお仕事をさせていただく予定で、とんがった面白いものになっているはずなので楽しみにしていてください。

 

今後、挑戦したいことを教えて下さい。

オオスミ:NYに住むこと。いつかNYを拠点にして、デザインして、ブランドを動かせたらいいなと思っています。海外でショーをやってみたいとはもちろん思いますよ。でも、まだ分からないです。東京でやるのも面白いですから。レディースもいつかやってみたいですね。フェノメノンは基本ユニセックスなので、今のところ、メンズのSサイズをレディースとして着てくれている子もいますが、いつかメンズのラインと切り離してやってみたいです。

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