Satoru Sasaki 佐々木 悟
強い女性像をベースとしたコレクションは、一癖も二癖もあり着る人を選んでいるような印象すら与える、アーティナザルなものづくりが特徴のブランド、SATORU SASAKI。TOKYO FASHION AWARD 2025を受賞し、2025年3月にRakuten Fashion Week TOKYOで初めてのランウェイショーを開催したことも記憶に新しい注目ブランドを率いる佐々木悟氏に、ショールーム開催中のパリで話を聞いた。
デザイナーを志したきっかけは?
抽象画家である叔父と靴デザイナーの祖父から影響を受けていて、自分も何かものづくりで商売して行きたいと考え、デザイナーを志しました。元々着飾ることも好きでしたが、専門学校に入ってから作ることにどっぷりはまり、2020SSシーズンからブランドをスタートしました。
ブランドコンセプトを聞かせてください。
「男性も憧れる女性を作る服」をコンセプトにしています。僕がヨーロッパのメゾンで一緒に働いていた女性たちの強い意志やアティチュードに感銘を受けて、そうした女性たちが着てくれる、共鳴してくれるようなブランドにしたいと思ったことが始まりです。僕が好きなテーラリングの要素や、メンズのパターンをレディスに使うなど、強さを感じるようなものづくりを続けています。
毎回コレクションのテーマを明確に決めていらっしゃる印象があります。
はい、次はまだわからないですが、これまではペインターやランドアートなどアーティストにフォーカスすることが多かったですね。彼らの哲学や評価すべきポイントなどをコレクションに落とし込んでいます。例えば、ブロックチェックを多用するショーン・スカリーというアーティストに対して、僕は彼の色使いや、彼がなぜその絵を生んだのかというところにフォーカスして洋服を作りました。人はいろんなものを捉える時に、あそこにあるスカートとかも、その輪郭があるからスカートってわかる。輪郭がないと何も見えない状態になる。 そうした輪郭の重要性を彼は伝えようとしていて、そこをディティールで洋服に落とし込みました。

確かに、佐々木さんは様々なデザイナー、アーティストに対してものづくりの背景やプロセスなど学ばれていて知識欲がとても高い印象があります。
僕のやっていることは側から見るとわかりづらく、説明をしないとわからないコレクションではあると思うんです。シーズンによってがらっと変わったりもしますし。また、現代はそういうムードではないというか、わかりやすさが必要だなと思っていて、26SSからは自分のスタイルをわかりやすく表現していくことも意識しています。
そうした転換は、今年3月に初めてショーをしたことも関係していますか?
ショーはブランドとしての集大成として位置付け、一区切りのポイントとしました。ここから先は、現代の商流に合わせるチャレンジもしてみようかなという切り替えを自分の中でしました。ショーをやってよかったことは多くありました。例えばプロダクトデザインするときに、着ることは想定しますが着て歩くまでの想定をまだまだ足りてなかったと思えたり、意志を感じさせるショーピースの存在の大きさも、ショーをやって気づかされました。こうした発見は今回のコレクションに活きていますし、アートを生み出す感覚でコンセプチュアルなショーピースラインをいずれ作りたいと思うようになりました。やっぱり自分はデザイナーではなくアーティストを見て育ったんだと再確認し、アートなものづくりに対して高揚感を感じましたね。
佐々木さんにとって、アーティストとデザイナーの違いは?
アーティストは世にまだないものを作り、デザイナーはあくまで物体として存在するものを作る。アーティストって今存在しない、ないものを命かけて作る。
今、特に日本は誰もが洋服を作りやすくなっていて、たくさんディレクターがいっぱい出て来ている時代じゃないですか。そうした人たちがたくさん服を売っている。その方々と同じ考え方で洋服を作っているといつかブランドとしての価値はなくなるだろうと推測しています。今存在していないから見ても意味がわからない、それこそが新しいもの。僕はそういうものづくりをしていきたい。

今パリで発表中の26SSコレクションのテーマを教えてください
リチャード・セラーをインスピレーションに、「俯瞰」をテーマとして制作しました。リチャード・セラーは、鉄、銅などの大きい板を使用して、中に入ったりしながら体験する作品を発表するアーティスト。 地上から見たらだたの板でも、上空から見ると線のようなドローイングになっていたりして。そういう俯瞰のイメージをコレクションに落とし込み、スパイラルな形状やスリット、光を感じる色調などに活かしました。
2024AWからメンズコレクションもスタートされていますね。
はい、メンズはコンセプトを変えていて「パーフェクト・インパーフェクション」としてスタートしています。直訳すると、インパーフェクトなものを許容するという意味です。多様な技術が発展して何でもこなせるようになり、綺麗に縫えるのが当たり前、すべてに完璧を求められる時代。僕はそれに疑問を持っていて、そういう時代になってほしくないと思いながらものづくりをしています。
ビジネス概況も教えてください
レディス・メンズに関しては、ショーの以降、目指していたアカウントを獲得できるようになり、かなり手応えを感じています。海外に関しては、今回で2回目のパリショールームとなりましたが、前回よりも手応えがあります。
前述した通りでクリエイションのわかりやすさを意識したことでバイヤーに伝わりやすくなり、取り扱いいただける店舗のゾーンが変わってきたと感じています。
2025年3月Rakuten Fashion Week TOKYOで初めて開催されたショーは本当に大きな反響だったと聞いています。
ショーのために作ったコレクションだったので、始まる前から反響が良かれ悪かれあるだろうなとイメージしていました。ゆくゆくはパリでも行いたいですね。

SATORU SASAKI 2025 A/W collection
海外市場に関して、どのように伸ばして行きたいと考えていますか?
アジア市場はお金を作れる、数字を作れるマーケットに 、日本は安定的に、ヨーロッパは本当に良い店舗に絞ってやっていくのが理想。また、日本もそうですけど、とにかく暑いので、素材感をどんどん変えて、ライトな素材で綺麗なテーラリングが出来るようにと思っています。
デザイナー、アーティストとして挑戦してみたいことはありますか?
ショーピースラインを立ち上げたいなと思っています。まだまだ先ではありますが、いつかチャレンジしたいと思います。
Satoru Sasaki
佐々木 悟[Website] https://store.satorusasaki.com/
[instagram] https://www.instagram.com/_satorusasaki_/
