Interview & Report

第一ニットマーケティング

第一ニットマーケティング introduced by ATUSHI NAKASHIMA

THIS IS MY PARTNER

新潟県見附市は国内有数のニットの産地。
第一ニットマーケティングは代々受け継がれる職人技、時と共に進化してきた機械技術を持つ。
中島篤というデザイナーの感性と出会い、ニット製品の新たな挑戦が始まる。

第一ニットマーケティング株式会社
Daiichi Knit Marketing Co.,Ltd.
新潟県見附市/創業:1951年/事業内容:紳士・婦人ニット製品の製造販売他/従業員数:214名

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第一ニットマーケティング株式会社
常務取締役 山崎 秀一氏

[紹介デザイナー]
ATSUSHI NAKASHIMA
中島 篤
工場見学をして、第一ニットマーケティングの持つ技術力なら理想の製品が
作れると確信しました。

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熟練のニット職人

新潟県見附市に拠点を置く第一ニットマーケティング株式会社(以下、DKM)は、国内のニットメーカーが集う「ジャパン・ベストニット・コレクション」で2013年度の技術賞を受賞。名実ともに日本を代表するニットメーカーとして、創業63年を迎えた。

 

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最も美しい編み目を表現すると言われている、ドイツ・シェラー社の30ゲージのフルファッション機を国内で導入しているのはDKMのみで、長年に渡り国内外の多くのメゾンのニット製品を手掛けてきた。

DKMの最大の強みは、各種150台以上のニットマシンを保有している巨大な製造設備と、それらを扱うことのできる熟練の職人たちがいることだ。

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リンキングと呼ばれる工程では編み上がったパーツの一つ一つをつなぎ合わせていくが、30ゲージともなると、その細かい編み目に正確に針を刺す高度な技術が必要となる。

工場では数々のハイテク機械が目立つが、大小合わせて30以上の製造工程の中には、裁断、縫製、プレス、糸始末、検品などといった職人の手作業を欠かすことのできない工程がある。

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縫製後は、「うま」と呼ばれる専用のアイロン台に乗せて、着用時に美しいシルエットを描くよう立体的なフォルムに整えていく。

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要所要所で、熟練の職人による品質チェックが入る。時間と手間をかけて最高品質のものづくりを目指す工場内の職人たちの姿が、DKMのものづくりの精神を体現している。

機械化が進むニット生産だが、職人の技術と蓄積されてきたノウハウなくしては、製品は成り立たない。

工場とデザイナーの出会い

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DKMの技術力と表現力に一目惚れをし、今シーズンのコレクションからニット企画をスタートさせるのが、国内デビューして6シーズン目を迎えるATSUSHI NAKASHIMAである。デザイナーの中島氏は専門学校卒業後、縫製工場での勤務を経て、フランスに渡る。ジャンポール・ゴルチエの元でデザイナーを務めた異色の経歴を持つ。

「国内でデビュー以来、ずっとニット製品を展開したかったが、ロットの問題からこれまで良い出会いに恵まれなかった」と中島氏は語る。

 

工場の窓口にもなった、DKMの常務取締役の山崎氏は「中島さんとの取り組みを決めたのはほとんど直感で、当社の技術力なら彼の描く世界観を表現できると思いました。また、中島さんのような感性を持ったデザイナーが我々の素材をどう料理してくれるのか非常に楽しみ」と、語る。

素材へのこだわり

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ニットは素材と対話して、一本の糸から立体に編み上げる。DKMで主に生産しているファインゲージと呼ばれる編み目の細かい商品には、細い糸が必要となる。細い糸を紡ぐためには繊維が細くて長い上質な原料が必要となる。

春夏物にはエジプト超長綿やシルク、秋冬物にはエクストラファインウールやカシミヤなど、世界中から厳選された素材を使用している。

 

素材の調達力と、それらを染める各工場との良質な関係がないと、独自のものづくりはできないと言う。長年培ってきた、原料調達能力や各工場との結びつきが現在のDKMのものづくりの強力な基盤となっている。

技術とデザイン

工場内の各工程を見学した中島氏は、ハイゲージニットの編み目の美しさ、布帛とのリンキング技術、設備の規模感に驚きながらも、DKMの技術を活かした製品づくりに構想が膨らんでいる様子だった。

ニットの輸入比率が95%以上と言われる現在の国内ニット市場。日本屈指の技術を持った職人が揃うDKMと世界戦略のビジョンを持ったATSUSHI NAKASHIMAは出会い、国内外に向けた新しい挑戦の幕開けとなった。

 

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Interview&Text:Shinya Miyaura (Secori Gallery)
Photography:Yohey Goto

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