Interview & Report

山栄毛織

山栄毛織 introduced by DRESSEDUNDRESSED

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木曽川の豊富な水を背景に、愛知県の南西部は毛織物の産地として栄えた。
津島は国内で初めて毛織物が作られた地。山栄毛織は100年の伝統を継承しながら、時代と共に革新を織り成している。

山栄毛織株式会社
Yamaei Keori Co.,Ltd.
愛知県津島市/創業:1915年/事業内容:毛織物の製造販売/従業員数:12名

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山栄毛織株式会社
代表取締役社長 山田 和弘氏

[紹介デザイナー]
DRESSEDUNDRESSED
北澤 武志/佐藤 絵美子
探し求めていたウールモヘヤとの出会いが、山栄毛織さんとの出会いでした。

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受け継がれるレピア織機

毛織物の産地、津島に拠点を置く山栄毛織株式会社は、2015年で創業100周年を迎える。

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津島産地は特にウールのメンズスーツ地の製造を背景に、他産地とも連携した新しい生地作りが国内外から注目されてきた。

山栄毛織も4代続く伝統を継承しながら、新しい挑戦を続けている。

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昔ながらの山栄毛織の自社工場は、北向きの窓から日差しが多く入り、代々受け継がれてきた織機が、ゆっくりと力強く生地を織り進めている。

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主に動いているのはレピア織機で、杼(ひ)が左右に移動しながら緯糸(よこいと)を往復させるシャトル織機よりも後に開発された「革新織機」と呼ばれる織機である。

このレピア織機をあえて、最低速に設定して織っているという。密度の高い織物だと1反(50メートル)織るのに3日間もかかる。生産性を優先して高速で織ると、ウール素材が本来持つ膨らみを潰してしまい、空気を含んだやわらかい生地の風合いが出せないという。

ウールモヘヤが生んだ出会い

山栄毛織が50年以上定番で織っているというウールモヘヤがある。

その生地が山栄毛織と東京に拠点を置く新進気鋭のブランド、DRESSEDUNDRESSEDをつなぐこととなった。

デザイナーの北澤氏と佐藤氏は、あるきっかけから津島毛織工業協同組合の安達氏を通し、山栄毛織の生地に出会い、惚れ込んだ。

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「探し求めていたウールモヘヤが、山栄毛織さんの生地でした。低速でゆっくり丁寧に織り込んでいるからこそ、ウール本来の美しさを感じました」と、山栄毛織のウールモヘヤに初めて触れたときの気持ちを語る。

職人の素材づくりとデザイナーの素材選び。ものづくりに妥協をしない両者だからこそ生まれた出会いである。

山田氏も「先代からずっと定番で織ってきたこの生地を気に入ってもらえたのは嬉しかった」と出会いを振り返る。

山栄毛織とDRESSEDUNDRESSEDが組んで3シーズン目となる2015春夏は、糸から生地を企画しているという。山田氏自ら、都内にあるDRESSEDUNDRESSEDのアトリエを訪ねる。そこで彼らのイメージ、求める生地をヒアリングして、工場に戻る。

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両者を引き合わせた津島毛織工業協同組合の安達氏も「積極的にクリエイトし、独特の世界観を持っているDRESSEDUNDRESSEDさんと山栄毛織の取り組みを応援したい」と語る。

付加価値を追求

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山栄毛織の工場には熟練の職人たちがいる。

「社内に技術を持った職人がいるので、密なコミュニケーションの中で素材開発ができることが一番の強み。これからは、ウールだけでなく綿や麻にも積極的にチャレンジして、ファッションのトレンドも反映させ、ブランドと二人三脚でものづくりをしていきたい」と、山田氏は意気込む。

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山栄毛織のショールームには先代から受け継ぐ資料が保管されている。ここには過去に織られた生地の設計図などが細かく記されている。

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工場内にも歴史を感じさせる道具たちが丁寧に並べられている。

丁寧な素材づくりへの姿勢が風景一つ一つに染み込んでいる。

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大量生産でなく、技術を持った職人と若い社員が一丸となり付加価値を追求していく山栄毛織。

「製品になって10年着ても型崩れしない生地こそが良い商品。高品質なものづくりに加えて、ファッションのトレンドやニーズを加味した時代に合った高感度な生地づくりを心掛けています」と山田氏は話す。

現在はアパレルさんからの受注生産がメインだが、今後は自社で素材開発をして、国内外に発信していくのが目標という。山栄毛織の挑戦は続く。

 

Interview&Text:Shinya Miyaura (Secori Gallery)
Photography:Yohey Goto

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