Interview & Report
Interview & Report

サイモン・ホグマン/ジェシー ・ハドネット

サイモン・ホグマン/ジェシー ・ハドネット Simon Hogeman / Jesse Hudnutt

RakutenFWT 2020 S/S 海外ゲスト

左:Simon Hogeman(サイモン・ホグマン)
TRES BIEN Founder / Buyer

右:Jesse Hudnutt(ジェシー ・ハドネット)
TRES BIEN Co-Founder / CEO

スウェーデン第3の都市・マルメーに店舗を構え、オンラインを通じて世界各地に顧客を抱える人気メンズセレクトショップ「TRES BIEN(トレビアン)」。ストリートのエッセンスが程良く取り入れられたオリジナルブランドも高く評価されている同店の創業者であるサイモン・ホグマン氏と、CEOのジェシー ・ハドネット氏が、Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/Sに合わせて来日した。日本には毎年のように訪れているという彼らに、東京のファッション・ウィークの印象や日本ブランドの特徴、スウェーデンのショップについてなど、さまざまな話を伺った。

今回、JETROの招聘によって来日が決まった時はどのように感じましたか?

サイモン・ホグマン(以下、サイモン): 今回、日本に呼んでくださったことは、私たちにとって非常にうれしく、エキサイティングな出来事でした。私たちはこの10年ほど、日本には毎年のようにバイイングに来ていますが、実はファッション・ウィークを見る機会は過去に1度しかありませんでした。いつもはショールームを回りますが、展示会の時期がそれぞれ異なっていることもあり、今回のファッション・ウィークのようにまとまった形で日本ブランドのクリエーションが見られることは、非常にありがたいと感じました。

東京のファッションについては、どのような印象を持っていますか?

ジェシー ・ハドネット(以下、ジェシー): 東京のファッションには非常に強い個性がありますし、他の都市に比べてチャレンジングなスタイルが特徴的だと思います。東京は、1980年代頃から個性的なファッションスタイルにおけるリーダー的な存在であり、私たちもそうした側面に惹きつけられ、バイイングを続けてきました。

東京で必ず足を運ぶ場所や、好きなエリアなどがあれば教えてください。

サイモン: よく足を運ぶのは、渋谷、原宿、青山界隈ですが、最近はこれらのエリアに加えて、下北沢のヴィンテージショップを見て回ることも多いです。また、中野ブロードウェイには毎回必ず行っていますね。

ジェシー: 渋谷に行く時は、WARE-mo-KOUというセレクトショップに必ず足を運んでいます。ショップのバイヤーとも親しくなっていますが、彼らがどんなキュレーションをしているのかを見ることも私たちの楽しみになっています。

今回のファッション・ウィークでご覧になったショーの中で、印象的だったものを教えてください。

ジェシー: ゲームセンターを会場にショーをしていたJENNYFAXが興味深かったです。1980年代頃のゲームカルチャーや、90年代の原宿のサブカルチャーに憧れてきた世代が、それをよそ者の目線から表現したようなショーで、とても楽しかったですね。

サイモン: 私はNobuyuki Matsuiのショーが印象に残りました。ビスポークのような服づくりをベースに、スポーツウエアなどのエッセンスがミックスされていて素晴らしいと感じました。

他の都市と比較して、東京のファッション・ウィークが特徴的だと感じる点はありましたか?

ジェシー: 東京のファッション・ウィークは、若手ブランドの支援に力を入れている点が素晴らしいと感じました。海外で活躍したいと考えているブランドはパリなどに進出することが多いと思いますが、経済的にまだ海外に出ていくことが難しい若手ブランドも多い中、海外からバイヤーやプレスを呼び、彼らの目に触れさせる機会をつくろうとしている姿勢に共感しました。

お二人が働くショップ「トレビアン」についてもお話を伺いたいのですが、まずはお店があるマルメーという街について教えてください。

サイモン: マルメーはスウェーデンでは3番目に大きな都市ですが、国自体の規模が小さいこともあり、街はこじんまりとしています。古くからの工業地帯で、同時に港町でもありますが、近年は大学やベンチャー企業などが増えていて、街は大きく変わってきています。スウェーデンのベルリンと言われるような雰囲気を持った場所で、常に新しいトピックが生まれているような、小さいながらもエネルギーに満ちた街です。私は、パリや東京などの大都市に行くことも大好きですが、マルメーはそうした大きな街から帰ってきた時にホッとできる場所ですね(笑)。

トレビアンのコンセプトや、バイイングの基準などについてもお聞かせください。

サイモン: 基本的には自分たちが好きなアイテムしか扱わず、好きな相手としか仕事をしないということにこだわってきました。「好き」ということに忠実であり続けた結果、コンテンポラリーウエアからスポーツウエアまで幅広いラインナップを揃えるショップになっています。

ジェシー: 私は3年前からショップに加わるようになったので、少し外からの目線で補足をすると、トレビアンは他のセレクトショップに比べ、非常にパーソナルな視点を大切にしているお店だと思います。セレクトショップというのもビジネスなので、当然トレンドや売れ筋を追いかける側面がありますが、私たちのショップではそうしたものには目を向けず、個人主義を貫き通してきました。

ショップのラインナップの中には日本のブランドも含まれていますが、これらはスウェーデンの人たちにどのように受け入れられていますか?

サイモン: 日本のブランドの商品は、しっかりとつくり込まれた最高峰の品質のものであるというのが、私たちのお客さまの一般的な受け止め方だと思います。

日本のブランドが海外で成功するためには、どんなことがポイントになるとお考えですか?

ジェシー: 大きく2つのことが重要になると思います。ひとつは妥協をしないこと、そしてもうひとつは、海外の市場の動きなどに対してオープンになることです。両者は相反するように聞こえるかもしれませんが、自分がしたいことに対して忠実であることと、海外に目を向けることは両立できると思っています。日本のブランドとリテーラーは、独特のパートナーシップを構築しているところがあり、海外とは商習慣などで異なる点が多々あるように感じます。それ自体が悪いことだとは言いませんが、海外に出るからには現地のファッションビジネスについて知り、そこに協力をしていく姿勢を持つことが大切だと思います。

先ほど日本ブランドの印象について伺いましたが、一方で私たち日本人は、スウェーデンをはじめとした北欧の国々に対して、デザイン大国というイメージを持っています。そうした北欧のものづくりと、日本のものづくりとの間に何か共通点を感じることはありますか?

サイモン: さまざまな面で共通点があると感じています。建築物ひとつ取ってみても、どちらの国にもミニマリスティックな思考が感じられますし、感性というものを大切にしているところも共通しています。また、日本とスウェーデンの人はどちらも物静かで行儀が良く、国民の気質も非常に似ているため、日本にいると外国に来たという感覚があまりしません。ただ、日本の方が賑やかな雰囲気なので、ここはスウェーデンのクレイジーバージョンだと感じることがありますね(笑)。

最後に、今後トレビアンとして力を入れていきたいことや、発信したいメッセージなどがあればお聞かせください。

サイモン: 私たちは2006年に非常に小さなお店としてスタートしました。その後、徐々にお客さまが増え、現在ではオンラインを通じて、ヨーロッパ、北米、アジアのお客さまが3分の1ずつという割合です。そうした状況の変化こそありますが、先ほどもお話ししたように自分たちが好きなものだけを取り扱うというポリシーは変わっていません。ただ、自分たちが好きなものは時代とともに変わってきており、それに合わせてお客さまも変化してきていると感じているので、これからもお互いに成長していけるような関係性をお客さまと築いていきたいと思っています。

Interview by Yuki Harada

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