Interview & Report

ヴィヴィアーノ VIVIANO

ヴィヴィアーノ VIVIANO ヴィヴィアーノ スー

VIVIANO Designer

グラフィックデザインを学んだ後、文化ファッション大学院大学を修了し、2015年に自身の名前を冠したファッションブランドを設立した。東京を拠点に活動している。

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2015年にヴィヴィアーノスー氏がスタートした「VIVIANO」をご存知だろうか。TOKYO FASHION AWARD 2023の受賞を機に知名度も上がり、今後国内外でさらなる飛躍が期待されるブランドだ。
華やかでファッションのワクワクが詰まったコレクションは、一度目にして、袖を通すと、強烈なインパクトと共に人々の記憶に残る。圧倒的なクリエイションとその背景にある想いについて、デザイナーへ話を伺った。

ブランドを立ち上げた経緯を聞かせてください。

文化ファッション大学院大学を卒業してすぐにブランド「ヴィヴィアーノスー」を立ち上げました。2020年に「VIVIANO」に改名し、現在ブランドとして7年半経ちました。
美大でグラフィックを専攻したり、海外で広告系の仕事に就いていた経験もあり、子どもの頃からクリエイティブな仕事に携わりたいという思いがとても強かったですね。何かを生み出すということが好きで、日本への留学を機にファッションの道を選び、今に至ります。

ブランドとしてこだわっていることを教えてください。

VIVIANOは毎シーズン5体のドレスからなるクチュールラインとレディトゥウェアラインを展開しています。クチュールラインは売る想定を持たずメディアへ提供やセレブリティの着用などが用途となるのですが、とにかく表現したいクリエイションを凝縮した5体です。そこから派生したラインとしてレディトゥウェアを100型程度製作しています。毎回かなり多くのスケッチを描いてコレクションに絞っていきます。
コレクションの製作はテーマを決め、リサーチをしてデザイン画を描いて、生地をあてはめるという流れでこれまでやってきましたが、24AWでは新しい試みとして、まずデザイン画から始めてみようかなと思っています。常に新しい挑戦を続けていきたいですね。

VIVIANOがファッションというクリエイションにおいて、大切にしていることは?

VIVIANOの場合は、とにかく自分たちが好きなものをつくるということ。不器用なこともあって、市場で売れるものをマーケティングして生み出すということは昔からやっていないんです。スペシャルなイメージがあるブランドかもしれませんが、日常で味わえる非日常を届けられるように、生地選びにはこだわりがあります。チュールはブランドの代表的な生地ですが、洗濯可能にしていますし、スウェット、ジャケット、パンツなど素材とデザインの組み合わせでドレスシーンだけでなくデイリーに着てもらえるようにしています。ビジネスを意識したMDでのものづくりというより、自分たちが好きなものを届けたいという想いを尊重した結果、ブランドの洋服を着てくださる方が増えたという感覚ですね。

お客様はどのような方が多いのでしょうか?

10代の学生が学校で着たいからと選んでくださったり、60代の方がふらっとお店に立ち寄ってチュール付きのジャケットを選んでくださったりと、自分たちやセールスも驚くくらいお客様の層は幅広いです。チュールのアイテムはインナーを変えることで着こなし方が変わるので、同じアイテムでも幅広い年代のお客様から選んでいただけています。また、一度お買い求めいただけると、次はチュールのないデザインを、次はパンツを等々、何着も揃えてくださるリピーターのお客様が多くてとても嬉しいですね。

クリエイションのインスピレーションはどこから得ていますか?

美術館や訪れた場所で見たもの、映画や夢で感じたことなど、直近で影響されたことなどが多いですね。誰かをミューズにしてクリエイションするということはあまりありません。それより、自分たちがかわいいと思うものをつくりたいです。ブランドを始めた当初は、自分が着たいものが高くて買えなかったから、自分で作ってみようという感覚もありました。デザイン的にレディースの方が好きで自分でも着ていたこともあったので、ユニセックスで着用できるコレクションを作るようになりました。ジャンルとしてはレディスブランドの立ち位置になりますが、自分たちとしてはユニセックスなものづくりを続けていて今もジャケットなどメンズ仕上げにしています。

先日発表された24SSコレクションのテーマである“Le Bel Été”(美しい夏)はどのように生まれたのでしょう?

祖母が映画好きで小さい頃から良く一緒に映画を観ていて、今回のテーマのインスピレーションとなった『ロシュフォールの恋人たち』も昔観た映画で印象的なものの一つでした。実は個人的に夏が苦手で、夏はいつも日向を避けて夜に行動しがちなのですが(笑)、この映画から得られる夏の楽しさ、ハッピーさに惹かれて今回は美しい夏をテーマにしました。

24SSも含めて2回、Rakuten Fashion Week TOKYOでショー発表されましたが、率直にいかがでしたか?

2回ともとにかくバタバタで大変でしたが、モデル、スタイリスト、ヘアメイクチーム等々日本を代表する方々とご一緒することが出来て光栄でしたし、私自身とても感動しました。また、VIVIANOのショーは観覧いただくゲストやセレブリティの皆様もとても華やかなので、モニターに映る色とりどりの姿も大きな楽しみなんです!

VIVIANOにとって、ショーはどんな意味を持っていますか?

発表後の映像利用を目的としたショーも多いですが、その空間で味わえる感動を大事にしたショーを私たちは今後も続けて行きたいと思っています。ハンガーにかかっている状態だと良さがわかりづらいブランドなので、実際にモデルが着用して動いた方がリアリティ出ますし。ショーのルックを目当てにしてくださるバイヤーさんや顧客様も多くビジネス的にも手応えがあります。

ブランドの展望を教えてください。

日本のブランドとして、アジア圏を中心に海外へ挑戦して行きたいですね。クリエイションでもどんどん新しいことをやっていきたいですし、自分たちがかわいいと思うものをシンプルにお客様に届けていくことを続けていきたい。そして、いつかパリでショーを出来たらと思っています。

今後、デザイナーとして挑戦してみたいことはありますか?

シューズを23AWからスタートしてとても好評なので、スニーカーなどシューズブランドとのコラボレーションに挑戦してみたいですね。レザーアイテムなども手がけていくつもりです。会社としての戦略とは別ですが、個人の思いとしては香水、コスメ、インテリアなど様々なものづくりもやってみたいと思っています。

Interview by Tomoko Kawasaki
Photography by Daichi Saito

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