Interview & Report

小林 祐/安倍 悠治 Yu Kobayashi / Yuji Abe

小林 祐/安倍 悠治 Yu Kobayashi / Yuji Abe 小林 祐/安倍 悠治

IRENISA Designer

小林 祐はyohji yamamotoでパターンの経験を積む。
安倍 悠治はSUPPORT SURFACEにて企画・生産・デザインを経験。

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2022SSシーズンから楽天ファッション・ウィーク東京へ参加を続けているIRENISA。23AWシーズンでは初めてランウェイショーを開催し、その完成度の高さ、洗練された表現が大きな反響を呼んだ。パタンナー出身のデザイナーデュオが手がけるコレクションは、メンズファッションマーケットの中でもユニークなポジションを確立し、今後更なる活躍が期待されている。24SSシーズンでも再び東京でコレクション発表を控える彼らに、ブランドの今、これからについて話を伺った。

お二人でブランドをスタートした経緯を聞かせてください。

私達はそれぞれコレクションブランドでパタンナーとして10年ほど働いたのち、2018年に外注パターンやOEM生産を請け負う会社を共に立ち上げました。会社としてのビジネス基盤を整えてから自社ブランドとして2020年にスタートしました。

IRENISAというブランド名はどのように生まれたのでしょうか?

3ヶ月くらいかけて考えてクリエイションに関わる皆と共に決めたんですが、実は会社設立日である10月23日にかけて作った言葉なんです。ブランド名に意味を持たせたくないという思いがあったのと、ブランド名から服を想像するブランドではなく、服からブランド名を想起できるようなブランドになりたいと思って。また、海外の方が聞いても類似するものがなく、そして違和感のない言葉であり、記号性があることを重要視しましたね。「イレニサ」という流れるような、耳に残る響きも気に入っています。

ブランドのクリエイションで大事にされていることを教えてください。

パタンナー出身なので、着てどうなのかという点は大事ですね。前から、横から、どの角度から見てもきれいであって、着心地が良いというのが最低条件、服づくりの基本だと思っています。

コレクションの製作はどのように進めてらっしゃいますか?

IRENISAは生地を先に決めてからパターンに入ります。デザイン画を厳密に描くことはあまりなくて、パターンを引きながらデザインを決めて行くような流れです。スタッフ皆で行う仮縫いは毎回真剣勝負なので喧嘩になります!笑。スタッフには若い世代もいて、彼らの意見も取り入れながら進めないとだめだと思いますし、新しい視点に考えさせられることもあります。いろんな人からの意見を受けて、皆が良いと思う洋服1型が仕上がる感じです。コンセプトがあってものづくりをするブランドではないので、作りながら自分たちの想いを肉付けしていって、コレクションが仕上がります。

お客様はどのような方が多いのでしょうか?

私達の洋服はパッと見て分かりやすい洋服というよりは、技術だったりパターンだったりをじっくり見て、着てもらって良さがより分かる洋服であると思っていて、そのような点に共感してもらえる、年齢層の高い方々も含めて幅広いお客様がいらっしゃいます。 セットアップの購入も多く、着ることでムードがある、色気が出るといった点を喜んでいただけていますね。

楽天ファッション・ウィーク東京へはどういった背景で参加されるようになったのでしょうか?

TOKYO FASHION AWARD(以下、TFA)に応募しようと考えていたので、ショーを開催するまでの準備期間としてデジタル配信で参加を決めました。TFAに応募するなら受賞しないと意味がないと思っていたので、そうなると必然にショーをやることになる。私達はショーを行うブランドに在籍していた分、通常のコレクション製作にショーが加わる大変さを分かっていましたし、ショーへの準備にしっかり時間をかける必要性を感じていました。

24SSシーズンもデジタル配信で参加されることが決まっていますね。

とにかく東京で発表し続けることに意味があると思っています。TFAによるサポートで、パリで継続的にショールーム参加することも決まっていますし、東京でまず発表し続けてお客様に見ていただきブランドとして体力を付けて行くべきかなと。ショーも継続しないと意味がないと思いますが、まずは自分たちの体力をしっかり付けなければというのがリアルなところですね。

現在のビジネス概況も聞かせてください。

国内が20-25アカウント、海外が5アカウント程度になります。初回の展示会も緊急事態宣言中でしたしパンデミックと共にビジネスは始まりましたが、大変な中でもバイヤーさんが展示会に足を運んでくださり、洋服を見て触って理解してもらうことができたのは本当に有り難かったと思います。

ブランドとしての今後の展望を教えてください。

世界の服づくりに負けていない自負があるので、これからも挑戦し続けたいですね。IRENISAは縫製工場、生地会社など日本のプロフェッショナルの方々と一緒にものづくりを出来ているので、その魅力をブランドとして伝えたいという想いもあります。そして、世界への認知度を高めるために、ウールマークやプライズなどコンテストにもチャレンジしてみたい。

デザイナーとしてお二人が挑戦してみたいことはありますか?

安倍氏)ショーは今後もやりたい。世界での認知を上げるために海外でやりたいし、東京でやることで成果を出せるのであれば東京でもやりたい。従来のランウェイという形式に囚われないプレゼンテーションにも挑戦してみたいと思っています。ショーだけでなく、生産プロセスや流通構造にも変化を求めて、これからの時代に残れるブランドになるための必要なチャレンジを続けていきたいですね。
小林氏)お客様に着てもらって喜んでもらえることがシンプルにブランドを続ける理由であるので、直営店を持ちたいですね。時間をかけて作ったコレクションを多くの方に全て見てもらえる場所が欲しいと思っています。世の中の流れやタイミングもありますが、ウィメンズも取り組んで行くつもりです。

Interview by Tomoko Kawasaki
Photography by Daichi Saito

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