Interview & Report

中田 優也 Yuya Nakata

中田 優也 Yuya Nakata POSTELEGANT(ポステレガント)

TOKYO FASHION AWARD 2019受賞デザイナー

1988年岐阜県出身。2010年、Académie Internationale de Coupe de Paris 卒業。2011年 名古屋学芸大学卒業。2013年 文化ファッション大学院大学 主席修了。株式会社オンワード樫山に入社。2016年独立し、2017年、POSTELEGANTをスタート。

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「POSTELEGANT =POST-ELEGANT」というブランド名の通り、日本の職人たちの高い技術力を背景にした素材を軸に、時代や性別を超えて着られるエレガントなモダンウエアを提案するポステレガント。2017年秋冬コレクションでデビューし、瞬く間に人気ブランドとなったポステレガントは、昨年TOKYO FASHION AWARD 2019を受賞し、ヨーロッパでの展示、東京でのランウェイショーを経験したことで、国内外でますます存在感を強めている。ブランドのクリエイティブディレクターである中田優也氏に、服づくりの背景にある思いや、今後の展望などについて話を伺った。

ポステレガントを立ち上げるまでの経緯をお聞かせください。

子どもの頃からファッションが好きで、将来はデザイナーになりたいと思っていました。学校でファッションを学んだ後、オンワード樫山に入社しました。将来は、独立してブランドを立ち上げたいという思いが強かったので、大きな会社で日本の服づくりの大きな流れをひと通り経験したいと考えていましたが、幸運にも自分にフィットした部署に配属され、先輩方からも信頼してもらい、さまざまな仕事を経験することができました。そして、入社して2年半ほど経ち、ひと通りの経験はできたのではないかと感じ、自分のブランドを立ち上げることにしました。

ブランドを立ち上げるにあたって、どんなビジョンやコンセプトがあったのですか?

仮に少量でも、大事に着てもらえるもの、残っていくものをつくりたいという思いがありました。学生の頃に、ミナ ペルホネンでインターンをしたことがありますが、デザイナーの皆川明さんは100年後にも残るブランドにするというビジョンのもと、あらゆることを長いスパンで考えられていることが垣間見えました。テイストこそ違いますが、僕自身そうしたものづくりをしていきたいですし、数十年後に見ても素敵に感じられるようなタイムレスな服をつくりたい。ポステレガントの服は見た目の派手さはありませんが、実際に服に触れたり、着てもらうことでその価値を感じてもらえる人たちや、いまお話したような考え方に共感してもらえる人たちに届けていきたいと思っています。

服づくりにおいて、特にこだわっているポイントを教えてください。

いまの話につながりますが、服は素材が良くなければ物理的にも残っていかないので、生地にはこだわりを持っています。日本の機屋さんには世界トップレベルの技術を持つところが多く、そういう方たちとどんなことができるかという話をするところから服づくりが始まります。今シーズンはパンツを何型、コートを何型つくるということを先に決めるのではなく、素材を用意した上で、時間が許す限りアイテムをつくり、間に合わなかったものは翌シーズン以降に回すというスタンスです。それゆえに、シーズンをまたいでコーディネートしても違和感がないように一貫性を持たせているつもりですし、実際にファーストコレクションからすべての製品に通し番号を振っていたりもします。

 

シーズンテーマは設定していないのですか?

具体的なテーマは設定しませんが、その時々で自分の気分やムードというものはあります。例えば、2020年春夏シーズンのコレクションでは、メキシコの建築家、ルイス・バラガンの写真集にインスパイアされて、暑い地域の気候に対応したドライな素材という観点から、和紙をウールやシルクとミックスした生地をつくりました。また、生地の素材感や色の選定にもこの写真集の気分が反映されています。これらはあくまでもつくるプロセス上の話なので、明確なシーズンテーマとして打ち出すわけではないのですが、2019年春夏シーズンでも、ジョエル・マイヤーウィッツという写真家の『Cape Light』という写真集で切り取られている海辺の風景をイメージして服をつくったように、その場にいたらどんな服装をするのかということからイメージしていくケースが多いかもしれません。

ポステレガントはウィメンズを主体にしながら、ユニセックスのアイテム展開が多いことも特徴ですね。

はい。ワンピースやスカートなどを除いては、パターンの段階から男女ともに着られるように考え、ウエストのシェイプなどもあまりつくらないようにしています。これも先ほどの話と通じるところですが、女性らしさの表現は時代によって大きく変わるものなので、なるべくそれらを排除し、時代を超えていけるデザインにしたいと考えています。

POSTELEGANT 2019 A/W collection runway show(ヒカリエホール Bにて)

中田さんはご自身の肩書を「デザイナー」ではなく、「クリエイティブディレクター」にしていますが、ここにも何かこだわりがあるのですか?

「デザイナーズブランド」という言葉が、あまり好きではないんです。デザイナーズブランドと言うと、デザイナーのものというニュアンスが強くなりますが、服というのは、機屋さんや縫製工場さんなどさまざまな人たちが関わってできるものですよね。あくまで自分はクリエーション全体をディレクションしている人間で、その背景に動いている人たちがたくさんいるというニュアンスを伝えたくて、クリエイティブディレクターと名乗っています。また、ポステレガントの製品には、ブランドタグと同じサイズでMade in Japanと書かれたタグも付けていますが、ここにもさまざまな人たちの高い技術があるということを伝えたいという思いがあります。

ブランドを立ち上げてからまだ2年余りですが、ここまでの歩みと、これからの展望についてもお聞かせください。

昨年TOKYO FASHION AWARDを受賞し、ヨーロッパでも展示ができましたし、自分がイメージしていたお店にも徐々に置かれ始めていることもあって、想像以上に良い形でここまでこられていると感じています。ブランド立ち上げ当初から意識していた海外での展開にも手応えを感じつつあるので、今後も継続的にパリでも発表する機会をつくっていくつもりです。これからも自分がつくりたいものをつくれる環境を大切にしながら、ブランドに共感してくれる世界中の人たちに服を届けていきたいと考えています。

2019年1月にパリで行われたTOKYO FASHION AWARD「showroom.tokyo A/W 2019」の様子

2019年6月にパリで行われたTOKYO FASHION AWARD「showroom.tokyo S/S 2020」の様子

Interview by Yuki Harada
Photography by Yohey Goto(インタビュー撮影)

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