デトケー DETTO K 「D.TT.K(ディーティーティーケー)」デザイナー
TOKYO FASHION AWARD 2015 受賞デザイナー
デザイナーのデトケー(Kazuma Detto)は、自分のスタイルを洋服、写真、映像、空間などに落とし込み、「D.TT.K」名義で、クリエイティブ活動を行う。2013年より自身特有のネオスポーティーな美学を取り入れたアパレルブランド「D.TT.K」を立ち上げる。
[ URL ] http://dettok.com/
2013年の設立の翌年にニューヨークのファッション・ウィークでランウェイショー、そして、2015年にはTOKYO FASHION AWARD(以下、TFA)の受賞ブランドとして、2シーズンにわたりパリのショールームでコレクションを発表したD.TT.K(ディーティーティーケー)。スポーツ、ストリートカルチャー、モードなどを融合させた独自の世界観で、デビュー以来着実にファンを増やし続け、多方面から注目を集めている新進ブランドのデザイナー、DETTO Kにインタビューした。
2013年のブランド設立からまもなく、ニューヨーク、パリでコレクションを発表されていますが、もともと海外への意識が強かったのですか。
そうですね。海外に向けてという意識が強いというよりも、むしろ日本を拠点にして活動していくという意識が当初からあまりなかったという方が正しいかもしれません。今は世界中のあらゆる人たちと簡単にコミュニケーションが取れる時代でもあるし、それは自然なことだと思っています。
もともとどのような経緯でブランド設立に至ったのでしょうか。
高校まではプロを目指してサッカーをしていましたが、親戚に芸術関係の人が多かったこともあり、絵を描いたり、ものをつくったりということはずっとしていて、それが自然な遊びであり、ライフスタイルでした。サッカーをやめてからは、大学でプロダクトデザインを学び始め、同時にさまざまなカルチャーに興味を持ち、どんどん吸収していったのですが、当時からアート、音楽、ファッションなどというジャンルは関係なく、いかに自分のライフスタイルを確立できるかということを考えていました。大学を中退してからヨーロッパを3ヶ月間ほど旅した後、上京しました。その頃から自分の作品として洋服をペインティグしたり、アクセサリーをつくり始めたことが、ブランド立ち上げのきっかけになりました。
服飾の専門的な勉強はしていなかったのですか。
はい。なので、ゼロから一人で洋服をつくることはできません。ブランドを始めてから服づくりを一から学んでいますが、自分の中では洋服というものをつくっている感覚は未だにあまりなく、より広い意味でものづくりをしているという意識がベースにあり、自分のスタイルを表現し、さらに広げられるツールとして洋服があるという感じなんです。D.TT.Kでは、複雑性を持った男らしさというものを、洋服だけではなく、写真や映像、空間なども含めて、いかにつくっていけるかということを大切にしています。また、SNSなどのネットワークが広がっている今の時代感というものを、ライフスタイルとともに表現していきたいと考えています。
毎シーズンの服づくりの流れについて教えて下さい。
日頃から常にアンテナを張りながら、自分の気分や着たいものをベースにひたすら絵を描いていき、実際に洋服にしてくれる人たちにイメージを伝えていきます。僕に専門的な服づくりの知識がないことによって、生産の方を困らせてしまったり、形にできないと言われてしまうことも多いのですが、そこで工夫を凝らしていくことは得意で、結果的に面白いものが出来上がることも多い。そうした時間というのはとても楽しいものですし、生産の方たちをはじめ、本当に色々な人たちが協力してくれていて、僕のメチャクチャな要望もポジティブに捉えてくれるので、非常に恵まれていると感じます。今後はもっと仲間を増やして、より面白い形で服づくりの可能性を広げていきたいと、先日のパリの展示でも強く感じました。
今、お話に出たTFAに参加された動機を聞かせて下さい。
世界中の人たちが最も集まるパリで発表する機会をサポートしてくれるということに尽きました。D.TT.Kは、すでにニューヨークやロンドン、ロサンゼルスなどのお店でも取り扱っていただいていますが、東京の展示会に海外のバイヤーが来てくれることはなかなかないですし、ブランドに興味を持ってくれるバイヤーに洋服を直接見てもらえるというのは非常に大きな機会だと感じました。実際に2回のショールームを通してブランドの存在を知っていただいた方も多く、取引先も増えたので、今後も引き続きパリで展示会をしたいという思いが強まりました。
ブランド設立からまだ2年足らずですが、今後の展望を教えて下さい。
ファッションと直接的には関係がない分野やカルチャーを取り入れながら、新しい形を提示したいと考えています。例えば、僕は車のデザインに興味があり、SF的な造形なども好きで、それらにインスパイアされて洋服をつくることもあります。今後もそうした要素を積極的に取り込みながら、複雑さが感じられるようなものをつくっていきたいですね。そして、僕たちにしかできない特殊なプロモーションもたくさん行っていきたいと思っています。D.TT.Kは単なる洋服ブランドではなく、クリエイティブなレーベルという位置付けになることを目指していますし、場合によっては、洋服以外のものもつくっていければと考えています。
今後、東京でショーを発表したいという思いはありますか。
今年3月に、TFA 2015受賞ブランドとしてMercedes-Benz Fashion Week TOKYO内でライブインスタレーションをしましたが、ファッション・ウィークという公式の場でプレゼンテーションできたことはとても良かったと思っています。もちろん今後も機会があればやりたいと思っていますが、やるからには色んな人や企業を巻き込んで盛り上げたいですし、若い人たちの間にムーブメントを起こせるようなことをしていかないといけないなと感じています。
Interview by Yuki Harada
Photography by Yohey Goto