INFORMATION 09/03/2025

Rakuten Fashion Week TOKYO 2026 SS 9/2(火)速報

Rakuten Fashion Week TOKYO 2026 SS 9/2(火)速報

「Rakuten Fashion Week TOKYO(Rakuten FWT)2026 S/S」(主催:一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構 (JFWO)は、本日開催2日目を迎えました。

– 初日9/1(月)に発表されたブランド –
「ANCELLM(アンセルム)」(20:30~)新宿住友ビル 三角広場

「視点を変えた経年変化の提案」をコンセプトに実直な服作りを行うANCELLM。ブランド設立5年目となる節目に初となるショーを開催しました。「世界に向けて発信していくという意思表示を」と山近和也デザイナーは語ります。新宿住友ビル 三角広場に作られた一本のまっすぐなランウェイは、その姿勢を示しているかのよう。ランウェイの幅を極端に狭くしたのは、素材の表情まで観客に見えるようにするためです。

岡山・児島に拠点を持つ同ブランドの特徴は、職人と対話をしながら作り上げる独自の素材や加工技術にあります。古着のように着込まれた味を感じるアイテムたちは、「クラフトによって服をデザイン的にエイジングさせる」というANCELLM独自のアプローチによるもの。一見すると古着をミックスしたスタイリングのようにも見えます。

今季はいつもよりも色数を増やすことで奥行きを出しました。ショーということを意識し、グラデーションを描くように全体の流れとムードを重視してスタイリングしたと言います。シャツやジャケットのくたくたの質感を際立たせる、色褪せたカーキ。異なる色合いであるはずなのに、ニットのグレーやレザーのブラウンはその延長線上にあるかのように見えます。それは一着を大切に着込んだときに経年変化で現れる、自分だけの色であるかのようです。

デニムに施すような加工を他の素材に用いたり、レザーにはタブーと言われていた加工をしてみたり、ANCELLMのものづくりの手法には視点の転換が欠かせません。

若い作り手たちと試行錯誤を繰り返しながら獲得した唯一無二の表現は、消費者にも確実に支持されているようです。会場には実際にアイテムを購入しているファンが数多く駆けつけ、一瞬一瞬を見逃さないようにと真剣な眼差しをむけていました。山近デザイナーの「楽しかった」という言葉とその景色が、ショーの結果を物語っているようにも思います。

*パートナーシップショー
「Bench Design Awards: Philippine Fashion Now
(ベンチ デザインアワード フィリピン ファッション ナウ)」(12:00~)
渋谷ヒカリエ ヒカリエホール ホール A

フィリピンのデザイナー育成を目的としたコンペティション「Bench Design Awards 2025」の受賞者3名がショーを開催しました。

彫刻的な視点で服作りを行うSTEPHVERANO(ステフ・ヴェラーノ)。手縫いのキルティングなどを活用した立体的なフォルムに、浮き輪や釣具などのキャッチーなアクセントを盛り込みました。複雑なカッティングと入り組んだパターンが象徴的なnadalē(ナダレ)は、ワーク・イン・プログレスな表現で内面のゆらぎを形にしています。Peach.Garde(ピーチ・ガルデ)は「海辺の逃避行」をテーマに、ポップで爽やかなストリートウェアを提案。クラゲをモチーフにした手の込んだアイテムが目を引きました。

Peach.Garde

*パートナーシップショー
「Global Fashion Collective(グローバル ファッション コレクティブ)」
(13:00~、 15:30〜 ) 渋谷ヒカリエ ヒカリエホール ホールB

新進気鋭のデザイナーが集まる国際的なランウェイプラットフォームであるGlobal Fashion Collective。今回は国内外の9ブランドが2部に分かれてショーを行いました。

1部目はスポーティ&クラシックなALL FOR YOU(オールフォーユー)、パッチワークで魅せるガーリーな世界観が魅力のTANG TSUNG CHIEN(タンツォンチェン)、デニムやツイードなどをアップサイクルしたウェアを展開するZero Waste Fashion Story Wear(ゼロウェイストファッションストーリーウェア)。

Zero Waste Fashion Story Wear

そしてエキセントリックなグラフィックが特徴のN O N A M E(ノーネーム)、ハードなパールやビジュー使いが印象的なWooLeeX(ウーリーエックス)。

2部はブラック&ホワイトでフェティッシュに仕上げたA-JANE(エージェーン)、ナチュラルな“カワイイ”を提案したCHARINYEH(チャリンイエ)、ゴシックなムードでまとめたS A L I M(サリム)、クラシックでどこか退廃的なムードを表現したAyaka Oshita(アヤカオオシタ)が登場しました。

「HUMMEL 00 (ヒュンメル オー)」(17:00~)
スターライズタワー スタジオアース

デンマークのスポーツブランドHUMMEL 00が発表方法として選んだのは、映像&ウェアによるインスタレーション。森川マサノリ氏がクリエイティブディレクターとして就任し2シーズン目となる今回は、「Human Anatomy」をテーマに人体構造に着目しました。“ヘルシー”を象徴するスポーツウェアとしてのコードを保ちながら、“グロテスク”をはらむ人体解剖的なアプローチをとることで、相反する要素を組み合わせ「不可侵領域」への接触を試みています。

トラックジャケットのテープは関節を想起させ、膝を曲げた時のシルエットはそのままパンツのフォルムとして残されています。スポーツブランドには欠かせない“ロゴ”を全面に押し出さずにあえて隠すことで、見えない部分への意識を明確にしています。

映像に映し出されているのは、都会の真ん中で自由に踊る男性、眼球や細胞、血液などの無秩序にも見える動き。目に見えないものを内包する人体の神秘性を感じます。会場の真ん中から吊るされているのは、糸でぐるぐる巻きにされたミイラのようなトルソー。身体性と精神性の分離である「幽体離脱」を一つのキーワードに空間を作り上げました。

©︎HUMMEL 00

「HARUNOBUMURATA (ハルノブムラタ)」(19:00~)
テレコムセンター

「いつもより肩の力を抜いて、漠然としたところから女性像を作り上げた」と語るのは村田晴信デザイナー。東京ブランドの中でもラグジュアリーかつエレガンスを軸にクリエイションを続ける稀有な存在である同ブランド。いつもアートや建築、実存する女性などが着想源になりコレクションが展開されますが、今回は自然の壮大さに触れた時の感覚と、都会に住む私たちとそれらの関係をめぐる思考が出発点になったと言います。

円形の会場の真ん中にはスモーク装置が設置され、もくもくと流れ出てくるそれはまるで滝のよう。その周りをゆっくりと歩く女性たちは、光で作られた道を進んでいきます。

世界で最も薄いオーガンジーを50枚重ねて作られたというアイテムは、手仕事により一枚一枚段差をつけることでグラデーションを描いています。見る角度によってきらきらと光り色の奥行きを感じる、静かに美しい一着。そして意外にもブランドとして初となるデニム素材のアイテムは、ハルノブムラタらしくエレガンスを体現しています。20時間以上かけてかけてスモッキングを施し、さらに強く洗いをかけることで生地に表情を与えました。

京都の老舗織元「織楽浅野」と共同で制作した銀糸が輝くスカートには、ひとつとして同じものがない水の流れの情景を閉じ込めています。

グローバルで活躍していくために、直接的ではなく日本の美しさを表現したかったといいます。それは手仕事の繊細さや技術といったものはもちろん、移ろいゆく季節に想いを馳せるような精神性でもあります。そうした感性はペールピンクやブルー、ミントグリーンといった淡いカラーパレットにも現れています。

再現性がないものを「今この瞬間が綺麗」だと捉えることができる余裕を持つこと。今季描き出されたのはそうした女性像であり、ハルノブムラタがコンセプトに掲げる”Luxury of Silence”のひとつの形なのです。

※一部を除いて写真は©JFWOになります。