Interview & Report

田中 大資

田中 大資 tanakadaisuke (タナカ ダイスケ)

tanakadaisuke デザイナー

大阪文化服装学院卒業後、デザイナーブランド入社。
独立後衣装制作や、 刺繍作家として活動。2021年、コレクションブランド「tanakadaisuke」 としてデビュー。
Rakuten Fashion Week TOKYO 2022 A/Wにて初ランウェイ。

Brand詳細を見る

2021年にブランド始動以降、着実にファンを増やし、国内市場においてユニークなポジションを確立している「tanakadaisuke」。昨年TOKYO FASHION AWARD 2024を受賞し、Rakuten Fashion Week TOKYOでもこれまで2回ランウェイショーを行っている。2回のショーを経たブランドの現状と、多くの人の心を震わせるそのクリエイションについて、デザイナーの田中大資に話を聞いた。

以前お話を聞いたのは、初めてのランウェイショーを開催される直前の2022年でしたが、それから2年を経てブランドにどういった変化がありましたか?

ショーに向いているブランドだねと多くの方から言われるようになりましたし、自分自身としてもそう感じています。ルック形式で発表するよりもショーで発表したシーズンの方が、反響が大きいですし、展示会に来場される方の熱量が全く違いますね。ショーをきっかけに伊勢丹でPOP UPが決まったり、様々なショップさんから声がかかるようになったり、卸も少しづつスタートしました。2回目のショーではそれをきっかけにMen’s Non-Noの表紙に洋服を使ってもらえることになったりと、ショーに来場してくれた方がその後の何かに繋げていただくことも多く有難いです。

tanakadaisuke 2022 A/W collection

田中さんご自身の意識としても変化していますか?

当時はとにかく洋服を作ることが楽しかった。今は作った洋服をどのように見せていくか、どのようなアプローチで皆に届くものにするかという点にも時間をかけていて、ビジュアルやモデルキャスティング、商品名などにも気を配っています。商品の特性が上手く伝わっていないと感じることがあって、認識してもらえるところまでをやらなきゃいけないなと。

クリエイション面で現在、注力していることはありますか?

刺繍やビーズでは自分のしたいことが自由に表現できているので、生地開発でもtanakadaisukeらしいデコラティブなモノづくりをしたいと今頑張っているところです。いつか開発した生地でインテリアなども作ってみたいとも思っています。

tanakadaisukeはマーケットでどのように評価されていると感じていますか?

東京のブランドでは珍しい衣装要素、装飾的な要素を取り込んだ洋服なので、マーケットの中では目立っているように感じます。以前は「tanakadaisukeの服が好き」という感じで美術館的に商品を観る方が多かったのですが、手に取りやすいアイテムが増えたこともあり、今は購入する方が増えましたね。

24年3月に発表された24AWのショーは、どのような意図がありましたか?

魔法の粉が会場に降り積もって皆を魔法にかけるというイメージで、ブランドが良く使う資材でもあるスパンコールを降らせる演出としました。このシーズンは、懐かしい思い出や幼少期好きだったものがコンセプトになっています。コレクションとしてはピンクを推していて、東京にもっとピンクを選ぶチャンスが増えてくれたらいいなと。社会人になって蓋をしてしまった昔好きだったモノを今も自由に好きと言える東京だったらカッコイイですよね。

tanakadaisuke 2024 A/W collection

ブランドとしての今後の展望は?

ブランドスタート3年目でここまで広く浅く知ってもらえているブランドも珍しいのかなと思っていて。卸もほとんどやっておらず、お客様と直接繋がっているので、今後もよりダイレクトにお客様へ提案することを極めていきたいです。
東京のメンズ市場でtanakadaisukeがメンズを提案することにも意味があると考えています。デコラティブ、フェミニンにも取れる要素を持つ洋服をメンズ、レディスということではなくで、本人のキャラに合わせて着ることが出来る提案をしていきたいですね。

デザイナーとして挑戦してみたいことは?

今年に入ってから「これからやってみたいことは?誰とコラボしたいですか?」的なことを聞かれることが多くなり、今色々なリクエストを出しているところなんです(笑)。例えば俳優さんは、TPOや役柄が優先されるため、自分が着たいものを自由に着づらいのですが、tanakadaisukeとしてそういう俳優さんとコラボしてビジュアル作りをしたいなと思っていて。そして、著名人だけでなく、いろんな人のなりたい自分を手伝っていけたら。皆が主人公でいられる世界をtanakadaisukeが叶えることができたらと思っています。

Interview by Tomoko Kawasaki
Photography by Daichi Saito

Go to Top