PICKUP 08/24/2026

C JEAN | 初参加アンケート27SS

C JEAN | 初参加アンケート27SS

ブランドや服作りについて

── ファッションデザイナーを目指したきっかけと、ブランドを立ち上げた経緯を教えてください。

父は長年インテリアデザイナーとして仕事を続けてきました。私は幼い頃から、その仕事を通して、何もない場所が素材と人の手によって空間へ変わる過程を見て育ちました。そこから、創造とは特別な行為ではなく、暮らしや世界との関係を捉え直す方法だと学びました。高校時代は米国とニュージーランドで過ごし、その後、台湾の輔仁大学で服飾を学び、ロンドン芸術大学ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(UAL)でファッション・デザイン&テクノロジーの修士号を取得しました。在学中、授業や映像資料を通してピナ・バウシュの舞台作品や山本耀司の服に触れ、服が身体、感情、思想、空間を結ぶ媒体になり得ると知りました。また、Alexander McQueenとHussein Chalayanでインターンシップを経験しました。その後、デザインと服づくりの実務経験を重ね、2019年にC JEANを設立しました。現在は、服、工芸、芸術、文化を横断する実践の場として活動しています。

── ブランドのコンセプトや服作りを通して伝えたいことは?また、提案したい男性像・女性像はありますか?

C JEANの核にあるのは、素材に内包された時間を、服を通して身体の上にかたちづくることです。私にとって服は創作の終着点ではなく、身体、時間、空間、記憶が出会うための媒体です。素材を調べ、触れ、試すなかで見えてくる技法や手仕事の痕跡を、現代服の構造、シルエット、質感へと編み直します。工芸は装飾的な引用ではなく、そこに蓄積された知や人の営みに向き合うための方法です。私たちが描く人物像は、固定された男性性や女性性に縛られません。強さと脆さ、理性と感性を併せ持ち、服によって既定の役割を演じるのではなく、自らの在り方を選ぶ人です。

── クリエーションにおけるインスピレーション源、コンセプトメイキングの方法は?

創作は、まだ答えのない問いから始まります。素材の痕跡、音、空間、個人的な経験のなかにある、まだ言葉にならない感覚が着想源です。工芸家や異分野の人・企業と協働する際は、技法だけを取り出すのではなく、その背景にある価値観や、考えが生まれた過程を知ることから始めます。歴史、素材、身体を調べ、対話、立体裁断、素材実験を重ねながら、服の構造と質感へ落とし込みます。また、作品が空間にどう置かれ、人がどう移動し、音、言葉、物、身体がどのように一つの物語をつくるかという、キュレーションの視点から考えることもあります。私にとってキュレーションは、完成した作品を配置する作業ではなく、作品同士、そして作品と観客との関係を新たにつくる、もう一つの創作方法です。予定した答えに近づけるより、制作の途中で起こる変化を受け入れることを大切にしています。

── 現在の取り扱い店舗を教えてください。また、ブランドのファンはどのような人たちですか?

C JEANは台北を拠点に、公式ウェブサイトとアトリエでの直接販売を軸とし、ブランドの背景を伝えられる店舗との選択的な流通も進めています。服を起点とする実践は、既製服、アクセサリー、ビスポークから、企業制服、特別衣装、キュレーション、文化・異分野とのプロジェクトへと広がっています。これまでの取り組みには、Audi TaiwanやLe Méridien Taipeiとの協業、企業制服のデザイン、台湾副総統が就任関連行事および公式晩餐会で着用した衣装のデザイン・制作などがあります。キュレーションの領域では、Audi Taiwanの展覧会「卓越的藝術館」の企画・キュレーションのほか、乙皮画廊および代官山 蔦屋書店での展覧会を構成しました。2026年8月には同書店で展覧会とPOP-UPを開催し、9月にはジェイアール京都伊勢丹のVIP顧客向けイベントに参加します。10月には、台湾文化部に属し、東京・虎ノ門を拠点に台日文化交流を推進する台湾文化センターと小学館が共同で開催する展覧会「Tradition into Future/伝統から未来へ」に参加予定です。最近のアートプロジェクト《善居 The Good Room》では、台北駅を舞台に、服、身体、住まい、公共空間、人々の参加を一つの関係として結びました。その一部には、身体、行為、時間、現場を媒体とするパフォーマンス・アートも含まれています。支持してくださるのは、年齢や性別よりも価値観でつながり、流行やロゴより、素材の深さ、独自のシルエット、物語、長く続く関係に価値を感じる方々です。

── ファッションで影響を受けたブランドやデザイナー、スタイル、カルチャーは?また、その理由は?

私の着想は、服の外側から生まれることが多くあります。音楽や映画が時間と感情をどう構成するのか、また建築や美術館、博物館が、空間、光、動線を通して人の見方をどう変えるのかに関心があります。大学院時代には、女性たちが言葉にできない過去や傷を題材に作品『Emptiness』を制作しました。構想を坂本龍一さんとAlva Notoさんに手紙で伝えたところ、二人から作品への共感と返信をいただき、それぞれ本作のために音楽を提供してくださいました。この経験から、音は服の付属ではなく、身体、感情、空間を構成する要素だと学びました。また、ジェームズ・タレルの光と知覚、ルーチョ・フォンタナの切断によって開かれる空間にも影響を受けています。東洋思想の「空」や無常、生成と、西洋現代美術の物質・空間への問いを重ねながら、服は生活と他の芸術の間から生まれるものだと考えています。

2027SSについて

── Rakuten Fashion Week TOKYO 2027 SSへの参加の動機は?

東京を選んだのは、ファッション、工芸、現代美術、空間表現が日常のなかで交差し、服を商品であると同時に文化表現として受け取る土壌があるからです。C JEANは2025年から、京都の臈纈染を通して日本の工芸や文化との対話を始めました。今回の初参加は、その交流をさらに深め、台湾で育ててきた視点を東京でどのように受け取ってもらえるかを確かめる機会でもあります。『THE ATELIER IS OPEN』では、完成した服だけでなく、服が生まれる時間を共有するため、ランウェイではなくプレゼンテーションを選びました。そこで生まれる出会いを、次の対話や協働につなげたいと考えています。

── 2027 SS シーズンのコンセプトやイメージを教えてください。

2027年春夏コレクション『BECOMING: BOLÉRO』は、同じ旋律が反復されながら、リズム、声部、強度の重なりによって変化し続けるラヴェル《ボレロ》の構造から着想しました。その「反復の中の差異」を、シルエット、層、色彩、手仕事の痕跡が静かに蓄積していく服の言語へ翻訳します。象牙色の余白から橙、朱、黒の深度へ。透過性と構築性、秩序と偶然、臈纈染による亀裂や滲みが重なり、一着ごとに前の姿を受け継ぎながら別の存在へ移ります。完成された像ではなく、身体と服が反復と差異の中で自らを更新し続ける過程を描くコレクションです。

── ショーもしくはインスタレーションの構想を教えてください。

東京での発表では、完成した服だけを見せるのではなく、それが生まれる途中の時間も開きます。COURT『THE ATELIER IS OPEN』では、制作を舞台裏から人々のいる場へ移し、手を動かす人、服、見る人の関係がその場で変わっていく様子を提示します。CUBE『THREE QUIET ROOMS』では、過去の作品と素材を通して、工芸のなかに刻まれた時間を静かに見つめます。一方は動き、一方は立ち止まる場です。二つを往来することで、創作は完成へ向かう直線ではなく、何度も意味を変えながら続く営みであることを伝えます。

今後

── ブランドとしての展望を教えてください。

C JEANは、規模を急速に拡大することよりも、服を起点に工芸、芸術、身体、社会との関係を着実に深めるブランドでありたいと考えています。ブランドとして、服、素材研究、工芸との協働、そして事業を着実に育てていきます。一方、創作者として、服は現在最も深く向き合っている主要な媒体ですが、唯一の言語ではありません。作品の必要に応じて、音、映像、物、空間、行為などを用いる可能性があります。媒体が変わっても、身体、存在、時間、人と人との関係、文化の記憶への問いは変わりません。服から離れるのではなく、創作を服という形式だけに限定しないということです。台湾を拠点としながら、異なる領域が出会い、新しい作品や関係が生まれる創作の場を育てることが目標です。

TOKYOについて

── あなたにとってTOKYOとはどんな街ですか?

私にとって東京は、矛盾を急いで解消せず、共存させる都市です。速度と静けさ、秩序と逸脱、伝統と未来が、同じ日常のなかに重なっています。感情も大きな言葉で語られるより、空間の尺度や動線、素材、物への細やかな扱いに表れているように感じます。その抑制された感性は、私の服への向き合い方にも通じます。台湾から来た私にとって、東京は親しさと異質さを同時に感じる場所であり、自分の視点を見直すための鏡のような都市です。

── 東京で好きな街もしくはスポットと、その理由を教えてください。

特に惹かれるのは代官山です。駅から小さな坂を抜けて旧山手通りへ向かう道には、都市が動きを止めずに、少しだけ速度を緩める感覚があります。書店、建築、ファッション、カフェ、住宅が隣り合い、商業と生活が近接しながらも静かな距離が保たれています。なかでも代官山 蔦屋書店は、本、映像、デザイン、旅、日用品が分野ごとに閉じられず、同じ空間で関係を結び、訪れる人に思いがけない発見を与える場所です。文化が専門的な施設だけでなく、日常の中に置かれ得ることを感じさせてくれます。

── お気に入りもしくはオススメのショップ(ファッション、インテリア、飲食などジャンル問わず)、施設、スポットなどを教えてください。

東京についてはまだ知り始めたばかりなので、実際に訪れて印象に残った場所と、これからさらに深く訪ねたい場所を挙げます。代官山 蔦屋書店は、本、アート、建築、音楽が日常の中でつながる場所です。根津美術館では、東洋古美術、竹のアプローチ、建築、庭園が一つの時間をつくる感覚が印象に残りました。日本民藝館では、名もなき職人の仕事や日常の器物に宿る美を通して、工芸と生活の関係を学びたいと思っています。また、明治神宮の杜は、百年後を見据えて計画され、自ら更新する森となったことから、人の意志と自然、時間の関係を考えてみたい場所です。


[BRAND]
C JEAN シージーン

[DESIGNER]
Chun-Yuan Jean チュンユアン・ジーン/簡君嫄