Interview & Report

具志堅 幸太 Kota Gushiken

具志堅 幸太 Kota Gushiken Kota Gushiken (コウタグシケン)

Kota Gushikenデザイナー

2016年 University of the Arts London, Central Saint Martins Collage of Arts and Design BA(Hons) Fashion Design Knitwear卒業
在学中にProenza Schouler (ニューヨーク、アメリカ)、Christian Dior(パリ、フランス)、Christian Wijnants(アントワープ、ベルギー)、のニット部門、Modateca Deanna (サンマルティーノインリオ、イタリア)にてインターンシップを経験。
2019AWより本格的にブランドを開始。

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ユーモラスで温かみがあり、心に話しかけてくるような感覚を覚えるKota Gushikenのニットたち。デザイナーの顔出しはNGながらも、ニットから滲み出るパーソナルな想いとその丁寧なものづくりに人々は魅了され、成長を続けている。お笑いとライブ、ファッションを融合させ大きな話題を呼んだRakuten Fashion Week TOKYOでのショーも記憶に新しい、そんな注目ブランドを担うデザイナー具志堅幸太氏に話を聞いた。

セントマーチンズでファッションの勉強をされ、帰国後すぐにご自身のブランドを立ち上げていらっしゃいますね。

卒業後もそのまま海外で働きたいと考えていましたがアジア人が就労ビザを取得する大きなハードルにぶつかり、ビザ取得準備のため一旦帰国したんです。すると帰国後すぐに伊勢丹さんから「卒コレ見ました!次のコレクションがあれば取引したい!」とご連絡をいただき、日本にいる時間を有意義に過ごせる絶好のオファーだと、コレクション制作に取り掛かり受注生産として自分で手編みし納品しました。作った作品が誰かに着てもらえるってすごいことだなと感動しました。そこから自然な流れでブランドとしてスタートして今に至ります。

ブランドのコンセプトを聞かせてください

「knitwear for human beings」です。性別や年代にとらわれず着たいと思ってくださる方々皆が自由に楽しめるファッションとして、「人類に向けたニットウェア」を届けるブランドであることを目指しています。

具志堅さんにとってニットはどのようなものですか?

ニットは糸そのものの開発から始まり、糸の組み合わせ、編み方、テクスチャー、厚み、形とあらゆる要素を一から十まで自由に作れます。その自由さにずっと魅了されて、ニットづくりを続けていますね。職人さん、工場さんから新しい糸や編み方を教えてもらいイメージしたアイデアが実現していくピースとなって組み上がったとき、テンション上がります。また、製品に仕上がったとき、思った以上の出来に仕上がったり、そうなるんだ!と逆に驚きのある仕上がりとなったり、ニットづくりにはそんな嬉しい、楽しい瞬間が色々あります。

クリエイションのインスピレーション源は?

誰かと話をしているとき、音楽を聴いているとき、アートを観たとき、お酒飲んで酔っぱらったときなど、日常のシーンで日々の機微を見逃さないように捉えアイデアを膨らませていくことが多いです。2022年元旦に自宅近くから偶然見えた美しい富士山に感動して富士山柄のニットを作ったこともありますし、ミュージシャンのルイス・コールに影響されて作ったシーズンもあったりします。

現在のビジネス概況についても聞かせてください

国内は30店舗とお取引があります。目の届く範囲でブランドを拡げていくことがビジネスとしてもブランドとしても幸せだろうという判断のもと、急激な拡大路線は選びませんでした。海外はTFAショールームからスタートし、現在4店舗とお取引しています。

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parisShowroom

ブランドの顧客さまはどのような方々でしょうか?

10代の男性から70代のお茶の先生まで、顧客層は本当に幅広いです。洋服が好きなこと、この服が好きだから着ているという点のみが共通で、属性も職業も様々で。ブランドのコンセプト通りのお客様に選んでいただけていること、とても有難く思っています。

東京で初めて開催したショーはいかがでしたか?

僕は音楽が好きで大小問わず様々なライブに足を運ぶのですが、良いライブは色々な感情を巻き起こしてくれます。「ショー」と位置づけるのであれば、ファッションであれど、そうしたライブ、映画、演劇等と同じようにに心を動かすようなものにしたいと思い、コントと音楽を組み合わせた演出を考えました。 僕はファッションショーにそれまであまり興味がなかったのですが、実際にショーとして発表してみて、洋服だけでは伝わらないことがあると気付きました。他ブランドがショーを開催する意味もわかりましたし、ブランドを表現するプラットフォームとしてのショーの有用性も感じました。反響もとても大きかったですし、とにかく楽しかったですね!

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Kota Gushiken 2024 A/W collection

ブランドとして、今後の展望を聞かせてください

これまで全ての業務を一人でやってきたので、社員を加えて会社の体制を整えビジネスを回して行きたいと考えています。また、国内のお取引先、お客様とはお互いの人間性を知り良いコミュニケーションが取れる関係になってきているので、同じように海外でもやっていけたらと思っています。僕は人と話をすることが本当に好きですし、会話によって刺激を受けたり、自分の考えに気付けたりできます。そういうパーソナルなことによって引き出される感情などをブランド、デザインに込めていきたい。

デザイナーとして、挑戦してみたいことはありますか?

今までやってきたことの強度を上げる意味でも、自分の知らない領域を拡げたり、ニット以外も含め面白いことを探して挑戦していきたいですね。

Interview by Tomoko Kawasaki
Photography by Yohei Goto

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