イサミ ISAMI introduced by WHIZ LIMITED
THIS IS MY PARTNER vol.2
武道格闘技メーカーのイサミは埼玉県久喜市、加須市に自社工場を構える。社内の熟練の職人たちによって、素材選びから仕上げまで、武道の母国・日本ならではのこだわりの国内生産を追求している。
株式会社イサミ
埼玉県久喜市/創業:1932年
事業内容:武道格闘技用品の製造/従業員数:80名(うち縫製者34名)
|
||
|
こだわりが生んだ異業種の協業
空手、柔道着からグローブやサンドバッグなどの武道格闘技用品やトレーニング用品の製造、小売店鋪の運営、試合用のリングの制作施工まで、あらゆる事業を展開してきている。さらに、現役選手へのスポンサー協力にも積極的である。使い手に近い位置で、使い手の声に常に耳を傾けて、商品づくりに反映させているのだ。
社長の磯氏は「武道格闘技の製品を作る上で、使い手の立場になって素材や着心地を考えることが重要」と話す。イサミの従業員には武道経験者はもちろん、元プロ選手もいる。磯氏自身も空手、ブラジリアン柔術を経験した異色の経歴の持ち主だ。
武闘格闘技用品では、高い耐久性と機能性が求められる。イサミのものづくりへのこだわりは糸選びから始まるが、イサミの製品は上質なリング糸で仕上げられる。武闘格闘技用品一筋のイサミの工場には、熟練の専門技術を持った職人が多く、久喜工場では衣類のパターン作り、裁断、縫製が行われる。武道用の帆布や刺し子などの生地も厳選された国内の取引先から届けられる。加須工場ではグローブ、ミット、サンドバッグなどの革製品が生産されている。工場内では、至る所で職人の手仕事が働いていて、その風景は“工場”というより“アトリエ”という表現の方が似合う。
「社員一人ひとりがやりたいことを追求して、クリエイトしていかないと」との磯氏の言葉通り、ストレッチ性のある空手着や、特注の刺し子による軽量柔道着など、数々の新商品が開発されてきた。昇華転写プリントなど新しい機械の導入も進んでいる。
しかし、この時代に国内生産、自社生産を続けていくのは容易なことではない。同時に工場の人手不足も課題にあがってきていた。そんな中、2012年に磯氏は社長に就任した。
社長就任後すぐに「社内生産はこれから厳しくなるだろう。それでも続けていくべきか」という最大の疑問を工場の職人たちに問いかけたという。
彼らはそれでも社内生産を続けたいと答えた。「決して容易くはないけれど、全て社内でものづくりをするのが基本。品質に自信のないものは外に出せない」という工場長の言葉にも、品質への強いこだわりが垣間見える。
Interview&Text:Shinya Miyaura (Secori Gallery)
Photography:Yohey Goto