JAPAN FASHION WEEK 20周年記念 年間テーマは「世界の継ぎ目となれ –JFW 20+20-」
東京独自のファッション・ウィークを目指し、歩んできた Japan Fashion Week は20周年を迎えます
一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(以下JFWO)は、前身となる「ファッション戦略会議」を2005年に発足後、本2026 S/Sシーズンにて20周年を迎えます。この記念すべき節目に、東京であるからこそ築かれてきた独自のファッション・ウィークの歴史を振り返り、数々のデザイナーが創り上げてきた軌跡を礎に、これからの20年に向けて決意を新たに、より一層魅力的なファッション・ウィークを目指します。
この20年間で震災、コロナ禍を経験し、また、SNSの発達など世の中は常に変化し、ファッションにおいても様々な表現方法が生まれています。ですが私たちは、リアルに人の息遣いを感じるファッション・ショーの持つ魅力はこれからも変わらない価値を持ち続けると信じています。
ファッション・ウィークを運営するJFWOは、この記念すべき20周年にあたる2026 S/S, A/Wシーズンの年間に渡り、様々な取り組みを行っていきます。

歴史と現在、未来の継ぎ目となる

東京発/日本発のコレクション事業は、
日本の繊維産業の発展と日本から世界へと発展するブランドをつくる
を志して20年間歩んできました。
これは今も、これからもJFWのおける不変となる起点です。
だからこそ、パートナー企業/団体のみなさまとともに、日本の繊維産業に貢献したい。
そして、パートナー企業/団体のみなさまに、日本の繊維産業界として貢献したい。
20周年を迎える2025年秋、新しいJAPAN FASHION WEEKとして決意を新たに動き出します。
プレスキッド
JFWではこの20周年を機に、東京独自のファッション文化について、「この20年でどんな服を生み出してきたのか。」また、「西洋の服が持つ階級性や形式を、時代や個のフィルターを通してどのように再解釈を重ねてきたのか。」を、下記のキーワードを手がかりに軌跡を振り返るリリースを作成しました。膨大なJFW20年間のファッション・ウィークの歴史の中から厳選したルックと合わせてご覧ください。
[キーワード]
カワイイ / テイラード / ミリタリー&ワーク / デニム / ドレス
JFW20周年を迎えて、私たちがもう一度見たいもの
服に見る、東京というカオス
東京でファッション・ウィークが始まったのは、Japan Fashion Week(JFW)がスタートするはるか以前、1985年にさかのぼる。「コム デ ギャルソン」や「ヨウジヤマモト」といった世界的なデザイナーたちも、かつてこの都市でショーを発表してきた。そうした土壌を引き継ぎながら、JFWは2005年に発足し、今年、20周年を迎えた。
この20年で、東京はどんな服を生み出してきたのか。日本のファッションデザイナーが手がける服の多くは、熱心な研究や計算された設計を特徴としながら、どこか風をはらむような“間”がある。“ハズシ”と言い換えることもできる。その“間”には、常に「これでいいのか?」という、デザイナーたちの模索があるようだ。
西洋の服が持つ階級性や形式を引き受けつつ、そこに時代や個のフィルターを通して、東京は独自の再解釈を重ねてきた。日本には洋服文化のルーツがないからこそ、外からの視点で服を捉え、敬意を払いながらも大胆に壊して、現代的な意味へとリ・デザインすることができたのだ。
その解釈はこの20年のあいだに、社会の変化や世代交代、テクノロジーの進化とともに形を変えてきた。だからこそ、その集合体は一言でいえば、“カオス”。ベクトルは多方面に向かい、時代や社会を反映しながら、それぞれの存在理由を持っている。それでも、俯瞰して見れば、いくつかの大きな流れが浮かび上がってくる。20周年という記念すべきこのタイミングで、キーワードを手がかりに「東京の服」の軌跡を少し振り返ってみたい。
たとえば、「カワイイ」。東京の“カワイイ”は決して無邪気ではない。ピンク、チュール、レース、キャラクター。そのやわらかさの奥に潜むのは、少女の静かな反抗心と身体性へのアプローチだ。たとえば肌を見せること。西洋の服がそれを「セクシー」と捉えるなら、東京ではそれさえ「カワイイ」のカオスの中へと取り込まれる。袖を通す者の、傷つきやすく繊細な内面に寄り添うような服では、しばしば手仕事が大切な役割を果たしている。
たとえば、「カワイイ」。東京の“カワイイ”は決して無邪気ではない。ピンク、チュール、レース、キャラクター。そのやわらかさの奥に潜むのは、少女の静かな反抗心と身体性へのアプローチだ。たとえば肌を見せること。西洋の服がそれを「セクシー」と捉えるなら、東京ではそれさえ「カワイイ」のカオスの中へと取り込まれる。袖を通す者の、傷つきやすく繊細な内面に寄り添うような服では、しばしば手仕事が大切な役割を果たしている。


「テーラード」には本来、体の構造や衣服の機能、着用シーンにおけるマナーを反映した多くの“ルール”がある。東京のデザイナーたちは、それを探求心の赴くままに解体し、ときに和の要素を組み込み、手仕事やデジタル技術を用いて再構築する。結果として、権威からの自由の象徴となり、男らしさ/女らしさも超えて身体に寄り添い、着る者の内面を際立たせる。東京のテーラードは、時代に即した強さの再定義の象徴。その根底には、固定観念に縛られず自らの美を見出す、ルールなき美意識が流れている。
「ミリタリー&ワーク」。かつては戦場や作業現場で機能性を最優先に設計されたこれらの服は、東京では日常のリアリティを映すモードへと変化した。ヴィンテージをひも解き、歴史に忠実でありながら、スポーツや愛らしさといった東京らしい感性を重ねることで、階級・労働の象徴は現代の都市生活の服へと転換されていく。さらに、アニメやゲーム、音楽といった日本独自のサブカルチャーが融合することで、ミリタリーやワークウエアは、現実と幻想を行き来する服として進化をする。


日本には多くの歴史ある繊維産地があり、独創的なファブリックは東京のデザイナーたちのインスピレーション源となっている。そのひとつが「デニム」。アメリカへの憧れに端を発するデニムと日本の関係性は、デザイナーたちが生地職人とともに重ねてきたトライ&エラーにより、やがて“ジャパンデニム”と呼ばれるひとつのジャンルを生み出した。古着、裏返し、加工、ほつれといった試行錯誤の工程には、オリジナルを超えようとする挑戦がある。東京のストリートに似合うデニムは、労働着でも定番でもない、解体・再構築を経て生まれた新しいカテゴリーと言えるだろう。
そして「ドレス」。セレモニーや階級のためのドレスは東京には必要ない。では、揺れる裾や透ける布、流れるようなシルエットは何のためにデザインされるのか?東京のドレスは、華やかさを超えて、着る人の内面やカルチャー、現代女性の強さを映し出す位置づけとなっている。そしてもうひとつ、東京のドレスはクリエイションの実験室でもある。AIを活用したパターンメイキングや、水を使わないデジタルプリントといった未来志向の服づくりのアプローチが、ドレスというキャンバスに花開く。

東京のデザイナーたちを一括りにすることはできない。あえて共通項を挙げるなら、着ることを楽しみ、服というプロダクトを愛おしむその態度だろう。意匠や素材、ディテールへの極端とも言えるこだわりは、日常のための服に独特の強度を与えるからだ。東京の最高峰のクリエイションが集まるJFWという場は、これからも、複雑で個性あふれる世界の継ぎ目となり、未来を紡いでいくに違いない。
協力:(五十音順)
粟田真紀子/MAKIKO AWATA エディター&ライター
麥田俊一/SHUNICHI MUGITA 売文業
向千鶴/CHIZURU MUKO ファッション・ジャーナリスト
村上要/KANAME MURAKAMI 「WWDJAPAN」編集長
監修:一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構
初回2006 SS(2005年10月開催)〜2026 SS(2025年9月開催)まで
ショー・プレゼンテーション・デジタル発表数 | 1844 |
海外からの参加 | 76 (32の国とエリア) |
参加ブランド数 | 524 |
近年のサポート企画とグローバル展開
JFWOでは2014年から新たなアワードを立ち上げ、日本のデザイナーのポテンシャルを大きく国内外にアピールしています。本アワードの活動を通して、多くのブランド・デザイナーが海外でのショーやショールームを経験、また、そのチャンスを広げています。
FASHION PRIZE OF TOKYO
2018 Mame Kurogouchi / 2019 AURALEE / 2020 TAAKK / 2021 CFCL / 2023 TOMO KOIZUMI / 2024 M A S U / 2025 yoke
TOKYO FASHION AWARD
2015 D.TT.K / sulvam / FACETASM / FACTOTUM / writtenafterwards / JOHN LAWRENCE SULLIVAN
2016 ETHOSENS / and wander / AVALONE / COOHEM / Name. / WHIZ LIMITED
2017 doublet / Chika Kisada / ROGGYKEI / TAAKK / YOHEI OHNO / BED j.w. FORD
2018 BODYSONG. / KUON / soe / DIGAWEL / Children of the discordance / F/CE.®
2019 CINOH / JieDa / ANEI / Nobuyuki Matsui / POSTELEGANT / RAINMAKER
2020 Re:quaL≡ / meanswhile / YUKI HASHIMOTO / IHNN / SHOOP / FUMIE TANAKA
2022 YOKE / HARUNOBUMURATA / KIDILL / MALION vintage / pillings / malamute / SUGARHILL / DAIRIKU
2023 IRENISA / KHOKI / TENDER PERSON / VIVIANO / AKIKOAOKI / FETICO / INSCRIRE / TANAKA
2024 SHINYAKOZUKA / FAF / Kota Gushiken / tanakadaisuke / PHOTOCOPIEU / mister it. / HAENGNAE / SOSHIOTSUKI
2025 KANEMASA PHIL./ tokio / SATORU SASAKI / HATRA / RIV NOBUHIKO / paratrait / TAN / Tamme
JFW NEXT BRAND AWARD
2023 グランプリ FETICO 審査員特別賞 HAENGNAE / natsumi osawa
2024 グランプリ KANAKO SAKAI 審査員特別賞 fluss
2025 グランプリ TELMA
20周年のスタートとなるRakutenFWT 26SS、会期前の8/29(金)に開幕およびJapan Fashion Week 20th Anniversary Ceremony を開催
©︎INFAS.com ©︎JFWO
会期スタート直前となる8/29(金)、Rakuten FWT 2026 S/Sの開幕とJapan Fashion Week 20周年を記念して、現在まで参加したデザイナーや、ファッション・ウィークに関わっていただいた関係者の皆様とのセレブレーションの場として、セレモニーを開催しました。理事長からの挨拶を皮切りに、事務局長からのご挨拶、そしてスペシャルアンバサダーの宮沢氷魚さんも登場!そして過去20年のファッション・ウィークに最多で参加いただいたコシノヒロコさんよりお祝いのお言葉と、乾杯のご挨拶をいただきました。また、当日は過去20年を振り返り、「東京」を代表する以下キーワード「カワイイ」/ 「テーラード」/ 「デニム」/ 「ドレス」/ 「ミリタリー&ワーク」がドレスコード起用され、それぞれ思い思いのファッションで来場いただきました。
会場では、世界のファッションシーンを躍動感あふれる映像で取材し、発信し続ける唯一無二の媒体「ファッション通信」の持つ、日本のファッションシーンの財産とも言える歴史的な映像から、JFWの過去20年を振り返り、未来のさらなる発展への希望を込めたムービーも上映されました。

左から JFW事務局長 古茂田博、ファッションデザイナーコシノヒロコさん、JFW20thアンバサダー宮沢氷魚さん、JFW理事長 下地毅





(写真左から)デザイナーの芦田多恵さん、丸山敬太さん、津森千里さん、そして実行委員も務めていただき、20thプレスリリースを執筆いただいた向千鶴さん、ユナイテッドアローズ上級顧問栗野宏文さん等にJFW20周年に向けた素晴らしいお祝いのお言葉をいただきました。
2022年にJFWOが発足したブランドサポートプログラム「JFW NEXT BRAND AWARD 2026」グランプリ受賞『mukcyen』(ムッシャン)デザイナー木村 由佳さん、および特別賞に選出された『Jun.y』(ジュンワイ)デザイナー山本 淳さんへの授賞式を審査員の方々が一堂に会して開催しました。『mukcyen』は会期トップで初のランウェイショーを開催します。
また、審査員よりクリエイション(創造性)と技術の高さにおいて高評価を得て特別賞を受賞した『Jun.y』(ジュンワイ)の新作コレクション(写真右)が、本イベント限りで特別に展示されました。

グランプリ受賞式の様子 左から(敬称略) JFWO事務局長 古茂田 博、ファッションジャーナリスト 大杉 真心、株式会社ファッションコア ミッドウエスト代表取締役社長 大澤 武徳、コンデナスト・ジャパン『VOGUE JAPAN』ヘッド・オブ・エディトリアル・コンテント ティファニー・ゴドイ、『mukcyen』(ムッシャン)デザイナー 木村 由佳、ファッションデザイナー 滝沢 直己、株式会社 INFAS パブリケーションズ WWDJAPAN 編集長 村上 要、yoshiokuboデザイナー 久保 嘉男


特別賞受賞の様子 左から(敬称略) コンデナスト・ジャパン『VOGUE JAPAN』ヘッド・オブ・エディトリアル・コンテント ティファニー・ゴドイ、『Jun.y 』(ジュンワイ)デザイナー 山本 淳
カルチャーオーディオメディア「Artistspoken」とJFWが9月から来年3月まで展開する番組「RE;MODE_ROOM 20」のナビゲーターを務める「見取り図」リリーさんも登壇し、来場ゲストへのインタビューを行うなど、20周年を祝うイベントを盛り上げました。
会場には、多くのデザイナーやメディア関係者、そしてファッションに親和性の高いKOLの皆様にお越しいただき、会場を華やかに彩りました。

















ゲストの皆さん(敬称略)上段左から、RIV NOBUHIKOデザイナー リバー・ジャン、小浜伸彦、VIVIANOデザイナー ヴィヴィアーノ・スー、KAMIYAデザイナー神谷康司、YOKEデザイナー 寺田典夫、繊研新聞社編集委員小笠原拓郎、Andreas Murkudisオーナー・バイヤー アンドレアス・ムルクディス 、Metal Magazineファッションエディター/Yokogao Magazine ファッションエディター ナタリア・アンドレア、ジャーナリスト ユージーン・ラブキン、ハリー杉山、Street style photographer/ fashion journalist シトウレイ、モデル Aoi、ダンサー Usak、渡辺そら、MANON、ダンサー HIKARU、ノリエノモトデザイナー 榎本紀子、あさぎーにょ、ZUTII、AYA




会場では獺祭スパークリング、333(バーバーバー)、アルゼンチンワイン、KIYASUME、レッドブル、そしてオリジナルの水をご用意しました。
本アニバーサリーイベントを通じて、Japan Fashion Weekのこれまでの20年の歴史を振り返り、数々のデザイナーが創り上げてきた軌跡を礎に、より一層魅力的なファッション・ウィークを目指す決意を感じる時間となりました。